所得税の概要と仕組み(税率・控除・計算など)

家電・事務機器で減価償却できる物と、その耐用年数は??

所得税額は年収ではなく所得額を元に計算され、所得は収入金額から必要経費を差し引いた額で算出される。必要経費として購入した物品が高額であれば、減価償却することで経費を平準化することができる。

減価償却できるものは限定されており、物品毎に耐用年数も決まっている。一般的に耐用年数が長いほど有利とされている。それは耐用年数が長いほどに、既に支払った金銭を経費として算入でき、税申告の上での見かけの利益が圧縮され節税できるためだ。それでは、家電(電化製品)・事務機器・通信機器・光学機器で減価償却できるものには何があり、その耐用年数は何年なのか?

まず家電に類するもので減価償却できるものは数多くあるが、概ね4~6年になっている物が多い。また、家具編と比較して材質での分岐は無いため、その点では分かりやすいとも言えなくもない。

家電・電化製品で減価償却できるもの(テレビ・レコーダー・エアコン・冷蔵庫・パソコン・ファックス・インターホン・カメラ・時計)と耐用年数

まずはテレビ・ラジオなどの音響機器の箇所だが、音響機器の中にはウーファーやアンプも入ると考えられる。さらにテレビに付随する物と考えればDVDレコーダー・BDレコーダーも入り、同じく映像を視聴する物と考えればプロジェクターも入るだろう。

電化製品の中だと、冷蔵庫・洗濯機に類するものは耐用年数が6年となっているが、他に炊飯器・電子レンジ・掃除機も入る。そのため事務所にルンバなどのロボット掃除機を設置しているなら、これも耐用年数は6年に該当するだろう。他方で照明は広い意味では家電といえなくもない(現に家電量販店で販売されている)が、建物附属設備と考えられており、別途の扱いとなる。とはいえ耐用年数は15年と長いため、夜の店などで豪華な照明設備を購入した場合には、減価償却が適しているだろう。

次に通信機器だが、現在では業務に不可欠になりつつあるパソコンの耐用年数は4年だが、サーバー用のPCやサーバーは「その他のもの」になり耐用年数は5年に延びる。さらにパソコンにインストールするソフトウェア(Adobeのイラレや映像編集ソフトなど)も減価償却ができる。開発して販売するソフト・研究開発用のソフトだと耐用年数は3年だが、その他のソフトだと耐用年数は5年になる。Adobeに関してはパッケージではなくクラウド化が進んでおり、月額の料金が発生する仕組みに移行しているため、今後は減価償却できるものではなくなるかもしれないが。。。ちなみにパソコンでデスクトップだと、液晶ディスプレイとPC部分を分けれなくもない。しかし、耐用年数の差は1年のため、手間を考えればPCで括った方がいいだろう。

その他には、ファックス・コピー機(複写機)・タイムレコーダーなどは耐用年数が5年、インターホンは6年となっている。注意したいのは、電話設備・その他(上述の物に該当しない)は、デジタルか否かで6年か10年かで耐用年数が大きく異なる点だ。現在の携帯電話・スマートフォン等はPCに近くなっているが、あくまで電話のため耐用年数は10年となる。同じ機種を10年も使い続ける人は多くはないだろうが、Webコンテンツ制作会社などで実機によるチェックが必須だったりすると、購入費用も馬鹿にならないため、減価償却で対応するというのも1つの手かもしれない。ちなみにデジタルでない電話には、かつての黒電話等が該当する。

最後に光学機器だが、時計の耐用年数は10年、カメラ・映写機・望遠鏡などの耐用年数は5年、その他の顕微鏡などの耐用年数は8年になっている。アップルウォッチなどは時計ではなくパソコンに近いものではあるが、時計と捉えれば減価償却の耐用年数は10年にもできそうだ。また、デジタルカメラも通信機器としての側面が強くなっている(撮影した写真をwifi経由で自動で保存する等)が、こちらはパソコンと比較しても耐用年数に大差がないためカメラとして減価償却していいだろう。

以上が減価償却できる物と耐用年数(家電編)だが、確定申告などでは判断に迷う・困ることもあるだろう。そういった場合には、無料で利用できる自治体主催の確定申告相談会(税金セミナー)や、税理士の無料相談を利用して誤りのないようにしたい。また、計算ミスを防ぐ意味で電卓を叩くのではなく、弥生(やよい)などの青色申告の計算ソフトを利用するのも手だ。