不動産の有効活用と賃貸借

土地信託はメリットがデメリットよりも数は多めだが!?

土地活用を検討するうえでは、土地に建物を建築して賃貸に回して収益性を発生させるのが手っ取り早い。その際に最もベーシックな方法が自己建設方式事業受託方式だが、それ以外にも土地信託方式という手もある。それでは、どのような仕組みで収益をあげ、如何なるメリット・デメリットがあるのか?

まず土地信託は賃貸型と処分型(分譲型)があるが、圧倒的に賃貸型が多いため、以下では賃貸型について記述していく。

さて収益についてだが、土地所有者が信託銀行・信託会社に土地を信託(信じて託す)して、信託会社が信託契約に基づいて建築資金を調達し、建物を建てて得た賃料の一部を配当して受け取る仕組みになっている。賃料を直接受け取る自己建設方式や、一括賃料として受け取る事業受託方式(サブリース方式)と比較して、あくまで配当という形で受け取る点で異なる。ただ、この配当は実績配当であり、信託会社に利益が無ければ土地所有者に配当は支払われず、収益が約束されているわけではない。この点は、サブリース方式と同様だ。

土地信託の仕組み及び土地所有者と信託会社と建設会社とテナントの相関関係

メリットとしては、土地所有者が銀行から借入をすることなく、配当が出れば利益が受け取れるだけという極めてシンプルかつリスクが低い点にある。土地所有者が自ら事業計画・建物建設・資金調達をする必要がない。全ては信託会社にお任せで利益が出ればプラス、出なければゼロということになる。他の手法で運用した場合の機会を逸したとも考えられるが、リスクが低いことを考えれば妥当ともいえる。

さらに賃貸住宅を建てることになったなら、その土地は貸し家の敷地となり固定資産税が軽減され、かつ建物であれば相続税も軽減される。ポイントは信託期間中は形式的には所有権は移転して信託会社が土地を運用するが、信託期間が終了すれば所有権が戻ってくる点だ。信託期間は数十年レベルになることが想定されるが、所有権が移転しない限りは自分の資産であるため、信託期間の経過後に信託に満足いかなければ土地を売却するという手もある。

一方のデメリットには、これまで記述したように確定的な利益が得られるかは疑問という点が大きい。さらに、信託会社によっては、賃料収入減が想定以上だった場合などの止むを得ない事情があれば、信託会社から土地所有者に事業資金の提供を求める場合がある。この点も大きなデメリットといえる。また、信託会社の都合上、一定規模以上の土地でなければリスクに対して採算が合わないため、そもそも土地信託を受けてもらえない点もデメリットだ。

以上が土地信託の仕組みとメリット・デメリットだが、昨今では土地信託は信託会社の負担が大きいためか下火になっている。ただ、選択肢が少ないとはいえ信託会社を選定する際には慎重を期したいところだ。土地活用で何か不安・疑問があるようなら、ファイナンシャルプランナーや銀行や不動産会社、各都道府県が主催する無料の不動産投資セミナー・相談会なども利用して専門家の意見を仰ぐのも1つの手だ。