原状回復・リフォームの費用削減等のポイント

原状回復でオーナー負担と入居者負担の線引きはどこかか!?

アパート経営などの不動産投資では、退去者が出るのは止むを得ないことだが、退去後の原状回復については未だにトラブルが絶えない。ただ、国土交通省のガイドラインや東京ルールによって、原状回復でオーナー負担となる部分と入居者負担となる部分の線引きは明確になりつつある。

まず概念としての線引きとしては、通常の使用による損傷や経年劣化による損耗はオーナー負担となり、故意・過失、善管注意義務違反による損耗・毀損は入居者の負担となる(詳細は原状回復とは?を参照)。それでは具体的に、どのような損耗がオーナー負担で、どのような過失による毀損が入居者負担となるのだろうか?

退去時の損耗・毀損の入居者負担とオーナー負担の分類・パターンわけ

上図は国土交通省の原状回復ガイドラインの一部だが、かなりの部分がオーナー(賃貸人)の負担となっていることが分かる。その中でも注意すべき点として、フローリングの色落ち、浴槽・風呂釜、タバコのヤニの3点が挙げられる。まずフローリングについては、入居者の不注意によるフローリングの色落ちであれば入居者負担となるが、構造的な欠陥によるフローリングの色落ちであればオーナー負担となる。例えば、入居者が汚れを取ろうと洗剤でフローリングを磨いて色落ちすれば入居者負担となる。他方で恒常的な雨漏りなどによってフローリングが変色してしまった場合にはオーナー負担となる。

浴槽・風呂釜については、風呂(トイレ含む)の不適切な手入れによる毀損は入居者負担となるが、次の入居者のための取替えであればオーナー負担となる。具体的には、日常的に浴槽の手入れしておらずクリーニング不可となった浴槽や、なぜか欠けてしまった浴槽などは入居者負担となる。他方で、クリーニングで除去できる程度の水垢などの汚れの清掃、次の入居者のために浴槽を追炊き可とする設備の刷新などはオーナー負担となる。

タバコのヤニについても、室内の喫煙でクロスが変色したり臭いが付いている場合には入居者負担となるが、クリーニングで除去できる程度であればオーナー負担となる。最近では換気扇の近くで吸ったり、ベランダで吸う人が多いため大抵はオーナー負担になると覚悟しておいた方がいいかもしれない(そもそも日焼けでクロスは変色する可能性も高い)。ただ、窓も開けずに喫煙しているような形跡があれば、入居者負担にできるチャンスと考えるべきだ。

以上が原状回復でのオーナー負担と入居者負担の線引きだが、仮に入居者負担となっても施行範囲・耐用年数があるため、過度に入居者負担にはできない点にも注意が必要だ。根本的に入居者(賃借人)に有利となる法改正が進んでいるため、原状回復と今後の対策で記述したように幾ばくかの対策を練った方がいいだろう。また、不動産投資の答えは1つではないため、インターネット・書籍などの情報だけでなく、不動産会社の不動産相談会(不動産投資セミナー)などを利用して同業者の意見を得るのも手だ。