不動産売買の留意点/注意点

不動産の売買で最初に支払う手付金に要注意!

不動産(土地)の売買にあたって、買い手が最初に支払うのが手付金だ。手付金は契約通りに売買が成立すれば売買代金の一部となるが、他にも幾つかの意味がある。契約成立の証として証約手付けの意味や、契約違反で没収される違約手付け、契約解除権を留保する解約手付けとしての意味がある。

ただ、民法では手付金は特に当事者間で定めが無い場合には解約手付となるとしている。そのため、一般的に不動産売買をする場合に手付金を支払った場合には、それは解約手付だと考えていい。

不動産の売買フロー(手続きと売買代金の流れ)

それでは解約手付が支払われた場合、その効果が如何なるものがあるか。解約手付が甲府された場合、買い方も売り方も契約の履行に着手するまでは契約を解除できる。契約の履行は、買い方の場合は次の売買代金(上図であれば内金)の支払いであり、売り方としては登記(もしくは引渡し)ということになる。この契約履行の着手は買い方が不動産購入のために借り入れを申し込んだ、といったものは認められない。

他方で解約したい場合には、買い方は手付金を放棄して解約ができ、売り方は手付金の倍額を買い方に支払うことで契約を解除できる。売り方には随分厳しい条件だが、基本的に売買では買い方の方が不利なことが多いため、妥当な条件ともいえる。

手付金の概要は以上だが、実際の問題としては手付金の額だ。理屈の上では、契約を結んで手付金を受け取って売り方が逃げるという可能性もある。仮に手付金が売買代金の3割だとしても、不動産の価格が5000万円なら手付金は1500万円になるため洒落にならない。

そのため宅地建物取引業法では、宅地建物取引業者が売主なら売買代金の2割を超える手付金を受け取るのは禁止されている。さらに手付金と内金を合算して売買代金の3割を超えてくると、買い手は仮登記(条件付所有権移転登記)の設定ができる。仮登記ではあるが、一定の権利を確保できるだけに、この売買代金の3割は大きな節目といえる。

以上のように、手付金は買い方・売り方の両方に一定の意義・メリットがある。ただ、買い方としては、売買代金の3割を超えて仮登記までたどり着けなれば、結局は持ち逃げされる可能性のある金という点を忘れてはならない。また、基本的なことだが、そもそも手付金を支払う相手に所有権があるかは要確認だ。所有権があるように見せかけているなケースもあるため注意がいる。売買の間に不動産仲介業者を挟んでいるなら、不安・疑問があれば逐一確認することが肝要だ。