所得税・経費の概要と仕組み(税率・控除・計算など)

親族が個人事業主へ貸付して得た利子収入は非課税!?

所得税額は年収ではなく所得額を元に計算され、所得は収入金額から必要経費を差し引いた額で算出される。必要経費の項目は数多くあるが、親族間のやりとりは経費にならなかったり非課税となったりするものがある。

まず個人事業主側からすると、生計を一にする配偶者・親族に利子・家賃を支払っても、支払った額は必要経費にはできない。とはいえ、個人事業主が支払った利子・家賃が親族を通じて外部に対して支払われたものは経費になる。利子・家賃が経費にできない一方で、親族が支払った固定資産税などは個人事業主の経費にできるメリットがある。ただし、利子・家賃を支払うのが親族といえども、個人事業主と生計を一でない場合には、利子・家賃などは必要経費にできる。他方で、固定資産税などは経費にできなくなる。

他方の親族としては、生計を一にする個人事業主に貸した金銭から得る利子、または家賃については所得にカウントされない。所得にならないため、必然的に所得税などは課税されないメリットがある。他方で生計を一にしない個人事業主に貸付けた金銭で得た利子は所得になり所得税などが課税される。これらをまとめると下図のようになる。

親族間の支払いを必要経費にできるか、及び課税所得となるか否か

個人事業主は利子・家賃が経費にできない代わりに、親族が支払う固定資産税は経費にできる。つまりは[利子・家賃 ≦ 固定資産税]であれば経費が増え、逆であれば経費は減るが課税される所得は増える。2つの額がイコールであれば特に変動はない。

他方で親族側としては、貸金に対する利子が非課税のため、所得税が課せられない所得が得られるメリットがある。例えば妻が夫に100万円を貸して、夫が申し訳程度に1万円の利子を付けて返済したなら、1万円は所得にはならず課税もされないということだ。考えてみれば至極当然なことではある。

もしも、夫に貸している金額が5000万円だったり、100万円でも超高金利であれば、夫の収益はさておき妻が受け取る額は相当になる。そういった事態でも課税されないのは不当といえるため、この「親族間の支払いの取り扱い」の規定では、同一生計で親族側が受け取る利子や家賃は原則として非課税とされている。度を越えたものであれば、間違いなく税務署に目を付けられるのは間違いない。その点は十分に留意する必要がある。

以上が所得税法における親族間の支払いについてだが、確定申告で迷う・困ったことがあれば、無料の自治体主催の確定申告相談会(税金セミナー)で確認したり、税理士の無料相談を利用するのも手だ。また、弥生(やよい)などの青色申告の計算ソフトも、計算ミス防止の一助となるだろう。