損害保険 解説・用語集

海外旅行保険とは?

海外旅行(傷害)保険は、海外旅行のために自宅を出てから帰宅するまでの間に被ったケガ及び病気について、保険金が支払われる保険を意味する。勘違いしやすいが、実際に海外に到着する前の国内の移動中に事故に遭遇し、それによってケガをした場合も保険金は支払われる。例えば、自宅から空港までのシャトルバス・電車で交通事故が起こり、自身はケガをし、スーツケースが破損した場合でも保険金は支払われる。

また、他の保険(医療保険・傷害保険)では対象外か特約扱いになる、地震などの天災でケガを負った場合でも保険金は支払われる。かなり特殊なケースになるが、海外旅行に行く途中に日本で大地震が起きてケガをした場合でも保険金が支払われる。地震保険に加入していても、人は対象外となるため普通は支払われないため、そういう意味では特殊であり補償内容は広いともいえる。

主な補償内容を3つに大別すると、①旅行者(保険契約者)にケガ・病気関する補償、②旅行者が持つ物・関連する人に対する補償、③旅行自体・旅程に関するトラブルに対する補償がある。

①ケガ・病気関する補償だが、ケガか病気か、死亡したか否かで分かれる。単純にケガをして治療費が発生した場合は「傷害治療費用」、ケガで障害が残った場合は「傷害後遺障害」、ケガで死亡すると「障害死亡」となる。病気で治療費が発生した場合は「疾病(しっぺい)治療費用」、病気で死亡すると「疾病死亡」となる。また、病院で治療するだけでなく入院に至った場合には「入院一時金」が支払われる。いずれも感染症(鳥インフル・マラリアなど)に加え、テロ行為によるケガでも補償の範囲内となる。ただし、当然ながら故意にケガをした場合や、明らかに戦争中の国に行く場合には保険の対象外となる(テロは偶発的だが、戦争は計画的かつ国際的に明示されるケースが多いため)

②旅行者が持つ物・関連する人に対する補償では、物と人に主に分かれる。まずは自分が旅行に持って行った物が破損・盗難された場合の「携行品損害」、逆に自分が他人の物(+人)を破損してしまった場合の「賠償責任」がある。前者は海外旅行では最も利用頻度が多い補償の1つで、例えばスーツケースの破損、ロストバゲージ(スーツケースが行方不明・盗難)、PCやカメラの置き引きに遭った場合が含まれる。ただし、現金・コンタクトレンズなどが対象外となる。さらに②には、旅行者が現地でケガ・遭難した場合の「救援者費用」が含まれる。これには家族が駆けつける費用から、遭難時に現地の捜索チームが必要となった場合も含まれる。

③旅行自体・旅程に関するトラブルに対する補償には、航空機関連と他の偶発的トラブルが含まれる。飛行機に預けた手荷物の到着が遅れて日用品を購入する必要がある場合に支払われる「航空機預託手荷物遅延費用」、飛行機が遅延して空港・中継地で宿泊する場合の「航空機遅延費用」がある。飛行機以外のトラブル(同行予定者が危篤など)で出国できない場合などの「旅行変更費用」、それ以外の予期せぬトラブルで旅程を変更することになった場合の「偶然事故対応費用」がある。

以上のように、旅行中に期間は限定されるが、その分だけ補償される範囲は非常に広い。旅行する国によっては必要性は限りなく薄くなるが、利用価値は十分にある保険だ。