不動産売買の留意点/注意点

不動産の引渡し前に物件が消失・滅失・陥没したらどうなる!?

不動産(土地・建物)は一生に一度とも言われる高額な買い物だが、仮に戸建住宅の売買契約が成立した後に、その引渡しまでに住宅が売主に過失がない火災で消失した場合、その売買代金はどうなるのか?

驚くべきことに、民法では建物の売買のような物件の移転を目的とする契約では、上述のような例では、その危険(リスク)は買主が負うことになっている。すなわち、建物が無くなっても売主は買主に代金を請求できる。

これは建物だけでなく土地の売買でも同様だ。売買契約が成立した後に、その土地が地震で陥没したり、国が道路編入(その土地が公道として利用される)を決定した場合も、その危険は買主の負担となってしまう。

かつては契約が成立した時点で、権利が移転すると厳格に決められていたこともあるだろうが、実際には契約成立時点では買主は火災保険・地震保険にも加入しておらず、他方で売主はまだ保険に加入している可能性が高い。

そのため、この規定は明らかに実務上の取引慣行にはそぐわないとして、実際の売買契約では特約で、こういった危険を売主の負担としている。さらに、上述の例のように建物が滅失した場合には、買主(もしくは売主)に契約の解除権が与えられている。そのため、事実上は形骸化した法律内容であるといえ、過度な心配は不要となっている。

とはいえ、こういった特約が契約書に盛り込まれていなければ、法律上は買主の危険負担となる。この特約が契約書に盛り込まれているかは要確認だ。何か不明な点があるなら、不動産販売会社や不動産仲介業者に逐一確認した方が賢明だ。