株主優待と税金のまとめ・概要

株式優待は課税されるか非課税か!?

株主優待は個人投資家にとっては、長期保有をする際に配当と共に楽しみの1つといえる。そのバリエーションも企業毎に広く、自社の割引券から、本社所在地の特産品・飲食物、図書券やクオカードといった現金に近いものまである。それでは株主優待は課税の対象となるのだろうか?

結論としては、本来であれば所得税の対象となる。配当所得と見えなくもないが、税法に「法人が剰余金または利益の処分として取り扱わないもの」は配当ではないと記載しており、実際に企業は利益処分で処理していないためだ。そのため配当として課税はされないが、雑所得として所得税の対象となる。ただ、大抵の人は控除によって税額はゼロで確定申告は不要だ。給与所得がある人は雑所得になるが、株主優待で基礎控除を超える20万円以上の優待品を受け取る人は稀有であろうし、給与が無い人でも基礎控除の38万円以上の優待品でなければ実質的には非課税となるためだ。

しかし、給与所得者で20万円以上の雑所得がある人、多少なりとも所得があり基礎控除額を超えるような人もいるだろう。そういった人が受け取った株主優待で受け取った優待品はどうなるか。。。これは本来的には確定申告で申告すべきなのだろう。

ただ、実際問題として優待品を所得金額に換算するのは相当に難しい。例えば3000円相当の牛肉を受け取ったなら、3000円の雑所得と見ることは可能だ。しかし、メーカーの希望小売価格で3000円だとしても、実際のスーパーで2000円で売られていたらどうなのか?

物ではなく割引券だった場合、20%割引券を1万円の買い物で利用すれば2000円分の価値があったことになるが、10万円の買い物なら2万円の価値が割引券にあったことになる?

もしくは映画の無料鑑賞券だった場合、映画を見れば鑑賞料金である1800円の価値があったことになるが、ネットオークションで1500円で売却したら1500円の価値が無料鑑賞券にあったことになる。そうすると本来の正しい利用法である映画を鑑賞した人の方が、課税額が大きいことになってしまう。。。映画を見てない人に至っては、何の対価も得ないままに課税されることになる?

そんなこんなで、巷では株主優待は実質的に非課税と謳う人がいたり、株主優待の分を確定申告に含めていない人が相当数いるのだろう。もちろん、そういった行動は自己責任であるため誰かが批判できることではない(納税義務を怠っているとの批判は可能だが)

しかし、日本の財政と税収を考えれば、このまま税務署が手をこまねいて現状維持となるかは?だ。少しずつ税務署が多額の株主優待を受け取った人に向けて、順に動いていく可能性も否定できない。また、確定申告で不備があった場合や、申告漏れで口座の資金の流れを調べられた場合などで税務署に目を付けられれば、優待についても「皆やってるから」といった言い訳は通じない。そう考えれば株主優待も、金額は自助努力で正確に申告した方が精神衛生上は楽だ。

以上のように、控除の範囲を超えて所得税の課税対象となるようなら、素直に確定申告で申告した方がいいだろう。納得がいかないなら、税理士の電話の無料相談や無料相談会、各市町村で催される確定申告手続きの無料相談会もいいだろう。さらに安心したいなら確定申告などを税理士に依頼すれば、修正申告となろうと税金の追加徴収となろうと心強い味方となってくれるだろう。