アパート経営における収益物件の探し方と売買

人口の増減や流出入を表す人口動態が不動産投資の肝だ!?

不動産投資の第一歩が投資物件・収益物件探しだが、基本は自分に土地勘のある土地の物件を探すのがセオリーだ。そこから、さらに物件を絞り込む手がかりになるのが人口の流出入・増減を記す人口動態だ。当然ながら今後も人口という需要が伸び続ける地域であれば、賃貸物件を供給する立場としてはプラスに働く。

他方で、土地勘があって周辺環境を把握していても、潜在的な人口(入居者)が減っている地域であれば、将来的な先細りや過当競争によって収益の悪化が予想される。いくら良い物件であっても需要と供給がマッチしなければ、不動産経営は成り立たないということだ。それでは、現在の日本の各都道府県の人口動態や、将来的な人口の増減はどうなるのか?

まず、下図の総務省の都道府県別の人口と人口増減率の図を見てほしい。人口そのものの多寡よりも、一番右の前年比の人口増減率に注目だ。

都道府県別の人口と人口増減率

日本の47都道府県のうち、人口が増加している都道府県は数えるほどで、その中でも確実に人口が増えているといえるのは東京、愛知、沖縄ぐらいで、微増とはいえ増加には違いない県に埼玉・神奈川県などがある。そのため現在の状況を鑑みれば、首都圏の東京・神奈川・埼玉の物件が人口動態では有望な地域で、地域分散をするなら愛知・沖縄などになる(沖縄は風土や台風などの特殊なリスクがあるが・・・)だろう。

ただ、あくまで上図のデータは前年比で見たものでしかない。また、不動産経営は5年10年単位で考えるべきもので、ここ数年の動きだけで判断するのは早計といえるだろう。そこで登場するのが下図の「国立社会保障・人口問題研究所」の地域別将来推計人口だ。このレポートでは2040年までの日本の人口推移を予測している。

都道府県別の将来推計人口

上図の通り、人口が流入しているとはいえ東京でも2025年までとなると人口は横バイで、かろうじて神奈川も横バイになる。さらに2040年となると東京・神奈川は元より日本中の全ての都道府県で人口が減少する。人口動態から考えれば、関東なら東京・神奈川、関西・中部なら愛知・滋賀あたりが有望となる。

他方で考えたいのは、人口の純減と共に進むであろう都市圏での高齢化だ。それを見込むのであれば独身向けの賃貸物件よりも、老人ホーム・特別養護老人ホームやシニア向け賃貸マンションを検討するのも手だ。最終的には自分が入所するつもりでいれば、仮に今後の人口動態の予測が外れても決して無駄ではない。

人口動態が外れるとすれば、抜本的な出生率の改善があるが、それ以外に外国人向けの就労ビザの緩和が考えられる。その観点に立てば、外国人向けの賃貸マンションに取り組むという手も考えられる。管理人や問い合わせ窓口が外国語対応が可能な外国人外国人向けのサポートを充実させたり、単身の外国人向けにシェアハウスを展開するといったアイディアもあるだろう。また、外国人が生活圏を置きそうな地域(政府の外国人就労者の特区設置など)に目星を付けるのもいいだろう。

前述のデータから、不動産投資では日本に見切りをつけるという考え方も1つの手だ。海外であればアメリカを筆頭に人口が増加している地域は数多く存在する。東南アジア・インドなどのアジア圏にも人口面で有利な地域は多い。将来的な海外移住を見越して、それらの地域の投資物件を購入するのもよし、投資信託などを利用して海外の不動産に投資するのも日本の人口減への対応策になるだろう。

以上が人口動態と不動産投資だが、人口の流入が多いほどに不動産経営では有利なのは間違いない。ただ、人口減の地域だからといって必ずしも悲観する必要はなく、他者の物件よりも有利な条件(特に設備)で差別化して収益を確保するという手がある。必ずしも不動産投資の答えは1つではないため、不動産会社・FP・銀行などの専門家の意見を取り入れたり、不動産相談会(不動産投資セミナー)などを利用して総合的に判断することが重要だ。