anyca(エニカ)を他社と比較・評価

anyca(エニカ)
オススメ度:
2
事業者:
DeNA SOMPO Mobility
名称:
anyca(エニカ)
初期費用:
0円
月額料金:
無料
利用料金:
車両による
特徴:
乗ってみたいに出会える

anyca(エニカ)はDeNA SOMPO Mobilityが展開しているカーシェアリングです。同社はプロ野球チームで知名度を上げたIT企業のDeNAと、損害保険のSOMPOホールディングスが出資した合弁会社です。タイムズ等のカーシェアと異なり、個人間で有償で車の貸し借りを行うため、自動車を持て余している人と自動車を使いたい人の双方に利益があります。さらに2020年8月からは企業の遊休資産(社用車・代車等)も加わりました。

料金はオーナー次第となり、車・地域等によって細かく異なります。そのため軽自動車で2500円(24時間利用)と安いこともあれば、外車で25500円(24時間利用)と高いこともあります。以下ではサービスの概要から、他社のカーシェアリングと比較した際のメリット・デメリット等を解説していきます。

入会申込・利用方法

入会申込は公式HPではなくアプリを通じて行います。アプリでメールアドレスかグーグル・フェイスブックのアカウントから入会手続きに進み、基本情報とクレジットカード情報・免許証等を入力すると会員登録が完了します。本人確認には免許証と自分の顔写真で本人確認をするIDセルフィーを行います。何ら問題が無ければ基本的に会員登録は当日か翌営業日には完了しますが、オーナーとの交渉が必要なため入会日から即日利用は少し難しいです。

利用可能な自動車の検索もオーナーとの交渉・車両の予約もアプリを通じて行います。車種・場所・希望日時などから自動車を絞り込んで、スマホを通じてオーナーに予約リクエストを送ります。オーナーが車を使わない日時ならリクエストが承認され予約が確定します。

予約と同時に損保ジャパンの時間単位型自動車保険(乗るピタ!)、もしくは東京海上の1日自動車保険(ちょいのり保険)に加入することになります。どちらの保険も車両補償が付いているため、事故で車両が破損したとしても安心です。

anyca(エニカ)の予約から予約確定までのステップ・フロー・手順(出典:anyca公式HP)

予約確定と保険加入後はオーナーと受け渡し場所や注意事項の確認(ペットNG等)をチャットでやりとりします。受け渡し場所で車を受け取り、利用後は車を返却して感想などをレビューに記入します。車の返却に遅れる・間に合わない場合は延長ができないため、オーナーに直接連絡して了承を取るしかありません。相手方と連絡が取れなくてもanycaで連絡の代行はしていないため、アプリのチャットで連絡を待つ他ありません。

また、利用日の24時間前を切ってからのキャンセルはキャンセル料が発生します。オーナーによってはキャンセル料ナシのこともありますが、キャンセル料アリなら合計使用料の25%分がキャンセル料となります。また、ガソリン料金は使用分だけ利用者が支払う必要があります。一般的なカーシェアのように車内の給油カードで支払う(自腹なし)とはなりません。

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車種・クラス

anycaの車種は公式アプリによると750種以上となっています。タイムズ等の一般的なカーシェアは20種前後のことが多いのですが、anycaの場合は生産終了したクラシックカー等も含まれるため車種が圧倒的に豊富です。セダン・ミニバン・SUV・コンパクトカーといった日常使いの車種から、オープンカー・キャンピングカー・ピックアップトラックまであります。

自動車メーカーも国内メーカーはトヨタ・ホンダ・日産・マツダ・ダイハツ・スズキ等々に加えて、個性的な車で知られる光岡自動車あります。光岡自動車は2001年の東京モーターショーで出展したオロチで注目を浴び、今でも個性的な自動車を販売し続けています。ミツオカ直営のショールーム・販売店は決して多くないため、試しに乗ってみたい人や気軽に乗り回したい人には良いでしょう。

光岡自動車の車種ラインナップ(出典:光岡自動車 公式サイト)

さらに今ではトラックのイメージが強いいすゞ自動車のセダンもあります。いすゞ自動車は2002年をもって乗用車部門を完全撤退し商用車に専念していますが、かつて製造していた車は中古車であったりレストアされたりして流通しています。特に1970年代の日本車を代表する117クーペは今でも根強い人気があります。

外車もベンツ・BMW・アウディ・ポルシェ・フォルクスワーゲン・ルノー等々に加えて、電気自動車のテスラがあります。テスラモデル3だと流線的なフォルムに加えて、前から後ろまで全面ガラスルーフのため乗ると後部座席も開放感があります。さらに運転席は15インチのディスプレイで全てを操作するという割り切りをしています。

テスラ モデル3の外観と運転席(出典:テスラ公式ホームページ)

テスラ車は概ね500~1000万円で決して安くありません。さらにアメリカで高級車として知られるキャデラックやリンカーンもあります。安くない買い物をする前に、じっくりカーシェアで試し乗りするのも手です。

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料金を他社と比較

anycaの料金は車種・平日or休日によってオーナーが独自に決めており、「平日で2日連続利用なら2日目の料金は1000円でOK」といったケースもあります。公式サイト・アプリで提示している料金には契約料・使用料・自動車保険料が含まれます。anycaは共同使用という形式のため契約料が必要で、契約期間の数か月(6か月が多い)が終了すると再び契約料が必要となります。数か月おきに支払うとはいえ契約料は100円のため負担は小さいです。

前述したように利用料金はオーナー次第のため24時間利用で2000円のこともあれば、24時間利用で数万円のケースまで幅があります。さらに走行した分だけ利用者が給油してオーナーに返却するため、給油代も走行距離・車種によって変動します。本当に自分にとって得なのか否かは、自分の近くにいるオーナーの料金を確認して個々に高いか安いかを考える必要がありそうです。

それでは他社のカーシェアと比較した場合はどうなのでしょうか。日本のカーシェアはステーション数・会員数(詳細は後述)ではタイムズ・オリックス・カレコがトップ3で、これらと差があるもののカリテコが4番手です。さらにドコモのdカーシェアはオリックス・カレコ・カリテコを各社と契約せずに利用できます。この主要5社とエニカを初期費用・月額料金・利用料金を比較したのが下図です。

タイムズ・オリックス・カレコ・カリテコ・dカーシェア・アースカー・エニカ・カフォレの初期費用・月額料金・利用料金・パック料金・距離料金の比較表(出典:各社の公式HPの数字から当社が独自に作成)

anycaは初期費用・月会費は無料のため、月会費が必要なタイムズよりも有利です。ただ、初期費用・月会費が無いのはカレコ・カリテコ・dカーシェア・オリックス(キャンペーン中は初期費用無料)と同じです。大手の中では利用料金はカリテコの15分187円と6時間パックで距離料金が発生しない3740円が安いです。

それに対してanycaは24時間で2000円の車種があり圧倒的に安いのですが、給油代が自腹のため短時間利用だとカリテコやタイムズの方が安い可能性があります。タイムズ等で距離料金が発生する6時間以上の利用だと、やはりanycaの方が車種次第では安くなります。

また、同じ個人間カーシェアのアースカーと比較すると、短時間だとアースカーの方が安い可能性がります。アースカーだと車種によっては6時間で510円(+15円/km)ですから、24時間利用を前提とするanycaよりも安く済む可能性があります。ちなみに両者とも距離料金(給油代金)は発生します。

ステーション数

anycaのステーション数(登録車両数)は公式サイトによると2019年時点で7000台以上となっています。2017年時点では2000台だったことから考えると、わずか数年で3倍以上に膨れ上がったことになります。同じ個人間カーシェアのアースカーは135ヶ所に留まっている点からすると、驚異的な伸びだといえます。1人のオーナーが複数台の車両を登録している可能性もありますが、今や数字の上ではオリックス・カレコ等のステーション数も上回ります。

ただ、「全国のカーシェアリング事例一覧2020(公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団)」によるとタイムズのカーステーションは12969ヶ所もあります。さすがにタイムズの牙城を崩すまでには至っていません。次に下図の主要都市にあるステーション数の比較図を見てください。

タイムズ・オリックス・カレコ・カリテコ・dカーシェア・アースカー・エニカ・カフォレの車両ステーションの合計及び東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪・兵庫・愛知の各県にある車両ステーション数(出典:各社の公式HPの数字から当社が独自に作成)

anycaの登録車両が最も多いのは東京都の2265ヶ所で、次いで神奈川の865ヶ所、大阪の481ヶ所、埼玉の426ヶ所、千葉県の408ヶ所等々が続きます。いずれもタイムズよりも少ないのですが、こと埼玉に限ってはタイムズの489ヶ所に対してanycaは426ヶ所と肉薄しています。ステーション数から考えるとタイムズのステーションが最も自宅の近くにありそうですが、埼玉であればanycaも有力な選択肢になるかもしれません。

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メリット

anycaのメリットは、まずは入会当日の利用も可能という点が挙げられます。とはいえ他社で即日利用ができるのと異なり、あくまでオーナーが当日利用でOKを出さないと利用できません。即日利用できるのはメリットですが、人による(自分の近くのオーナーによる)と考えた方が良いかもしれません。

車種が豊富な点もメリットで、前述した車種の他に2000万円を超えるBMWのスポーツカーBMW i8を始め、クラシックカーであれば1954年のジャガーXK等々があります。さらに車好きのためのイベントが随時実施されています。過去にはバック・トゥ・ザ・フューチャーで有名なデロリアンの試乗会、頭文字Dで登場するハチロクなどの名車試乗会などが催されています。

頭文字Dの名車試乗会(出典:anyca公式HP abycaNEWS)

一方で車種にはこだわりが無い人でも料金面ではメリットがあります。短時間であれば他社の方が安いのですが、24時間なら車種によっては他社よりも格段に安くなります。2日目は1000円としているオーナーの車なら、48時間借りても3000円程度(給油代除く)になります。車で泊りがけで旅行に行くような人には価格面で大きなメリットがあるでしょう。

さらにステーション数(登録車両数)が多いのもメリットです。カーシェアにおいて最重要なのはステーションが自宅の近くにあるか?という点です。いくら魅力的だとしても自宅から徒歩30分の場所にあるステーションや、電車で数駅も離れた場所にあるステーションは基本的に無意味です。そのためステーション数が多いのは大きなメリットだといえます。

デメリット

anycaの最大のデメリットは希望する車種とステーション(オーナー)の場所が合致しない点が挙げられます。一般的なカーシェアと異なり、ステーションによって車種が大きく異なります。とにかく安い料金で利用したいのに安い料金を提示しているステーションが無い、その逆にクラシックカーに乗りたいのに近くに無いといった具合です。自分の希望に合致しているか入会前に要確認となります。

さらに利用料金が安いとはいえ給油代(他社では距離料金に該当)が発生します。多くの他社が6時間以内の距離料金は無料にしており、日産のeシェアモビに至っては給油代・距離料金ゼロとしています。どれだけ安くても遠出をするほどに給油代で費用が膨らむ可能性があります。さらにオーナーによっては車の消耗を防ぐために距離制限を設けていることがあり、そうなると遠出をしようにもできません。

また、個人間での貸し借りをベースとしているため、トラブルが発生する可能性も否定はできません。前述したようにanycaは相手方と連絡が取れなくても連絡の代行はしていません。延長したくてもオーナーと連絡がつかなければ延長できません。さらに予約確定して利用日の24時間を切ってからのキャンセルはキャンセル料が発生するのもデメリットで、他社のように1分前まで無料でキャンセルOKとはなりません。

ちなみに外車に乗れる点をメリットに挙げましたが、この点ではカレコも負けていません。ベンツ・ジープ・ジャガー・ボルボ・ランドローバーといった外車に加えて、トヨタのハチロク・ホンダS660・マツダのロードスターといったスポーツカーにも乗れます。

カレコカーシェアの外国車・スポーツカーがあるプレミアムクラスとプレミアムプラスクラスの車種・車両ラインナップ(出典:カレコ カーシェアリング公式HP)

評判・会員数

anycaの会員数は2017年1月の6万人から2018年9月に一気に17万人まで増加し、2019年1月時点で20万人以上まで増加しました。評判が悪ければ会員数は減るか横ばいになるため、その意味で評判は良いといえます。ただ、会員数には1度限り利用した人も含まれており、その意味では実質的な会員数は少し抑え目にした数字かもしれません。

また、最大手のタイムズの会員数は2018年が96.5万人、2019年が117万人、2020年が137万人と20万人ペースで増加しています。さすがにタイムズと比較するのは可哀相な面はありますが、やはり差は大きいといえます。未だ個人間カーシェアより企業が提供するカーシェアの方が好まれているとも考えられます。

会員数以外の側面から考えると、大手3社よりも評判がイマイチな可能性があります。オリコンのカーシェア満足度2020ではanycaは調査対象に入っているにも関わらず、大手3社よりも顧客満足度は低い順位です。オリコンの調査は1058人を対象にしているため、数人・数十人の口コミよりも信頼が置けます。

オリコンのカーシェアリングランキング(出典:オリコン カーシェアリング 顧客満足度調査2020)

個別の評価項目ごとのランキングでもanycaが顔を出すことはありません。コスパ面ぐらいでは顔を出しても良いものですが、料金ではオリックス・タイムズ・カレコの順が1・2・3位となっています。そのため大規模調査で考えても大手3社よりはanycaの方が評判が悪い可能性がありそうです。

総合評価(おすすめか?)

自宅の近くに非常に安い車がある人・外車に乗りたい人にはおすすめできそうですが、それ以外の人には微妙といえそうです。一部の安い車両以外は平凡な料金で、6時間等の長時間パックでも距離料金が発生する分だけタイムズ等のカーシェアと差が小さくなるからです。その程度の差では手間をかけてオーナーと交渉するのは割に合わないでしょう。

やはりステーション数等を総合的に考えればタイムズの方がおすすめです。また、安さならカリテコとカレコ、6ヶ月間で6万円分(毎月なら1万円程度)は乗るようならオリックスも安いのでおすすめです。