不動産売買の留意点/注意点

土地は登記面積と実測面積が異なることが多いため要注意!

不動産(土地・建物)の売買にあたって、その面積は売買代金・価格を決定づける重要な要素の1つなのは疑いようがない。ただ、不動産の面積を表すのは登記面積と実測面積で2つあり、この2つが一致しないケースが問題となる。特に土地においては一致しないことが間々あるため注意が必要だ。

まず2つの面積の意味だが、登記面積は法務省の登記記録(登記簿)に記載されている土地の面積だ。個人でも登録料の300円を支払えば、インターネットで気軽に閲覧できる。他方の実測面積は、座標法や三斜求積法といった方法を用いて測量した土地の面積だ。普通は政府が把握している面積が正しいと思いがちだが、その情報が古く更新されていなかったり、過去の測量方法のままのため現代の測量方法と異なるため、改めて計算すると土地の面積が異なることがある。

そのうえで土地を売買する際には、この登記面積を基にした登記簿売買(公募取引)をするか、実測面積を基にした実測売買(実測取引)のどちらかを選択することになる。登記簿売買だと登記上の面積で売買をするが、後日改めて実測を行って実測面積と差があっても売買代金は精算されない。実測売買だと登記上の面積で売買をするが、後日測量した実測面積に差があれば、面積の差に応じて売買代金が増減する。

どちらの売買手法が有利かは、土地の売り手か買い手か、登記面積と実測面積のどちらが大きいかによって相反する。例えば、土地の買い手であれば、登記面積が実測面積よりも小さければ登記簿取引で得をすることになる。この関係をまとめた下図を参照してほしい。

登記簿売買と実測売買の有利・不利のパターン分け一覧(登記面積・実測面積と買い手・売り手別)

基本的にはパターン分けに沿って登記簿売買と実測売買を選択すればいいが、問題は実測売買を行う際に必要となる測量費と近隣住民との折衝だ。実測図が無い場合には測量する費用が必要となり、その費用を超える得が見込めなければ、買い手も売り手も実測売買に持ち込むメリットはないということだ。状況によって差はあるが、測量には数十万円(100万円には満たない)程度は要する。それを踏まえて利益増となるかを判断することになる。仮に実測図があっても昔の測量方法で測ったものだと、法務省に認められない可能性もある。これも測り直しとなって費用を要する。

また、使える実測図が既にあったとしても、隣家からの承諾を得ていない現況実測図であることが多い。曖昧な区分のまま土地を並べて暮らしている人も多く、その場合には隣家には説明をしに行かなければならない。当然ながら隣家としては、それによって自分の土地が狭くなってしまうのでは?という疑念が沸き、隣家との交渉が必要になる(測量前後で良好な関係を保つ必要がある)。うまく承諾をとれず拒否されれば、時間と金の無駄使いとなる。

前掲の図には、実測図の有無を追記して、実測面積と登記面積の大小、買い手と売り手の立場、そして隣家の了承などのリスクを加味する必要がある。以上を加味してバージョンアップしたのが下図だ。

登記簿売買と実測売買の有利・不利のパターン分け一覧(登記面積・実測面積と買い手・売り手と実測図の有無別かつ付帯するリスクを追記した図)

いずれにせよ、実測売買をする際にリスクがあり、さらに実測図の有無に絡んでは前述した測量費用・測量図の有効性・隣家の承諾の有無がリスクになってくる。とはいえ、実測売買にした方が手間も含めて大きな利益になることもあるため、過剰にリスクばかりを考慮して二の足を踏む必要は無い。

以上が土地の面積と、それに係る取引の注意点だが、基本は買い手ではなく売り手主導で売買方法(実測売買か登記簿売買か?)が決まることが多い。買い手側としては、その点を踏まえて思わぬ損失を受けないように注意しなければならない。仮に不利な登記簿売買となっても許容できる範囲内か否かは考えておきたい。土地の売買に不動産仲介業者を挟んでいるなら、不安・疑問があれば逐一確認することが肝要だ。