各所得の概要と課税額の計算(税率・控除・非課税制度等)

山林所得の課税方法は他の所得よりも優遇されている!?

山林所得とは山林の伐採・立木のままの譲渡による所得を意味する。こと日本の林業においては、産出額はピークの1兆円から4000億円に減り、外国の安い木材に押されて国内消費の7割を外材が占めるほどに衰退している。

とはいえ大規模集約型から小規模分散型(自伐型林業)への転換によって、少しずつ日本の林業は復活を遂げている。また、林業をテーマにした「WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜」とった映画や森ガールブームなどもあり、若者にも林業が少しずつだが浸透し始めている。それでは、林業による山林所得は、いかに計算して課税されるのか?

まず、山林所得は冒頭で山林の伐採による所得と記載したが、山林を取得してから5年以内の伐採・立木の譲渡は、山林所得ではなく事業所得か雑所得となる点に注意したい。これは山林を取得して早々に伐採するのは、過度な利益の追求に近いと捉えられるためだろう。

さて山林所得の金額の計算だが、収入から必要経費と50万円の特別控除を差し引いた額で計算される。収入は木材の代金などで得た金額だが、算入できる経費は多岐に渡る。山林の取得費から、苗木費・植え付け費・伐採費・育成費等々が経費に含まれる。

山林所得の計算式

それでは上図の計算式で算出された山林所得は、どのように課税されるのか。ポイントといえるのは、課税される際には他の所得と合算せず課税され、さらに5分5乗方式で課税されるという点だ。この5分5乗方式とは、山林所得の5分の1に所得税を課税して、その5倍の額を年税額にするという課税方法だ。

山林所得の課税方法

この方法のメリットは、他の所得が大きくとも山林所得に係る税金は少なく、そして山林所得への課税額も小さいという点にある。仮に給与所得が300万円で山林所得が100万円の場合には、山林所得でない所得だと400万円の所得と課税され、所得税率は10%から20%に倍増する。しかし、山林所得は単独での課税となるため給与所得の300万円には10%の税率、山林所得の100万円に対しては上図の式で課税される。

山林所得が100万の場合、(100万円÷5×5%)×5=5万円となる。山林所得が500万円まで増えたとしても年税額は25万円にしかならない。これが給与所得だったなら課税額が5万円が58万円に増えることを考えれば、かなり累進課税を緩和した課税方法といえる。

ただし、林業経営調査によると山林所得は年間で数万円~数十万円にしかならないことが多いようで、この税優遇を活かしきれているかは疑問だ。これから自伐型林業の拡散・発展と共に、税優遇が活かされるようになるといいのだが。。。

以上が山林所得の計算・課税方法についてだが、これから林業を開始し山林所得を得ようとしている人(特に若者)は補助金ばかりではなく、こういった山林所得に対する税優遇を忘れずに利用したいところだ。また、確定申告等の税金で悩む・迷うことがあれば、ネットや本・書籍の情報だけでなく、参加無料の自治体主催の確定申告相談会(税金セミナー)で確認したり、税理士の無料相談を利用するのも1つの手だ。