アパート経営における収益物件の探し方と売買

ワンルームマンション投資の落とし穴とリスクとは!?

不動産投資はマンション・アパートの1棟買いする方法と、1戸のみのワンルーム(間取りが1Rとは限らない)を購入する方法がある。前者と比較して後者の方が圧倒的に借入金が少なくて済むため、ワンルームマンション投資から検討する人も多い。しかし、ワンルームマンション投資には1棟買いには無い落とし穴とリスクがある。

まず、不動産に投資する手法でも不動産に直接投資する現物投資には、収益の安定性や節税といったメリット(現物投資のメリット・デメリットを参照)がある反面、天災などによる物理的なリスクの他に流動性・金利リスクなど(3つの不動産投資手法の比較リアルエステートリスクを参照)がある。これらは不動産投資そのものに係るリスクであり、ワンルーム投資のみにあるリスクではない。

それでは、ワンルーム投資にのみリスクとは何か? それは不動産投資の根幹でもある収益の安定さが無くなり、収益の不安定さというリスクがワンルーム投資にはある。ワンルームでも家賃収入が毎月入ってくるのだから、安定収入だと思うかもしれないが、ワンルームの場合にはゼロサム、つまりは入居者は100%か0%しかない点を忘れてはならない。

例えば3月に退去予定となり、3月の引越しシーズンを過ぎても入居者が決まらなかった場合には、数ヶ月は家賃収入が途絶えることになる。そうなると借入金の利息の支払い・元金の返済は手元資金から捻出する必要が出てくる。仮に管理費などを含めた毎月の支払いが12万円で毎月14万円の家賃収入(2万円の利益)を得ていたとしよう。この場合に1年間で貯まるキャッシュは24万円となるが、この24万円は2ヶ月の空室でゼロになる。仮に3月から次の引越しシーズンである9月まで入居者が決まらなければ、4ヶ月間で合計52万円の出費となる。投資したワンルームは安定収入源どころか単なる負債でしかなくなる。

ワンルームマンション投資で退去者が出た場合のキャッシュフローへの影響

もちろん、実際には建物の減価償却による経費や、節税効果によって利益は大きくなる。その結果、空室期間中の手持ち資金からの捻出は減る可能性はある。とはいえ、減価償却による経費も期間があるため、いずれは上述のワンルーム投資のリスクにさらされることになる。

また、ワンルーム投資の場合には新築マンションが投資対象となっていることが多く、その意味で価格変動リスクが1棟買いよりも高まる。新築マンションは購入から数ヶ月で数割の値下がりがあり、数年経てば半値になっても不思議はない。日本だけの他人の手垢が付いていない物件への過度な信仰だが、これは不動産の値上がり益という微かな希望を打ち砕くものだ。この点からも、ワンルームマンション投資には一般的な不動産投資のリスクでは見えないリスクがある。

とはいえ、ワンルームマンション投資なら、最終的には自分が住むという選択肢がある。層考えれば、仮にマイナスとなる月が多くとも納得はできそうではある。しかし、本当に自分が住むに適しているのか?(それなら今から住めばいい)、高齢になってから住む(高齢者が住める建物か?巷には高級老人ホームもあるが?)と疑念が出てくる。この考え方も抜本的な解決にはならず、依然としてリスクは横たわったままとなる。

以上がワンルームマンションの落とし穴とリスクだが、必ずしもワンルームマンション投資が失敗する、ないしはリスクが過度に高いというわけではない。長き渡って入居者の需要が見込める地域で、魅力的な物件であれば何の問題もない。やはり原点に返って不動産投資の成否は物件選びが大半を握っているといえよう。また、アパート経営の答えは1つではないため、会計で不安に思うことがあれば税理士・FP・銀行での無料相談を利用したり、不動産会社の不動産相談会(不動産投資セミナー)などを利用して確認するのも手だ。