長期優良住宅・低炭素建築物に係る所得税額控除(認定住宅新築等特別税額控除)と税金

長期優良住宅・低炭素建築物を新築した人は所得税額控除で節税を!

長期優良住宅・低炭素建築物を新築・取得した人は、税額控除によって納付した税金が返ってくる(還付される)ことで節税できる。住宅に関する税額控除には住宅ローン控除が有名だが、2つの税額控除は併用できない(税額控除って何?も参照)

2つを併用できないが、この認定住宅~はローンを組んでない人でも税額控除が受けられる点で大きなアドバンテージがある。住宅ローンを利用せず自己資金のみで住宅を新築するケースは多くないだろうが、資産家であったり相続などで資金を得た人で住宅を新築・取得する人には大きな利用価値がある。とはいえ、年収3000万円以上だと控除が受けられない点は抑えておきたい。

さて、この認定住宅新築等特別税額控除は、居住者が長期優良住宅か低炭素建築物を新築・所得した場合に利用できる。居住者は現在・未来において住む人で、居住していない人が控除が受けようとしても(仮に資金を拠出していようと)受けられない。自営業で店舗も兼ねる場合には床面積の2分の1以上は居住用である必要がある。

また、新築・取得と記載したが、中古住宅の取得は控除の対象外である点に注意したい。あくまでも取得は、建築後の未使用の住宅(建売の新築住居)を取得した場合に限られる。ほぼ新築のみが対象と考えていいだろう。

そして長期優良住宅や低炭素建築物に該当するかは、ハウスメーカー(建築会社・工務店)と一緒に書類を作成して技術的審査を住宅性能評価機関で受ければいい。耐震性・劣化耐性・省エネなどの幾つかの基準を満たせば認定が受けられる。低炭素建築物も同様に書類を作成して、審査機関に審査を依頼して施工前に市町村に届け出ればいい。とにもかくにも、施工前の住宅の本設計の段階で審査に通る住宅を目指しておく必要がある。

控除額の計算方法は「認定住宅の認定基準に適合するために必要となる標準的なかかり増し費用」の10%分と一見するとシンプルだ。この額が1年(1回)のみ控除され、控除限度額の650万円を超えると繰越が翌年(1回)のみ可能となっている。問題となるのは標準的なかかり増し費用(認定住宅限度額)だが、以前は構造別に差があったが、2014年4月~2017年12月31日までは構造などは無視し、43800円に住居の床面積をかけた数字となった。

認定住宅新築等特別税額控除の計算式(認定住宅の認定基準に適合するために必要となる標準的なかかり増し費用に0.1を乗じた額)

仮に鉄筋コンクリートで70平方メートルの認定住宅を新築した場合には、かかり増し費用は43800円に70をかけて約300万円となる。これに控除率である10%をかけた約30万円が控除額となり、この額の所得税が還付されることになる。

以上が認定住宅新築等特別税額控除についてだが、度々延長されてはいるものの2017年以降も継続されるかは不透明だ。新築するか迷っているならタイミングを遅らせ過ぎないようにしたい。また、この控除は会社員は年末調整だけでなく確定申告が必要になる。確定申告について不安があるなら、無料の税理士相談や自治体主催の無料の確定申告セミナーなどを利用するといいだろう。