ネット銀行・都市銀行の住宅ローンのメリット・デメリット

新生銀行の住宅ローンはデメリットよりメリットが大きい!?

新生銀行は日本長期信用銀行が経営破綻した後に再生し、2000年に名称を新生銀行に変更して誕生した銀行だ。そういった経緯もあり、他の銀行に先駆けてATM手数料の無料化・振込み手数料の一部無料化・インターネットバンキングを展開してきた。最近では、出金するとTポイントが得られる特典を設けるなど、サービス面の強化は目を見張るものがある。

住宅ローンでも金利引き下げは元より、諸々の手数料の無料化・割引と顧客獲得へ向けたサービスの増加は著しい。そういった新生銀行ならではのメリットがある一方、デメリットもある。以下、新生銀行の住宅ローンの金利以外(金利比較は住宅ローン比較 東日本編西日本編を参照)のメリット・デメリットを記述する。

まず下図では、新生銀行と一般的な都市銀行・地方銀行の住宅ローンで、手続き・借入までの日数・定額自動入金・保証料(+保証会社の手数料)・事務手数料・抵当権設定費用・一部繰上返済の手数料・ATM手数料・団体信用生命保険を比較した。

- 一般的な銀行 新生銀行
手続き ネット+書面郵送+来店 ネット+書面郵送+来店
借り入れまでの日数 1ヶ月~1ヶ月半 1ヶ月~1ヶ月半
保証料 借入金額100万あたり1~2万 無料
保証会社手数料 約3万円 無料
事務手数料 固定金利特約だと1万円 約11万円
抵当権設定費用 借入金額の0.4% 借入額の0.4%
定額自動入金 有料or無し -
一部繰上返済手数料 有料またはネットのみ無料 無料
自行ATM手数料 無料だが時間外は回数制限 無料
コンビニATM手数料 有料 無料
団体信用生命保険 無料だが三大疾病等は有料 無料で介護保障も無料
新生銀行と一般的な銀行の比較(手続きの流れ・借入までの日数・定額自動入金・保証料・保証会社の手数料・事務手数料・抵当権設定費用・一部繰上返済の手数料・ATM手数料・コンビニATM手数料・団体信用生命保険)

まず手続き・借り入れまでの概算日数を一般的な銀行と比較すると、ほぼ同一で新生銀行に有利な面は無い。むしろ、ネット銀行だと楽天銀行が最短20日(実際は自分が書類を返送するスピードによる)で、じぶん銀行は最短10日で契約というスピードを実現している。

じぶん銀行は、必要書類を郵送という形式をとらずにネットにアップロードすることで、その分だけ時間を短縮している。そこにはネットセキュリティなどの問題もあるが、手続きで時間を要して翌月の金利にズレて思惑通りにならない可能性を考えれば、ある程度はスピードも大切といえる。新生銀行の場合は手続き面では一般的な銀行と同等だが、他のネット銀行よりも劣るといえそうだ。

新生銀行の借り入れまでの契約プロセス

 

一方で各種手数料については、一般的な銀行と同じく保証料・保証会社手数料などで数十万円の負担になることはない。むしろ新生銀行はネット銀行と、同じく保証料・保証会社手数料の代わりに、事務手数料が徴収されるスタイルになっている。

それも他のネット銀行のように保証料と同等のローン借り入れ金額の2%ではなく、約11万円に収まるのが大きなメリットとなっている。3000万円を30年借り入れなら約11万円になるが、借り入れ額・借り入れ期間によって額は変動する。とりあえず自分の条件をネット等で確認しておきたい。

新生銀行のステップアッププログラム(プラチナ・ゴールド・スタンダード)

また、月間平均残高などによって決まる新生ステップアッププログラムで、新生ゴールド以上のステージになれば手数料の値引きがある。住宅ローンを組むだけでプラチナにステージになり、3万円の割引がある。仮に住宅ローンを組んだ後でないとステージが適用されないとしても、ゴールドなら現金残高100万円、投資商品残高30万円あるか、もしくはカードローンの100万円以上の借り入れでゴールドになる。

その中でも投資商品30万円は他の預金よりもハードルが低いといえる。投資より借り入れが優先で、投資にも疎いかもしれないが、円安になれば利益が出る外貨預金、日経平均に連動する投資信託であれば、ローンを完済するまでに利益が出る時期が一度は来る可能性が高い。長きに渡るローン返済中で家計が圧迫されていても、利益が出れば外食や旅行に充てることもできる。一度、検討してみる価値はあるだろう。

次に返済についてだが、じぶん銀行・住信SBI銀行・ソニー銀行のように手数料無料の自動入金サービスは存在しない。そのため別の銀行を給与の銀行にして、新生銀行を住宅ローン専用の銀行にするといった使い分けは難しい。新生銀行は、金利引き下げに給与振込み指定を条件にしているのも使い分けの難しさに拍車をかける。ただ、新生銀行をメインバンクにするのは、ATM手数料等を考えれば決して損な選択ではない。

新生銀行の提携ATMの手数料

新生銀行はセブン銀行・イーネット(ファミリマート・スリーエフ・デイリーなど)・ローソンATMが24時間365日手数料が無料で、コンビニが職場か自宅の近くにあれば間違いなくATMの使い勝手は良い。さらに深夜は対応していないが、ゆうちょのATMも手数料が無料で利用できるため、そうそう不便を被ることは無いだろう。

返済関連に戻るが、新生銀行でのローン返済には「コントロール返済」というサービスが存在する。このコントロール返済は、繰上返済して短くした返済期間分だけ毎月の返済額を減らせられるサービスだ。

コントロール返済のイメージ

何がメリットかというと、例えば返済10年目までボーナスなどで繰上返済を小まめにしてきたが、子供が中学生・高校生になり予定以上に教育費が発生した場合に、このコントロール返済を活用する場面が来る。仮に子供が優秀で有名私立の中学・高校に進学する場合には、月額12~15万円(こども1人に必要な費用を参照)の出費が家計を襲う。その際に繰上返済した期間は毎月の返済額を減らして、家計を助けることができる。

もちろん繰上返済した額によって、おのずと毎月の返済額が減る期間には限界が来る。その意味では暫定的な処置であり、抜本的な解決策(抜本的な解決は収入増か支出減しかない)ではない点は忘れずにおく必要がある。さらに、トータルの返済期間は当初の予定通りに戻るため、早期退職を考え直したり、共働きから片働き(2馬力から1馬力)への変更時期なども考え直す必要が出てくる。

次に団体信用生命保険についてだが、新生銀行は一般的な銀行と同じく、死亡すると住宅ローンがゼロになる一般団信は無料で金利上乗せもない。一般的な銀行と異なるのは、要介護状態になるとローン残がゼロになる安心保障付き団信が、保険料が無料で金利上乗せ無しという点だ。ただ、要介護レベル3以上が180日と条件は厳しく、じぶん銀行の「がん団信50」ほど大きなメリットは無い。気休めに近い感も否めないがメリットには違いない。

最後に新生銀行ならではの特典、特にキャンペーンものについてだが、各キャンペーンでは金利引き下げの他に、1000万円以上の住宅ローンを組むとANAマイレージが10000マイルも獲得できたり、Tポイントが20000ポイントも獲得できる。金利などの諸条件で五分で迷っている銀行があるなら特典に目を向けてもいいだろう。

新生銀行の住宅ローンについては以上だが、金利を度外視すれば、手続き面でメリットが無いのがネックだが、それ以外ではメリットが非常に多い銀行といえる。自分の居住地の近くに支店・店舗があるかも大きな問題だが、もしも近くに支店・店舗があるなら、是非とも検討したい銀行だ。