原状回復・リフォームの費用削減等のポイント

退去時こそ空室率を下げるプチリフォームの好機と考えるべき!?

アパート経営などの不動産投資では、空室率の下落(=入居率の上昇)によって如何に安定した賃料を確保するかが、今後も継続できるか否かのカギを握っている。ただし、常に入居率が100%という物件は考えにくく、いつかは退去者が出てくるのは必然の流れといえる。

それでも新築物件であったり築浅の物件であれば、敷金で原状回復をして少し待てば入居者はやって来るだろう。しかし、それも年数が経過すれば徐々に待つ期間は長くなるのは目に見えており、さらに元から中古物件であれば最初から空室期間が長くなることがある。そういった場合、フリーレント期間の設定や家賃の引き下げを考えてしまいがちだが、それよりも前に退去を契機にプチリフォームによる空室率の低下を狙ってみるのもアリだ。

プチリフォームには大まかに分けて2つあり、次の入居者が早く来るようにする施策と、半永久的に退去後の入居者が来るようにする施策がある。前者には、前述のフリーレントや壁(クロス)の張替えなどが挙げられる。他方で、例えばウォシュレットの設置やインターネットし放題・外壁塗装などは後者に該当する。後者はウォシュレットは数万円程度で可能だが、総じて費用が数十万円~数百万円を要することが多い。その点、前者は数千円からできるプチリフォームも多い。

まず、クロスについてだが、施工業者が提案していくるのが白系ばかりで工夫の余地がないように思うかもしれないが、実際には様々なクロスが存在している。一般的に25平方メートルのクロス張替えであれば、4~7万円とする業者が多いが、柄物や厚手のものにすると費用は7~11万円程度に上がる。クロス張替えを3~4万円プラスすることで、他の物件との差別化が図れる計算だ。

壁紙クロスの種類

もちろん、ターゲットを見据えてクロスを選択しておかないといけない。華美な柄物になるほどにターゲットを狭くし、逆に入居者が躊躇する可能性がある。選び方の基準は、部屋の環境とターゲットに分けて考えるといいだろう。例えば、日当たりがイマイチな部屋なら黄色系にしてみたり、和室であれば和紙・織物クロスにするといった具合だ。後者のターゲットでの考えか方としては、他の部屋の入居者の大半が男性であれば若い男性受けしそうな黒系クロスにしたり、逆に若い女性であれば華やかでありながらシンプルな柄物にするといった具合だ。

クロス以外でも、帽子やカバンが掛けられるホックの設置など収納に一工夫を施すのもいいかもしれない。さらに小物の収納になる有孔版の利用や、本・DVDなどをディスプレイに見立てて収納できるオープン棚やウォールバーを利用するといった手もある。いずれも数千円から数万円の施工費で設置が可能だ。

ウォールバー・オープン棚のサンプル画像

ただ、いずれも過度に設置しては台無しになり、入居者の入居後の自由度を狭める結果となるため注意が必要だ。元から収納スペースが豊富にある物件でも、こういった工夫が功を奏す可能性が低くなる点は忘れずにおきたい。

また、フリーレントのように家賃を1ヶ月無料にするよりは、入居者が上京する学生が主であれば、液晶テレビをプレゼントするといった手もある。液晶テレビも今では32型でも3~4万円で購入でき、かつ必要不可欠のものと言ってもいいためアピールにはなる。もしくは無印良品(ガッツがあるならIKEA)などで家具を一通り揃えて、プチではあるが家具付きアパート・マンションに見せかけるという手もある。

ちなみに、床については予算もさることながら換え難いもので、かつ冒頭で記述した次の入居者のためというよりは、半永久的に退去後の入居率を上げる手法に近い感がある。そのため別ページで改めて記述する(床のリフォームを参照)

以上が退去時の空室率を下げるプチリフォームだが、人の趣味趣向は変化しやすいため注意が必要だ。また、不動産投資の答えは1つではないため、インターネット・書籍などの情報だけでなく、不動産会社の不動産相談会(不動産投資セミナー)などを利用して同業者の意見を得るのも手だろう。