損害保険 解説・用語集

山岳保険の価値と保険金の目安は?

山岳保険(運動危険補償特約付傷害総合保険)とは山岳中の事故による損害を補償する保険を意味し、自身のケガ・死亡に対する保険金の他、遭難した際の救援者費用・遭難捜索費用などが事故が発生すると受け取れる。

他の傷害保険と同様に、契約者(登山する人)が登山中に死亡すれば死亡保険金が支払われ、ケガをして入院・通院することになれば入院日額・通院日額が受け取れる。さらに個人賠償責任補償もあり、これは山岳保険の場合には自分が原因で落石して他人をケガさせた場合や、自分が滑落して他人も巻き込んでしまった場合などが考えられる。携行品損害も、海外旅行保険のように置き引きなどの可能性よりは、滑落・遭難時に貴重品を紛失してしまうことをカバーする意味合いが強い。

一方で、山岳保険の場合にはケガの補償よりも重視すべきは、遭難時の各費用の補償だろう。前述した救援者費用・遭難捜索費用の他に、保険会社によっては遺体搬送費・追加遭難捜索費用・病気による遭難費用・各協力機関への謝礼費用などが付帯するものもある。考えるべきは、どの程度の保険金が必要になるかという点だろう。それにより契約すべき山岳保険が異なり、どのプランを選択するのが妥当かという判断が異なってくる(無駄な保険料を支払うことになる)ためだ。

その額を計算するうえでは、遭難日数と各費用のメドが必要になる。まず遭難日数だが、文科省等が参画する全国山岳遭難対策協議会のデータによると、遭難した人の約80%が当日か翌日に発見されている。残りの2割が長期化したケースなのだが、同協会のデータにも掲載されておらず単純に平均化はできない。ただ、それでも同協会が公表している事故を見るに2~3日で発見されている事例が多く、概ね1~2日程度と考えて差し支えないだろう。

各費用だが、日本勤労者山岳連盟や航空会社の数字を見ると、1回の救助で100万円という数字と、ヘリを1時間チャーターすると100万という数字が並んでいる。ということは最小では「1日×1回の救助=100万」になるが、最大では「16時間(日中8時間×2日)×100万=3,200万」という計算もできる。どちらにせよ、100万円以上は見込んでおく費用がありそうだ。

以上のように、高額になるケースを考えれば山岳保険の利用価値は疑いようがない。特に、遭難して死亡すれば生命保険の保険金で諸費用をカバーすることも考えられるが、生き残った(こちらの方が可能性は高い)場合には、その後の治療費などもあり、かなりの出費と今後の生活に支障を来たす可能性もある。山岳保険の確率自体は低いが、山岳事故の中で約63%が50~70歳となっているため、年齢が50歳を超えるようなら、万が一を考えて数千円をケチらずに山岳保険に加入しておいた方が賢明だろう。