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アパートローンで繰上返済するデメリットと落とし穴とは!?

アパート経営などの不動産投資では、アパートローン(略してアパロン)や不動産投資ローンを利用しての銀行からの融資が大前提となる。賃料収入と経費の差し引きで利益が貯まったり、保有している複数の収益物件のうち幾つかを売却して手元資金ができることもある。アパートローンといえど借金であることは変わらないため、日本人の性かもしれないが真っ先にローンの繰上げ返済を考えてしまう人も多い。しかし、アパートローンの繰上返済には思わぬ落とし穴とデメリットがある。

まずアパートローンの繰上返済は、固定金利を設定した場合には繰上返済は不可とする銀行も多く、そもそも繰上返済ができないことが多い。仮に繰上返済ができたとしても、銀行の利益が減るため何かしらの理由と共に手数料を徴収したり、違約金をとられたりする。借入期間からの経過年数によっては違約金が大きくなることもあり、借換えができない点はデメリットといえる。

ただ、それ以外にもデメリットは存在する。問題になるのは、手元資金を使って繰上返済をしてキャッシュフローが悪化するケースだ。例えば、キャッシュで1000万円が余剰分として貯まったと考えて、それを繰上返済に充てようとしたしよう。その際に繰上返済をして余ったキャッシュが、空室率の上昇やリフォームなどに耐えられないと、繰上返済によって下がった金利が下がり黒字なのに倒産(物件の売却)する可能性が出てくる。一時的な要因をやり過ごせさえすれば物件売却を乗り切れたのに、キャッシュ不足で売却となれば悔やんでも悔やみきれまい。また、現在は投資物件の建物の減価償却で経費があるが、それが途絶えて収支が悪化した場合に耐えうるキャッシュではなくなっている可能性もある。

さらに複数の収益物件を保有していて、その1つを売却して収益を得た場合も問題がある。仮に金利3%で3億の借入金があり、毎月の家賃収入が200万円、借入金の利息と元金の支払いが90万円だったとしよう。その状況で保有するマンションを1棟売って2000万円を得て、それを繰上返済に充てる場合、下手をすると一気に収支・利益率が悪化する可能性がある。

というのも売却するマンションの家賃収入が無くなるためだ。借入金が2.8億で金利3%だと、毎月の返済額は70万円に減るが、マンションを売却したことによって賃料収入が80万円減るなら、毎月の収支は売却前の110万円プラスから売却後は50万円プラスまで悪化する。

繰上返済によるキャッシュフローが悪化する例

上図のように投資物件の一部を売って繰上返済するなら、減る賃料収入と減る借入金の返済額を天秤にかける必要がある。収入の減り幅が返済額の減り幅より大きいなら、利益率も下がりキャッシュフローが悪化する可能性がある。逆に収入の減り幅が返済額よりも小さいなら、毎月の利益額は減れど利益率は維持しているため支障はない。もちろん、キャッシュフローという意味では後者も悪化はするが、経費が減り筋肉質な経営が出来ているともいえる。

とはいえ、キャッシュ・利益率が共に低下しても繰上返済するのが妥当なケースもある。それは不動産投資・アパート経営を徐々に縮小していく意向の場合だ。その場合には、先々のことを考えるよりも目先の売却を優先すべきだからだ。逆に継続する意思があるなら、得た資金で売却物件よりも利回りの良い物件を購入した方がベターだ。

以上がアパートローンの繰上返済についてだが、繰上返済自体は銀行の評価が上がることもなく無理に行う必要は無い。ただし、借入金を変動金利で契約している人で今後の金利上昇を見込んでいるなら、それは上述の条件とは別に繰上返済は有効な手といえる。アパートローンについて不安に思うことがあればFP・銀行への無料相談は元より、不動産会社の不動産相談会(不動産投資セミナー)などを利用して同業者の意見を確認するのも手だろう。