動産・金融資産の評価

相続税の対象となる投資信託・株式の評価方法とは!?

相続税は相続によって財産を得た人に課される税金だが、相続税の対象となる財産の金額は相続税法では「財産の取得時における時価(財産評価の原則も参照)」によるとされている。それでは土地・建物・保険に次いで相続財産の代表格である投資信託・株式は、どのようにして金額として評価するのか?

まず投資信託だが、投資信託は概ね「上場投資信託」「証券投資信託」「貸付信託」の3つに分けられる。上場投資信託は金融商品取引所(東証など)で取引できるETFやリートのことだが、これらは後述する株式と同様に評価する。

証券投資信託は株式市場に上場はしていないが、証券会社・銀行を通じて売買できる投資信託で、主に基準価額によって評価される。基準価額は課税時期(被保険者から相続するタイミング)における数値を採用する。基準価額が5000円で100口を保有していれば、50万円ということになる

ただし、投資信託は解約して換金する際に、解約手数料は元より信託財産留保額も差し引かれる。そのため、財産評価をする腕は解約手数料・信託財産留保額も差し引いた額で金額を算出する。

貸付信託は、金銭を集めて銀行・信託会社が企業に貸し付けて利益を顧客に分配する商品だが、現在では新規募集を停止している。そのため、あまり意味は無いのだが、評価方法としては元本に既経過収益を加えて、源泉徴収される税額・手数料を差し引いた額が評価額となる。

次に株式だが、株式市場に上場している株式は下図で最も低い額で評価する。最長で過去2ヶ月前の株価まで遡れるため、株価が急騰した場合でも相続税の対象となる評価額を引き下げることで相続税の軽減ができる。また、複数の銘柄の株式なら、当然ながら銘柄ごとに評価する必要がある。

上場株式の評価方法

上場株式であれば基本的に上図の方法で評価するが、注意すべきは負担付贈与で株式を取得した場合だ。この場合に限っては、評価額は課税時期の取引所で公表される最終価格(その日の終値)で評価される。過去に遡って安い株価で評価できないため注意が必要だ。

また、上場はしていなくても気配相場等のある株式、つまりは日本証券業協会の登録銘柄・店頭管理銘柄は、上場株式に準じた評価方法で評価する。その一方で公開途上だと公募の段階での取引価格で評価することになる。

ちなみに、株式には配当による収入があるため、配当収入も評価する必要がある。配当を得られる権利、配当期待権は予想配当金額から源泉所得税を差し引いた額で評価される。配当金の基準日移行に被相続人が死亡して相続が開始した場合、株式は配当落ち後の株価で評価されるため注意が必要だ。

以上が相続税における投資信託・株式の評価についてだが、その他に相続について不明点・疑問点があることもあるだろう。ネット・書籍などで情報収集しても腑に落ちないなら、税理士・信託銀行などの無料相談や、自治体主催の無料参加できる相続セミナー・相談会で直に専門家に確認してみるのも手だろう。