相続税の申告・納付

相続税を金銭で納付する場合の納付方法は選択肢が広いようで?

相続税は相続によって財産を得た人に課される税金で、相続開始の日(死亡した日)の翌日から10ヶ月目までに相続税の申告書を提出しなければならない。そして原則として期限内に申告書を提出したら、提出期限までに相続税を納付しなければならない。違反すれば延滞税・加算税が課される。

それでは、申告書を提出して実際に納付する方法は、どのような手段があるのか? まず最もベーシックな方法として現金・預貯金での納付が挙げられる。具体的な方法は「税務署に現金を持参」「最寄の金融機関・郵便局で納税」「e-Taxでインターネットバンキングで振込・預貯金口座から振替」等がある。

まず、税務署に現金を持参する場合だが、自分の住所地の所管税務署で納付書に氏名・税額等を記入して、現金に納付書を添えて税務署の納税窓口に持っていけばいい。納付書は税務署の他に金融機関にも置いてあることがある。

税金の納付書

現金持参の注意点は納税額が高額になると、紛失・盗難による被害が甚大になる点だろう。また、昨今の金融機関のATMは1日の引き出し限度額は50万円(ICキャッシュカードでも100万円)なっている。納税額が数百万円単位となると窓口か複数回に分けて出金をする必要があり、大金を持ち歩く機会が増えてしまう。後述するネット経由ではインターネットセキュリティの問題があるが、こちらにはアナログなリスクがある点は忘れずにおきたい。

次に「最寄の金融機関・郵便局で納税」だが、納付書を窓口で提示して支払えばいい。窓口ではなくペイジー(Pay-easy)を利用すればATMでも利用でき、ATMで収納機関番号などの数字を入力して金銭をATMに入れれば済む。ただし、こと相続税についてはペイジーは電子納税システム(e-Tax)を利用した登録方式でしか支払えない。

最後に電子納税システム(e-Tax)だが、e-Taxを利用するには自分の住む区役所・市役所で利用登録し、さらにマイナンバーカード・住民基本台帳カードが必要になる。それをクリアさえしてしまえば、インターネットバンキングでの振込、預金口座からの振替などで納税をすることができる。事前準備に手間を感じず抵抗なく行えるかがカギとなりそうだ

ちなみに相続税の納税のために株式・土地を売却する場合には、通常は譲渡所得として課税されるが、相続税支払いのためだと取得費の特例が利用できる。これは相続税を財産を取得するための取得費(≒経費)として利益から差し引ける制度だ。相続税支払いのために土地・建物などの売却を検討している場合には、この制度を忘れずに利用したい。

以上が相続税の納付方法についてだが、相続について不明点・疑問点があるようなら、ネット・書籍などで情報収集すると共に、税理士・信託銀行などの無料相談や、自治体主催の無料参加できる相続セミナー・相談会で直に専門家に確認してみるのも手だろう。