法人化・損益通算・収益構造の変化等で節税(税率・控除・計算など)

売却損・赤字がある土地と保険等は売却益・黒字と内部通算して節税!

所得には事業所得・不動産所得・給与所得・譲渡所得・一時所得など様々な種類があるが、同一の所得であれば黒字と赤字を同一年度内で相殺できる。これを内部通算というが、売却によって損失も確定する反面、所得額が減ることによって節税ができる。

その代表例の1つが土地・建物・借地権などの不動産の売却だ。売却益の出る土地と売却損の出る土地の売却だ。特に1つの不動産で多額の売却益(譲渡益)が発生する場合には、他に所有する不動産を見直しておきたい。これは土地建物等の譲渡損失は、土地建物等の譲渡益とのみ内部通算できるためだ。

特に損切りを考えている投資用アパート・マンションなどの収益物件がある場合には、翌年に持ち越すと譲渡所得の減税ができないことになる。翌年に売却しても赤字の繰越損失をするという手もあるにはあるが、繰越ができるのは3年までで3年内に赤字を無駄なく使える不動産を入手できるかが重要になる。それなら確実に税金が軽減できるタイミングで節税しておいた方が賢明だ。

また、生命保険でも土地建物と同様のことがいえる。生命保険の満期保険金、解約返戻金は一時所得としてカウントされる。生命保険を複数契約していて、一方の生命保険で多額の差益が発生する満期保険金がある場合には、他方で含み損がある生命保険があれば解約して節税するという手がある。

注意したいのは、含み損があるとはいえ解約すべき生命保険なのかは慎重に判断する必要がある点だ。内部通算によって節税が図れるのは間違いないが、それによってライフプランが崩れるようでは元も子も無い。また、解約して新たな保険を契約しないのも手だが、解約して新たな保険を模索するという考え方もできる。

ちなみに、公的年金も内部通算が出来ることも頭の片隅に置いておくといいだろう。公的年金は雑所得としてカウントされるが、基本的に雑所得で発生した赤字・損失は損益通算では赤字が切り捨てられる。しかし、同じ雑所得である公的年金であれば雑所得との内部通算が可能なため、雑所得額を減らして節税ができる。

具体的には公的年金で受け取り前に差し引かれた税金(源泉徴収された税金)が、内部通算で所得額が減ったことで一部が還付されることになる。ただ、この内部通算をするには確定申告が必要になる。一般的に公的年金は400万円以下だと確定申告が不要なため、確定申告に馴染みが無いかもしれないが、雑所得が20万円を超えれば確定申告は必要になる。そう考えれば今後も雑所得が発生するようなら、リハーサルだと割り切って確定申告するのも悪くはないだろう。

以上が土地建物・保険・年金の内部通算による節税についてだが、確定申告で申告書の作成であったり税負担などで悩むことがあれば、無料の自治体主催の確定申告相談会(税金セミナー)で直接確認してみたり、税理士の無料相談を利用するのも手だ。