損害保険 解説・用語集

ソルベンシーマージン比率とは?破綻直前には?

ソルベンシーマージン比率とは、保険会社の保険金支払い能力を数値化したもので、通常のリスクを超える過大なリスクに対して、保険会社のどれだけの自己資本が確保されているかを意味する。この比率に基づいて金融庁は経営改善命令・業務停止命令を下す。

具体的には、ソルベンシーマージン比率が200%を下回ると経営改善計画の提出・実施命令、100%を下回ると経営改善命令、0%を下回ると全ての業務か一部の業務の停止命令が下される。支払い能力が2倍とすると十分ともとれるが、戦後の保険会社の破綻の際にはソルベンシーマージン比率は有効に働いていなかった。例えば、2000年に破綻した千代田生命の直前の数値は246%、2001年に破綻した東京生命の直前の数値は447%であった。そのため2012年3月期決算から、将来利益の全額不算入等の厳格化した基準で、ソルベンシーマージン比率で計算し公表されることになった。

それでは、厳格された2012年3月期決算の各保険会社の数値はというと、軒並み200%は超えている。損保大手のNKSJ(損保ジャパン・日本興亜損保等)で約700%、MS&AD(三井住友系)で約750%と非常に高い。一方で、ペット保険が中心で歴史が浅いアニコムは約350%、自動車保険が中心のソニー損保で約550%と、大手よりは数値は劣るが基準は十分にクリアしている。ただ、基準が厳格化された後のため、何とも言えないが、過去の400%でも破綻したことを考えれば過信は禁物だ。

ちなみに、損害保険とは逆に生命保険ではソニー生命・ライフネット生命が約2,000%なのに対して、日本生命・アフラックは約700%で43社中で34,35番目の低さとなっている。数字だけ見れば、明らかに2社には一抹の不安がある。特に日本生命は、生保レディから脱却できず、明らかに他社より高い保険料で顧客獲得に陰りが見えており、明らかに過渡期が来た感は否めない(生命保険の有用性が疑問視される昨今、お付き合い以外で日本生命に加入する若者は稀有だろう)そのうえ、ソルベンシーも低いとなると数字面では業界一位とは思えない。

以上のように、これから保険の見積をとる人も、既に保険契約済みの人もソルベンシーマージン比率は、とりあえず1つの指標にはなる。もちろん、保険は保険料は元より保障内容や期間も重要だ。それらで決めきれないなら、参考指標として利用する価値があるだろう。