住宅を取得するための住宅ローンの基礎知識

フラット35のメリットと隠れたデメリットと注意点とは!?

住宅の取得は普通は一生で1番高い買い物と呼ばれているが、それには住宅ローンの利用が必須といえる。その中でもフラット35は、固定金利の期間が35年と非常に長いため利用者は実に多い。ただし、フラット35にはメリットが多い反面、当然ながらデメリット・注意点が幾つか存在する。

まずメリットについてだが、前述したように固定金利35年(フラット50なら固定金利50年)で、金利変動のリスクを負わなくていい点がある。その他に「融資率10割」「収入基準によって負担率が変動」「繰上返済の手数料は無料」「団信は強制ではない」などのメリットが挙げられる。

まず融資率10割(100%)についてだが、融資率は10割→9割→10割と変動してきた経緯はあるものの、2014年以降は10割が継続されている。そのため、4000万円の住宅を購入するのに頭金なしで4000万円を借りることができる。

フラット35の融資率

収入基準は基本的に年収400万円未満なら返済の負担率は30%以下、400万円以上なら負担率は35%以下とされている。負担率は年間合計返済額の割合とも言い換えられるが、つまるところは1年間の返済額が年収の30%以下である必要があるということだ。仮にローン返済額が毎月10万円なら年間120万円の返済額になり、120万円÷400万円=30%が負担率となる。この計算からすると負担率の制限が低いほどに、同一の借入金額に対して高い年収が必要になる。明確なメリットとは言い難い面もあるが、決して無理な返済計画(最終的に住宅を手放すことが目に見えている)にはなりにくい点でメリットといえる。

また、民間銀行だと必要になる繰上返済の手数料が無料で、保険料分が金利に上乗せされる団体信用生命保険(ローン契約者が死亡するとローン残がゼロになる)も必須ではない。その分だけ効率的にローン返済ができるということだ。

ただし、メリットの反面、上述してきたメリットにはデメリットも含んでいる点を忘れてはならない。

フラット35のメリットとデメリット

第一のメリットで挙げた固定金利35年は、借入金の金利変動がない一方で、市場の金利が低下し続ければ、現在の金利は将来的に高い金利ということになる。その際には借換えが必須だが、その時の年収・年齢でも上手く借換えが出来るかが問題となる。また、固定金利の方が安全が優先ではあるが、変動金利よりも当然ながら高い金利である点も忘れてはならない。

また、融資率が10割でも融資は受けられるが、融資率が9割を超えると資金を貸している側のリスクも高まるため、金利が年0.13%上昇する。その結果、金利負担(+総返済額)も大きくなり、融資率9割以下の場合よりも総返済額が相当に大きくなる。早急に住宅を取得できるメリットがある反面、生活が長期間苦しくなるデメリットがある。

収入に対する負担率30%も無難な数字ではあるが、上限である30%近辺で融資を受けて何かがあると、住宅ローンの返済が滞る可能性がある。ボーナスが不景気によって減った場合、子供が思ったより優秀で医学部に進学できる場合(子供1人の養育費も参照)、自分が病気になって収入減となった場合でも返済ができるか、それらを加味した余裕が無いとメリットはデメリットに取って代わることになる。

繰上返済の手数料無料も一見するとデメリットは無いが、繰上返済によって期限の利益を失うことを念頭に置いて繰上返済する必要がある。期限の利益とは、返済の期限まで返済をしなくていい権利とも言い変えられる。例えば、完済が35年後で毎月25日支払いなら、毎月25日に一定額を返済すれば、35年後まで完済する必要はない。いきなり25年後に完済しろとは言われないということだ。そのため繰上返済は期限の利益の一部を失う行為といえる。

仮に失職して毎月の返済が遅れた場合、繰上返済をしたからといって返済を待ってはくれない。もしも繰上返済せずに、その分を貯金して万が一に備えていれば、失職しても返済には余裕が出てきたかもしれない。繰上返済は金利負担を減らす一方で、期限の利益を利益を失うため相当に余裕があれば行うべきということだ。

最後の団信(団体信用生命保険)は言うまでもないが、金利負担が減る代わりに自分が死亡した後も家族に負担が残るデメリットがある。かつてのように地価の上昇が望めない今、仮に住宅を売却してもローンが残る可能性すらある。生命保険加入していたとしても、その保険金が住宅ローンの返済に回れば本来の意味を失うというものだ。

以上がフラット35のメリットとデメリットについてだが、何か疑問があれば最寄の銀行を訪れるか、ネット銀行で問い合わせするといいだろう。ネット銀行ならメール・電話で事足りスピーディーだ。また、生活資金も含めたローン設計ならファイナンシャルプランナーの無料相談、税金については税理士の無料相談などを利用するのも手だ。