各所得の概要と課税額の計算(税率・控除・非課税制度等)

利子所得には国債・地方債の他に預貯金・一部の投信が含まれる!?

利子所得には国債・地方債などの公社債の利子に加え、普通預金定期預金などの預貯金の利子も含まれる。さらに金銭信託などの合同運用信託の分配金や、公社債に投資する公社債投資信託の分配金も利子所得に該当する。

まず公社債の利子についてだが、公社債は国・地方公共団体が発行する公債と、株式会社などの企業が発行する社債に分かれる。この中には外国の国債・外国の地方公共団体が発行する地方債(オーストラリアの州債など)も含まれる。注意したいのは、会社以外の法人が発行する債券(学校債・組合債など)で得られる利子は利子所得にならない点だ。これらは雑所得となり所得税が課税される。

次の普通預金・定期預金などの預貯金だが、これは都市銀行・地方銀行・郵便局(ゆうちょ銀行)かは問わない。さらに勤労者財産形成貯蓄、いわゆる財形で受け取る利子も利子所得に含まれる。財形であれば銀行だけでなく保険会社・共済も展開しているが、これらで得た利子も利子所得となる。ちなみに、証券会社の口座に株式・投信などの購入のためであったり、銀行の普通預金よりも高金利だからと、資金を貯めていることもあるだろう。この場合は預貯金の利子ではなく、公社債投資信託の分配金として利子所得になる(詳細は後述)

次いで金銭信託などの合同運用信託だが、オリックス信託・みずほ信託・三菱UFJ信託などで貸付信託・金銭信託が該当する。これらで得た収益(分配金)は、利子所得として課税される。注意すべきは信託であっても、土地を信託銀行に預けて運用してもらう土地信託などは金銭ではないため、それで得た利益は不動産所得として課税される。

最後に公社債に投資する公社債投資信託だが、短期の公社債・手形などで運用されるMMFやMRFなどが該当する。前述した証券会社に預けておいた金銭などは、実質はMMFとして運用されているため公社債投資信託に含まれる。これらで得た利益(分配金)は利子所得として課税される。

2016年の税制変更(金融所得課税の一体化)による公社債投資信託の変更点・変更ポイント

ここで注意したいのは、2016年1月から外貨建てMMFを含む公社債投信が、政府の税制変更(金融所得課税の一体化)で取り扱いが大きく変わった点だ。従来は外貨建てMMFだと、分配金の部分は利子所得として課税され、為替差益で得た利益については非課税だった。それも利子所得の部分は源泉徴収のため確定申告も不要だった。それが2016年1月以降は株式・一般的な投信と同じ税制・税率になり、分配金は利子所得だが為替差益は譲渡所得となり非課税ではなくなった。結果的に外貨建てMMFで得た利益は、約20%の所得税が課税される。とはいえ譲渡所得となったことで、株式や他の投信との損益通算が可能になったためデメリットばかりでもない。

さらに注意したいのは、外貨建てMMFなどの公社債投信は、2016年以降は特定口座にしておかないと確定申告が必要になる。正確には特定口座でなければ申告分離課税となり、証券会社ではなく自分で損益を計算して、確定申告で所得額を申告をせねばならない。計算が面倒な人は、公社債投信も忘れずに特定口座に入れるようにしたい。

以上が利子所得についてだが、意外と利子所得に含まれるものが多く感じたのではないだろうか。また、政府の「金融所得課税の一体化案」についてだが、最終的に預貯金も株式・投信と損益通算ができるよう進めるようだ。預貯金で非課税となる特例が見直される可能性もあるため、税金に関するニュースは随時チェックすべきだ。また、税金や確定申告で悩む・迷うことがあれば、無料の自治体主催の確定申告相談会(税金セミナー)で確認したり、税理士の無料相談を利用するのも1つの手だ。