アパート経営での入居募集や維持管理

投資物件に自動販売機を設置するメリットとデメリット!?

不動産投資では投資物件・収益物件探しや融資も重要だが、物件の価値を上昇させたり賃料以外のプラスαの収入を不動産から得ることも重要だ。ことアパート経営では、空室によって賃料そのものが消えるのが最大のネックだが、不動産から他の収益が得られれば不安の一部を払拭できる。その1つが自動販売機の設置による売上収入だ。それでは、自販機の設置のメリット・デメリットは何があるか?

まず自販機で販売される物には飲料の他に、タバコ・食品・新聞・日用品と様々ある。ただし、下図の日本自動販売機工業会のデータが示す通り、自販機市場の大半を占める。そのため設置するなら飲料が第一候補となる。それも酒・ビールやコーヒー・ココアではなく、清涼飲料が普及状況(内訳での売上もトップ)からしてもいいだろう。ただし、タバコの自販機は昨今では減少傾向にあるため、近隣にタバコの自販機が無い場所であれば意外と需要がある可能性がある。

自動販売機の普及状況

それではメリットについてだが、第一に投資物件の微妙に空いた土地を有効活用でき、かつ前述した賃料収入以外の収入が得られる点が挙げられる。かつては地主(不動産オーナー)が数百万円の自販機を購入するのが主流だったが、現在では自販機の電気代だけ負担して、飲料の補充などのメンテナンスは業者が行うリーススタイルが多い。

自販機の売上は業者と地主で折半することになるが、その比率はメーカーによって差はあれど概ね20~30%程度が多い。一般的に自動販売機の1ヶ月の電気代は2~3千円といわれているため、1本120円の清涼飲料水が1ヶ月に80~120本以上(1日あたり2.6本~4本)売れれば収支はプラスになる。また、自販機本体が30~50万円で販売されていることもあるため、手間でなければ自分で飲料を補充すれば、利益率は上述のリースよりも格段に上昇する。

その他のメリットには、深夜にも周辺が明るいため僅かながら犯罪抑止効果がある点だろうか。投資物件の近くで事件が起きれば入居者の退去に影響を与える可能性があるため、犯罪を抑止できるのはメリットとなろう。また、昨今では自動販売機を設置すれば無料で監視カメラを付けてくれる業者もある。自販機の近くには間違いなく電源があるため一石二鳥なのだが、この場合には自販機だけとは比較にならないほどの犯罪抑止効果がある。

主なメリットは以上だが、逆にデメリットには何があるのか? 第一に挙げられるのが、メリットの裏返しで収益化が達成できないリスクが挙げられる。収益化できないパターンの最たるものが、投資物件(自販機)の立地といえよう。投資物件が閑静な住宅街にある場合、最悪は投資物件の入居者だけが自販機のターゲットとなってしまう。それでも入居者が多い大規模物件なら問題ないが厳しいのは目に見えている。

自販機設置に有効な土地か否かは、アナログな方法だが自分で通行人を数えるのが手っ取り早い。昼間と夜間に1時間でも通行人を数えて、通行人の数が厳しいようなら自販機を設置するには厳しいといえる。これから投資物件を購入する人なら、近くに学校・オフィス・スポーツ施設などがあるかが判断材料になり得る。これらが近くにあれば部活帰りの学生がスポーツドリンクを、昼食後の会社員がコーヒーを、スポーツ・フィットネス後の会社員・主婦がスポーツドリンクを購入する可能性があるためだ。ただし、昨今ではコンビニの本格コーヒーが台頭していることもあり、オフィスでの需要は厳しいかもしれない。現に、日本自販機工業会のデータでも缶コーヒーの売上減少が指摘されている。

また、デメリットというかリスクとして電気代の値上げもある。電気代が自己負担である以上は、電気代が値上がりすれば収益への悪影響は必至だ。また、震災後の電力需給が切迫した時に、元東京都知事の石原新太郎氏が発言したように、緊急時には自動販売機などの電源が悪者扱いされる(最悪は電源オフになるかも)可能性がある。可能性としては微妙かもしれないが、頭の片隅には置いておいて損はないだろう。

以上がアパート等の収益物件での自販機の活用法だが、何かしら導入に際して疑念・不安などあるなら導入しない方が賢明だ。あくまで自販機による売上収入は賃料収入の補完であり、プラスαでしかないためだ。賃料収入で収支計画通りに順調に進んでいるなら、無理して他のリスクを負う必要はない。また、不安があればネット・書籍だけでなく、不動産相談会(不動産投資セミナー)などで他者の意見を参考にするのも手だ。