医療費控除と税金

入院・通院・高齢で医療費が発生したら忘れずに医療費控除を!

所得税は税引き前の年収(給料)に直ちに課税されるわけではない。年収から所得控除を差し引いて課税所得金額を算出してから、その額に応じた税率で課税される。医療費控除も所得控除の1つであり、医療費控除により課税される所得が減り節税ができる(所得控除については所得控除って何?を参照)

所得控除の中でも医療費控除は、医師(歯科医含む)に支払った診療費・治療の他、治療のための医薬品の購入費、病院に支払った入院費などが発生した場合に利用できる。その範囲は意外に広く、鍼灸や指圧、助産師による分娩介助、骨髄移植の患者負担金も含まれる。さらには、介護保険制度で施設・サービスを利用した場合の自己負担金、医師がおむつ使用書を発行した場合のおむつ代も含まれる。ただし、後述するように、そのトータル額が年間10万円を超えないと控除が発生しないため注意が必要だ。

ただし、美容整形の費用、健康増進や疾病予防などの費用は医療費控除の対象とならない点は抑えておきたい。この美容整形だが、顔を綺麗にするのはもちろん、乳がんで乳房を失った場合の整形なども含まれる可能性が高い。もちろん、交通事故で顔面に大ケガした場合の治療や、乳がんの治療自体に係る医療費は控除の対象となる。

また、健康増進のためのドリンク剤やインフルエンザのワクチンも、健康増進・疾病予防のため医療費控除の対象とはならない。疾病予防という点では、健康診断・人間ドックも対象とはならない。ただ、人間ドックで異常が発見された場合、もはや診断・検査に近い特性を持っているため医療費控除の対象となる可能性がある。

それでは医療費控除の額の計算方法だが、保険金を差し引いて支払った医療費から、10万円か総所得の合計額の5%を引いた額が控除額となる。どちらが有利かはケースバイケースのため、自分で計算してみるしかない。

医療費控除の2通りの計算式

支払った医療費に該当する項目は前述の通りだが、どちらの計算式にも出てくる“保険金(正確には保険金などで補てんされる金額)”は注意する必要がある。この場合の保険金は医療保険・がん保険などの給付金の他に、健康保険法に定める出産育児一時金・家族出産育児一時金、高額療養費制度を利用して還付される医療費も含まれる。

医療費から保険金を差し引いて、さらに10万円か総所得の5%を引いた額が控除額となる。より有利な計算式を選択できるため、計算上は総所得が200万円以上の人であれば10万円を選択した方がいい。

ただ、医療費控除は過度に期待できるものではない。例えば、年収600万円の会社員で自転車に乗って電柱に衝突(自損事故)して骨折して、その入院費・治療費で30万円を支払ったとする。その場合、年収600万円なら給与所得控除を差し引いた総所得は430万円で、ここから医療費控除で30万円が差し引かれる。年収600万円(総所得430万円)なら、30万円の控除で還付されるのは6万円程度となる。馬鹿にできなくもないが、決して入院治療費をカバーできるものではない。ギリギリの11万円を達成しても2万円で、もしも年収が低いようであれば所得税率が下がり還付額も減る。過度な期待は持たない方が賢明だ。

医療費控除については以上だ。前段で過度な期待をしない方が賢明と記載したが、もちろん手間と還付額を天秤にかけて、還付額が見合えば確定申告をした方がいい。会社員であればハードルが少し高い確定申告だが、自営業・フリーランスであれば毎年の恒例行事?のため積極的に医療費控除は利用した方がいいだろう。確定申告で不明な点があれば、致命傷になる前に税理士の無料相談か各自治体主催の無料の税金セミナー(確定申告の相談会)などを利用した方がいい。