ソニー損保 ZiPPi/ 終身医療保険の保険料・保障内容・特約を評価 レビュー

ソニー損保 ZiPPi(ジッピ)
オススメ度:
2
保険会社:
ソニー損保
名称:
ZiPPi(ジッピ)
保障内容:
入院中の実費
先進医療:
2,000万円まで
オリコン:
対象外
特徴:
公的医療保険対象の入院治療費を保障

ソニー損保 ZiPPiは保険料は年齢によっては他社と比較して最安値だが?

ZiPPi(ジッピ)は自動車保険でも有名なソニー損保が販売している医療保険で、入院中の実費が保障されるのが最大の特徴だ。以下、この保険の概要を記載し他社の医療保険と比較する。

まず主契約の基本保障だが、一般的な医療保険は入院給付金・手術給付金などで構成されるが、この保険では入院時治療保険金のみで構成されている。オプションで差額ベッド代・入院時諸費用・先進医療の保険を付加するかを決めることになる。これは裏を返せば差額ベッド代・諸費用(交通費など)は保障の対象とはならないことを示している。一般的な医療保険で入院給付金を受け取れば用途は自由で、差額ベッド代であろうと食費であろうと何に使ってもいいが、この保険だと基本的には支払った入院治療費に充てることになる。

ソニー損保 ZiPPi(ジッピ)の仕組みと主な保障内容・保険料

この支払った実費が保障されるという点は、一般的な医療保険よりもメリットがあるケースもある。例えば、従来の入院日数に応じた医療保険では2~3日の入院だと2~3万円を受け取るだけだ。ただ、ZiPPiであれば窓口負担で3万円以上になっても実費が全て保障されるため、安心感があるというわけだ。

ただ、デメリット・落とし穴として「入院日数の短期化」「高額療養費制度との兼ね合い」「1ヶ月20万円で120万円まで」の3つがある。まず「入院日数の短期化」だが、2~3日の入院であればZiPPiの方が有利になる可能性もあるが、日帰り入院となるとZiPPiの保障外となる可能性がある。そもそも日帰り入院の概念自体が曖昧で、手術をしても医師・病院に外来とされれば保険金は受け取れない。さらに、仮に3週間の入院で30万円の治療費が発生したとしても「高額療養費制度」で誰でも自己負担は約8万円となる。この厚労省の制度は誰でも利用できるため、治療費が高額でも、この部分のみZiPPiカバーするに過ぎないことになる。毎月8万円の出費が数ヶ月継続すれば家計を圧迫するが、毎月入院と手術を繰り返すケースは稀で普通は考えにくい。入院後の長引く通院はカバーされないのも大きなネックだ。

もちろん半年~1年の入院で手術を複数回するというケース、リハビリが長引くケースも無くはない。入院費の平均は1日1万円のため、入院が長引けば大きな負担となる。ただ、そう考えてもZiPPiの場合は、保険金は1ヶ月に20万円(1ヶ月は30日だが)が支払い限度であり、1入院あたり120万円までに制限される。半年以上の入院になると保障は途切れてしまい、長期入院も十分にカバーできるとは言い難い。この保険のメリットは耳障りは良いが、落とし穴もあるということだ。

次に、下図では終身医療保険を加入できる年齢入院日額と限度日数・通院日額と限度日数・入院と外来時の手術給付金通算給付日数先進医療給付金で比較した。顧客満足度ではオリコンの満足度ランキングで比較した(価格.comや各保険サイトのランキングは契約数だけが基準のため参考外)さらに苦情率(苦情数÷契約数 ※生命保険協会公表)を算出し、契約した場合に自分が苦情を言う可能性も考慮した。保険料は男性で入院日額5,000円(終身払い)で先進医療特約・通院特約を付加した30~60歳の月額保険料で比較した。

名称 三井住友
あいおい
Aプレミア
オリックス
新CURE
チューリッヒ
DX
FWD富士
ベストG
メットライフ
フレキシィS
アクサ
ダイレクト
ネオ
ファースト
ネオde医療
東京海上
あるく
ソニー
ZiPPi
年齢 ~80歳 ~75歳 ~75歳 ~80歳 ~80歳 ~69歳 ~85歳 ~56歳 ~69歳
入院日額
限度
\5,000~
30日~
\5,000~
60日
\5,000~
30日~
10~30万
50回
\5,000~
60日
\5,000~
60日
\5,000~
60日~
\5,000~
60日
実費
120万
通院日額
限度
\5,000
30日
\5,000
無制限※
\5,000
30日
- \3,000
30日
- \5,000
無制限※
\3,000
30日
-
手術給付
入院
2.5~10万 10万 5~10万 10~30万 2.5~10万 5~20万 5~40万 2.5~40万 -
手術給付
外来
2.5万 2.5万~10万 5万 2.5万 2.5万 2.5万 2.5万 2.5万 -
通算日数 1,095日 1,000日 1,095日 - 1,095日 1,095日 1,095日 1,095日 720万
先進医療 2,000万 2,000万 2,000万 2,000万 2,000万 2,000万 2,000万 2,000万 2,000万
オリコン ランク外 3位 ランク外 ランク外 1位 ランク外 ランク外 5位 ランク外
苦情率 0.14% 0.31% 0.58% 0.58% 0.64% 0.22% 0.63% 0.29% -
保険料
30歳
\2,658 \2,517 \1,682
(\2,167)
\1,513 \2,298 \1,340
(\1,740)
\1,561 \1,475
(\1,425)
\1,177
保険料
40歳
\3,468 \3,667 \2,217
(\2,912)
\1,922 \3,110 \1,850
(\2,600)
\2,150 \2,035
(\1,950)
\1,686
保険料
50歳
\4,763 \5,607 \3,152
(\4,207)
\2,572 \4,601 \2,735
(\4,035)
\3,072 \2,960
(\2,765)
\2,949
保険料
60歳
\6,708 \8,502 \4,692
(\6,317)
\3,564 \6,869 \4,275
(\6,325)
\4,364 - \4,897
終身医療保険の比較表(三井住友あいおい生命 エースプレミア・オリックス 新CURE・地ーりっひ生命プレミアムデラックス・FWD富士生命 医療保険ベストゴールド・メットライフ生命フレキシィS・アクサダイレクト生命 医療保険・ネオファースト生命 ネオdeいりょう・ソニー損害保険 じっぴ・東京海上あんしん生命 あるく保険)

上図で1番右のソニー損保のジッピだが、加入年齢が69歳までと他社よりも若干低めだが平均の範囲内には入るだろう。入院給付金・通院給付金・手術給付金は実費保障のため他社と一律に比較できないが、前述の通り通院が保障されるないのは痛い。顧客満足度のオリコンランキングでは損害保険会社のためかランク外で、苦情率も自動車保険なども混ざっているため一律に比較はできない。

保険料は他社と比較して安い部類で、30歳・40歳では上図では最安値となっている。特に30歳の保険料の安さは群を抜いており、ランチ代を月に1回か2回節約するだけで保険料を捻出できるレベルだ。その反面、50歳・60歳だと他社と比較して保険料は平均か少し高めの部類に入る。年齢を重ねてからの加入は、保険料を考えるとイマイチといえるだろう。

結論としては、保険料を重視するなら悪くはない保険かもしれないが、保障面を考えると保険としての意味は大きくはない。これなら1ヶ月の以内の入院に備えて8万円だけ常に口座に残しておくのでも、備えという意味では大きな差はない。 一応、30代で保険にどうしても加入しないといけない(妻に迫られている等)場合なら、保険料負担は小さいため一応は検討の余地があるかもしれない。それならそれで、いっそのこと保障が厚めのオリックス生命、うつ病等の精神疾患をカバーするチューリッヒ・アクサダイレクト、介護・認知症までカバーする三井住友あいおい・メットライフあたりを検討する方が建設的だ。