マンション投資における収益物件の探し方と売買

路線価の高い土地での不動産投資は低い土地よりも有利!?

不動産投資の第一歩が投資物件・収益物件探しだが、中古物件を購入するにしても新しく賃貸物件を建設する場合でも路線化のチェックは重要だ。路線価(相続税路線価)とは、国が相続税・贈与税を徴収するために土地を毎年調査して算出した価格だ。都道府県などの地方自治体が固定資産税のために調査して算出した固定資産税路線価もあるが、こちらは3年に1回の更新のため最新情報は相続税路線価で確認した方がいい。ちなみに、一般的に路線価という場合には前者の相続税路線価を指すことが多い。

それでは、なぜ路線価が重要なのか? 簡単にいえば国も価値を認める土地であるということに尽きる。土地価格の決まり方は、国土交通省が定めた公示価格の8割程度の範囲内で、国税庁が路線価を決める。そして土地の実勢価格は公示価格の10~20%高いという仕組みになっている(詳細は土地価格の決まり方を参照)

このことから考えて、路線価が高い土地ないしは高止まりしている土地は国が今後も価格の極端な下落は見込んでいないともいえる。このことが不動産投資(アパート経営)では肝となる銀行からの借入金に少なからず影響してくる。不動産投資においては銀行が資金を貸す場合には、借入金の担保に土地を設定することが常だ。路線価が高い土地の担保評価(担保としての価値)は必然的に高くなり、融資を受ける際にも有利に働くメリットがある。それでは、路線価はどのように見て、何を把握しておけば良いのか? まずは下図の路線価のサンプルを見て欲しい(全国の路線価は国税庁のHPにアップされてます)

路線価の例と路線価の見方

まず、路線価の見方だが、全国のどこの路線価でもA町B丁目といったように町名と何丁目かが記載されている。そして⑫のように○印で囲まれた数字が番地を表している。そして、道沿いに記載されているのが千円単位の1平方メートルの路線価だ。215で200平方メートルの土地であれば、215×1000×200=4300万円が土地価格ということになる。ちなみに数字の後ろのアルファベットは借地権割合でA~Gの順に借地権割合は減少する。

注目すべきは、通り1本・道路1つ離れただけで、1平方メートルあたりの土地価格に大きな差がある点だ。特に大通り沿いの高度商業地域(路線価が丸で括られている箇所)の土地は小道に入った土地と1.5倍近い価格差があることもある。イメージで○○区や○○町の土地は高いと思っていても、実際には予想に反する結果となることもあるということだ。

路線価で見た銀座3丁目の地価

上図は銀座3丁目~4丁目の地価だが、アップルストア・松屋銀座・外資系の貴金属ジュエリーなどが軒を連ねる中央通り沿いの地価は、1平方メートルあたり2000万円だが、通りを1本挟めば500万円台まで安くなる。それでも流石に銀座ともいえるが、厳密に路線価で考えれる銀行からすれば、銀座といえど担保評価は言うほど大きくはならないことになる。

担保評価を考えれば路線価が高いにこしたことはないが、当然ながら自己資金・借入金との兼ね合いがあるため過度に高い地域を選ぶ必要はない。土地価格の高低を見た後は、過去数年の路線価を遡って、土地価格が下落していないか?を確認する方が重要だ。路線価が下がっているということは、国も認める価値が目減りしている or 需要が減退している地域ということになるためだ。可能であれば上昇基調か横ばいが望ましいだろう。また、路線価と少し離れるが、賃貸住宅という意味で忘れてはならないのが道路沿い(私道ではない)という点だ。自動車が通れなければ物件の内見時点で不便であるし、引越しでも賃借人に不便が生じる。そもそも自動車が生活必需品である地方都市であればなおさらだ。

以上が不動産投資における路線価の重要性だが、既に物件を購入済みで路線価が安いか下落基調にあるからといって必ずしも悲観する必要はない。他者の物件よりも有利な条件(特に設備)で差別化して収益を確保したり、思いきって売却して得た資金で別の土地に早々に目星をつけるという手もある。必ずしも不動産投資の答えは1つではないため、不動産会社・FP・銀行などの専門家の意見を取り入れたり、不動産相談会(不動産投資セミナー)や相続相談会などを利用して総合的に判断することが重要だ。