アパロンの融資・金利・借換え等 一覧

銀行は収益の仕組みと諸々の事情によって不動産投資ローンには甘い?

アパート経営などの不動産投資では、自己資金のみで開始することは不可能に近いためアパートローン(略してアパロン)や不動産投資ローンを利用した、銀行からの融資が大前提となる。融資を受けるために様々なポイントがあり、用意すべき自己資金にも留意が必要だ。ただし、不動産投資ローン自体は他の融資よりも銀行は甘いといえる。それは、銀行の収益構造上と諸々の事情によるところが大きい。

まず、現在の銀行の収益構造だが、あくまで預金は貸し出しの原資になるものでしかなく、利益の大半は貸出金からの利息収入だ。一応は預金の引き出し・投信などの手数料や信託報酬も利益にはなるが、それよりは貸出金による利息収入に及ぶものではない。今でも個人・法人への貸出金が銀行の収益を支えているといってもいい。

とある銀行の収益構造

こと個人への貸し出しに絞ると、住宅ローンが大半を占めるが、金額は数千万円が限界で金利も1%前後と高いとはいえない。その反面、金利が高いフリーローン・リボ払いは、金利が10~15%と高く利ざやの良い分野ではあるものの、担保が無いため多額の貸付けにはなり得ない。その中間にあるのが不動産投資ローン(アパートローン)で、貸し出す額は自己資金・属性などによるが数億円に及ぶこともあり、金利も住宅ローンよりも高い2~3%超はとれる。利益面からして銀行には旨みのある分野といえる。昔とは異なり、銀行によっては営業員にアパートローンのノルマを課すこともあり、一気にノルマをクリアすべく大口のロットでの貸付に挑む(稟議書を上司と各部署に通す)ケースもある。その意味でも不動産投資ローンは他のローンよりも緩いといえる。

さらに、住宅ローンと同様に建物・土地に抵当権が設定されることが多いため、銀行側としては利息の支払いが滞れば、建物・土地を売却して貸付金を回収できる。

また、貸付金が投資物件の購入に充てられるということは、銀行にとって別のメリットも持つ。それは事業リスクを負わなくてもいいメリットだ。一般的に法人に貸付を行うと、企業は運転資金に回すか設備投資に充てたりする。前者は銀行からすれば繋ぎ融資でしかなく、貸付期間を長引かせて利息収入を増やす意味しかない。それも企業が事業で失敗すれば貸倒れになるリスクを内包している。後者も資金の振り向け先が工場の機械などであれば、経年劣化は元より技術革新によって廃れて価値が激減していく。その点、建物は経年劣化して価値は目減りするが、担保としては機械よりも評価がしやすく、土地の価値が劇的に目減りはしない。その意味でも銀行側には都合がいいといえる。

ただし、銀行によっては人口動態などが影響してか、不動産投資ローンには積極的ではない銀行も数多く存在する。また、アパート経営を検討しているなら、自分の住む地域の主力銀行を軸に融資を受けるのが前提といえるが、ケースバイケースで銀行を選択する必要がある点に注意が必要だ。北海道にある銀行が神奈川の投資物件を購入するために融資をしてくれるかというと、「支店はあるのですがエリア外なので・・・」となる可能性もある。不動産投資ローンは銀行側にメリットがあるとはいえ、そういった事情があることは頭の片隅に置いておいて損は無い。

以上が銀行のアパートローンに対する融資態度についてだが、経済情勢や銀行に対する規制によって状況が変化する可能性がある。また、銀行にとって不動産投資ローンにはメリットがあるには確実だが、当然ながら必ずしも融資が受けられるとは限らない。アパートローンについて不安に思うことがあればFP・銀行への無料相談は元より、不動産会社の不動産相談会(不動産投資セミナー)などを利用して同業者の意見を得るのも手だろう。