損害保険 解説・用語集

所得補償保険の意味と利用価値は?

所得補償保険とは、病気やケガで就業不能となった場合に、その間の所得を補償する保険を意味する。病気やケガになったのは国内外を問わないため、海外出張(海外旅行)の病気が原因で就業不能となっても、保険金は受け取ることができる。保険期間中に無事故であれば、払い戻し(満期返戻金)があるタイプも存在する。

同じような保険に収入保障保険があるが、収入保障保険は被契約者が死亡(後遺障害)となった場合に保険金が支払われる点で異なる。所得補償保険が病気・ケガからの復帰を前提としているのに対し、収入保障保険は復帰不可能(死亡)が前提となっている点で大きく異なる。そのため、所得補償保険の場合には被保険者が死亡すると、保険契約は解約となり解約返戻金を受け取ることになる。

所得補償保険の保険料は年齢・職業によって異なる。大抵は基本1級~基本3級に分かれ、3級の保険料が最も高い。保険会社によって差異はあるが、基本1級の職種はデスクワーク・営業・小売店主が該当し、基本的には肉体的な負担が軽めの職種が該当する。基本2級になると、看護士・農耕作業者といった肉体的な負担がある職業、美容師や料理人といった刃物を扱う職業が該当する。最後に基本3級になると、警備員・消防員といった危険に対峙する職業、医薬品製造者・危険物を扱う研究職や技術者といった事故の可能性がある職業が該当する。肉体的な負担と日常的な危険の度合いによって保険料が決定されると考えていい。

また、肉体的にタフな若年層ほど保険料は安価で、5~10歳の年齢を経る毎に保険料は増額されていく。保険期間が1~2年のため若いときに安い保険料で加入したとしても、年齢を経る毎に保険料は増額されていく点には注意が必要だ。

また、所得補償保険には支払い対象外期間が存在する。そのため医師の診断を受け、一定期間が経過した後でも就業が不可能となった場合には、保険金が受け取れることになる。受け取る期間も就業可能になるまでというわけではなく、大抵は数ヶ月(1年未満)となるため注意したい。

さらに、保険会社によって病気の定義が若干異なる点も、保険加入前に確認しておく必要がある。特に精神疾患(うつ病・パニック障害など)は保障外としている保険会社もあるため注意が必要だ。

以上のように、就業不能となった際に備える保険だが、会社員であれば就業不能となっても有給消化ないしは健康保険などでカバーできる面がある。そのため、職種によって保険の必要性を判断することになる。その一方、個人事業主・自営業者・フリーランスは自分が就業不能となると収入が途絶えて、治療はおろか生活もままならなくなる可能性があるため、所得補償保険を検討する意義は大いにあるといえよう。