損害保険 解説・用語集

ペット保険の保険金の請求方法

ペット保険で、保険金を受け取る方法には2通りある。1つは動物病院の窓口で治療費の一定割合を支払う方法、もう1つが窓口で一度は全額を支払って後から保険会社に請求する方法だ。これは、ペット保険には健康保険の側面と、医療保険(損害保険)の側面の両面が存在しているためだ。

ペットも病気になれば人間同様に病院に行く、その意味では健康保険のように窓口で診療費の一部を負担するのが手間も少なく便利だ(人間の健康保険では、普通は保険適用に際して診断書を必要としない)

その一方で、ペットも高齢化・難病化し、さらにはペットに対する愛着の度合いも強くなっている。以前であれば、安楽死させていたような病気・ケガでも治療法次第では助かるケースもある。その意味では、ペット保険には医療保険の側面がある。例えば、ペット保険であっても医療保険と同様に、時間外診療費(緊急時除く)・厚生省の未承認薬による治療費は保険の対象にはならない。そういった事態を考慮すれば、窓口で精算するのは難しくなり契約者が診断書などを送付して、保険会社が保険を適用できるか否かを判断する必要が出てくる。

もちろん、ペット保険を販売している保険会社が小規模(少額短期保険)が多いのも、請求方法が統一化されない理由の一端でもある。小規模な企業(資本力の無い企業)ほど、支払いに不安があるため動物病院からは窓口請求、すなわち保険会社の後払いを敬遠される。さて、保険金の請求パターンには大まかに3つ存在する。

ペット保険の保険金請求方法(3パターン)

1.全額支払い→診断書発行→請求書と共に郵送→保険金受け取り
このパターンが1番手間を要する。まず動物病院での治療後に領収書を受け取り、診断書の発行を依頼して、治療費の全額を一時的に自分が支払う。診断書は即日で発行してくれる動物病院は多くはなく、後日に郵送されることが間々ある。診断書を得たら、各社のフォーマットに従って保険金請求書を記載し、保険会社に郵送する。保険会社の審査後に、治療費の一部・全額が振り込まれることになる。審査から振り込みまでにも数週間要するため、数週間~1ヶ月は覚悟した方が精神衛生上は良い。この方式は、ペット保険の保険会社の中でも損保会社ではなく、少額短期保険の業者が採用している。

2.全額支払い→請求書を郵送→保険金受け取り
このパターンだと、診断書を待つことなく窓口で領収書を受け取れば、家に帰って保険金請求書を記載して、領収書と共に郵送すれば保険会社が審査を始めてくれる。振り込みまでの時間を短縮できる他、診断書は発行に数千円が必要となるため、その分の費用も削減できるメリットがある。とはいえ、審査・振り込みは数日から数週間は必要になるため、1よりは早いが決してスピーディーとは言い難い。この方式は少額短期保険だがPS保険が採用している。

3.窓口で一部支払い(残りは保険会社から動物病院に支払われる)
このパターンが、最も手間がかからず楽な方法だ。健康保険と同様に窓口で治療費の一部を支払い、残りは保険会社から動物病院に支払われる。ただし、保険料は高めなことが多い。これは、動物病院側からすれば相応の資本力と信用がなければ、治療費の不払いが起きる懸念があることが考えられる。この方式はアニコム損保・アイペット損保が採用している。

以上のように、手間を省くなら3の窓口で一部を支払うのがベストだ。しかし、ペットが頻繁に病気・ケガをするならまだしも、数年に1回、一生涯に1回なら書類を書く手間を我慢できるという考え方もできる。手間を厭わないなら保険金請求書を送付するペット保険もアリだ。