各所得の概要と課税額の計算(税率・控除・非課税制度等)

株式・土地建物以外の譲渡は税金面で優遇されている!?

譲渡所得は一言で言えば資産の譲渡による所得を意味するが、譲渡する物は株式等・土地建物等・一般の資産の3つに分かれる。それぞれで税金の扱いが異なり、かつ譲渡するまでの保有期間によっても差が出てくる点に注意が必要だ。

まず株式等だが、この中には株式・投資信託が含まれるが、2015年の税制改正で国債・社債などの公社債やMMF・MRFといった公社債型投資信託も含まれる(詳細は2016年以降の債券と税金を参照)ことになった。これらは、自分で計算して税務署に申告して他の所得とは別に課税される申告分離課税となる。

とはいえ、実際には証券会社・銀行などで特定口座を開設して取引すれば、あらかじめ証券会社等が20.315%(所得税+住民税+復興税)の税金を差し引いた額で利益を受け渡してくれる。譲渡所得とはいえ他の所得は一線を画すといってもいいだろう。(詳細は株式・投信と税金を参照)

次に土地・建物の譲渡についてだが、譲渡した年の1/1時点で所有期間が5年を超えるか否かで短期譲渡所得と長期譲渡所得に分かれる。名称が異なるだけでなく、大きく税率が異なるため注意が必要だ。

譲渡所得の区分(短期・長期)

たかが5年の境と馬鹿にすることはできず、土地建物の長期譲渡所得であれば株式等と同じ税率の約20%で済むが、短期譲渡所得となると税率は2倍近い約39%まで跳ね上がる。かつての土地転がしのような売買を土地・建物で行うと、異様な税率で利益が税金で目減りすることになる。(詳細は不動産の譲渡と税金を参照)

さて、最後の一般資産の譲渡による譲渡所得だが、これがタイトルの50万円以内の譲渡は非課税ということになる。一般資産には、機械・備品・工具・自動車などの株式等と土地建物の不動産を除いたものが該当する。とはいえ、絵画・骨董品などで30万円を超えるものを除いた生活動産の譲渡は譲渡所得にはならない。

生活用動産を除いた一般資産を他者に譲渡すれば譲渡所得となるが、あらためて計算式にすると下記となる。当然ながら物を売って得た金銭から、取得するための費用と手数料などの譲渡費用を差し引いた額(つまりは利益)が譲渡所得となる。

譲渡所得の計算式

上図の右端にある特別控除がポイントで、一般資産の譲渡の場合には短期譲渡でも長期譲渡でも50万円の特別控除がある。これによって何かしらを譲渡しても、その利益が50万円以内なら譲渡所得は0円ということになる。譲渡所得が0円であれば課税されて利益が減ることもなく確定申告も当然ながら必要ない。(詳細は一般資産の譲渡を参照)

以上が譲渡所得の区分についてだが、一般資産で譲渡所得が50万円以内だからといって他の所得が要因となって確定申告が必要になることもあるだろう。基本的に譲渡所得と給与所得だけであれば確定申告などで困る・迷う可能性も低そうだが、もし悩むことがあれば、無料の自治体主催の確定申告相談会(税金セミナー)で確認したり、税理士の無料相談を利用するのも1つの手だ。