不動産の証券化と証券化投資

土地・建物の証券化投資のメリット・デメリットとは!?

もともと不動産投資は、不動産そのものである現物に投資するスタイルがベーシックで、現在でもアパート・マンション経営が第一に挙げられる。ただ、現物投資・小口化投資では流動性・換金性が乏しい。そのため不動産の証券化投資が登場したのだが、この不動産投資手法は他の不動産に投資する手法(現物投資小口化投資など)と比較して、どのような特性とメリット・デメリットがあるのか?

そもそも不動産の証券化投資は、不動産を担保とする証券を発行して、不動産で得た収益(主に賃料・地代)を投資家に利子・配当として支払われる。日本でも海外のリートに倣ってJリートが株式市場に上場し、高い流動性・換金性がある。

メリットとしては、1万円程度の少額から投資が可能で株式市場(流通市場)で売買ができるため高い流動性・換金性がある点が挙げられる。その結果、他の金融資産に資金を振り分けたり現金・預金で固めたりと、柔軟性のある資産管理が可能になる。

また、不動産の現物投資・小口化投資では海外の不動産に投資するのは困難だが、証券化されたものなら容易に投資ができる。手軽なのは米国リート投信ワールドリート投信を利用すればいい。証券口座があるなら、投信よりも手数料・信託報酬が低い海外ETFを利用して投資する手もある。

また、不動産に投資しているにも関わらず、不動産の管理業務が一切不要という点も大きなメリットだ。現物投資であれば賃貸管理・建物維持管理が必要になり、小口化投資でもリフォームなどとなれば意思決定などが必要になる。その点、証券化投資であれば利益を受け取るだけで、不動産に関する管理は一切不要だ。

ただし、現物投資・小口化投資と異なり不動産の節税効果は無い。所得税対策・相続税対策には一切寄与しない。それどころか証券であるため、購入時よりも損失が出ていてもマイナスとはならず、普通に相続資産として相続時の評価額で計算される。税制面では他の不動産投資の手法よりも明らかに劣る。

他方のデメリットとしては、前述の税制面でのメリットが無い点の他にデフォルトのリスクが挙げられる。つまりは価値がゼロになる可能性があるということだ。株式市場に上場しているJリートでは、そうそうゼロになることは無いが可能性はある。また、ゼロにならないとはいえ、株式と同様に簡単に値上がり・値下がりがある点もデメリットといえる。現物・小口化では価値が日々変動することは考えにくいが、リートの価格変動は激しい。時に株式市場の下落と同じく下落するため、売却のタイミングを見誤ると受け取った配当以上の損失が出る。完全に配当が目的と割り切ってしまうのも手だが、利益があるのに売らないのも相当の機会損失になるため悩ましいところだ。

以上が不動産の証券化投資(リート)を、他の投資手法と比較したメリット・デメリットだが、税制面で他の不動産への投資手法と比較して明らかに劣る。相続対策などで購入を検討している人は、現物か小口化で不動産投資をした方が妥当だ。また、どの方法による不動産投資が妥当か迷っているなら、FP・銀行・証券会社などの専門家への相談や、都道府県主催の不動産相談会(不動産投資セミナー)や相続相談会なども利用したいところだ。