アパート経営における収益物件の探し方と売買

1棟買いの時にレントロールでチェックすべき5つのポイント!

不動産投資の第一歩が投資物件・収益物件探しだが、アパート・マンションを1棟まるごと購入(1棟買い)するなら、インターネットによる検索だけでは不十分だ。インターネットでは満室時の利回りや平面図や総床面積などは掲出されているが、現在の入居者の属性・入居年などについては記載されていない。これらを記載したのがレントロールで、物件の概要・間取図・地図などを記載したものはマイソクと呼ばれる。レントロールには幾つかの形式が存在するが、記載されている項目は似通っている。

レントロールのサンプル

このレントロールはプライバシーにも関わるため、インターネットからではなく不動産会社から直接入手することになる。見るべきポイントは「空室(入居率)」「入居年月」「家賃のバラつき」「家賃の相場との比較」「入居者の属性」が挙げられる。

まず空室(入居率)だが、最低でも8割は欲しいところだ。それ以下になると自己資金の額次第ではあるが、かなり借入金の利息の支払いが厳しくなってくる可能性がある。ただ、仮に入居率が低くとも、空室に諸事情があるなら検討の余地がある。例えば不動産会社に任せっぱなしでまともに募集をしていない、ないしは以前のオーナーが不動産会社と不仲であった場合などで募集が行き届いていない場合などがあろう。そういった事情が仮に不動産会社から聞けたなら、あえて入居率には目をつむるという手もある。

逆に入居率が同じような条件の他の物件と比較して異様に高い場合、物件を売るために関係者を入居させていたり、フリーレント(賃料無料月)を破格の2~3ヶ月に設定して強引に入居者を集めた可能性があるため注意が必要だ。前者の場合には、投資物件が売れたら(不動産投資の検討者が購入したら)退去して入居率が下落する。後者の場合には、特に悪い感じはしないかもしれないが、フリーレントが無ければ入居者が集まらない物件で、フリーレントで入居した入居者が退去すれば入居率は下落することが目に見えている。入居のためにフリーレントを設定すれば、賃料収入の減少を招くという悪循環に陥る可能性もある。

次の「入居年月」だが、可能な限りバラついているのが望ましい。入居年月が一時期に固まっていると、契約終了で一気に退去されて賃料収入が一時的に激減するためだ。そうなると利息の支払いを持ち出しになる可能性もあり、その時期が来て空室が埋まるまでの精神衛生上もよろしくない。入居月は概ね2~4月に固まるのは止むを得ないが、せめて入居年だけはバラついていて欲しいところだ。

「家賃のバラつき」と「家賃の相場との比較」は、前者は新しい入居者と古い入居者で賃料に差があるかが注目点だ。もしも新しい入居者の賃料が高いことがあれば、入居者が入れ替わる度に賃料収入が増える可能性を秘めていることになる。ただし、逆であれば物件購入後の賃料収入の減少が見込まれる。後者の「家賃の相場との比較」は、相場よりも安くても高くてもケースバイケースで問題になる。大きく人口増が見込まれる地域なのに相場より安い賃料を設定しているならば、安い賃料は今後の人口増で上昇が見込まれ収入増となる。他方で人口が横ばいなら、安い賃料は自然と建物の老朽化なども伴って下落していき収入減に繋がる。地域の特性に合わせて判断することが必要になる。

最後の「入居者の属性」だが、可能であれば男女・職業・学生などが分散していることが望ましい。男性が入居できても女性が尻込みするような物件だと、入居者のターゲットが必然的に半分になってしまう。また、職業(勤続企業)が固まっていれば本社移転、学生であれば校舎移転などのリスクが高まる。社員寮・学生寮で一括借上となっている場合も同様だ。職種も水商売などに固まらないようにした方がベターだ。

以上がレントロールでチェックすべき5つのポイントだが、ネット検索で投資物件の相場観を養うのと同様に、レントロールも何枚も見ることで感が養われてくる。ある程度の数をこなした方が賢明だ。また、ネット・書類などの情報だけでなく最後は現物を見て、老朽化の度合いなどを見極める必要がある。もしも不動産投資について不安があるようなら、不動産会社・FP・銀行などの専門家の意見を取り入れたり、不動産相談会(不動産投資セミナー)や相続相談会なども利用したいところだ。