アパート経営における収益物件の探し方と売買

投資物件の建物価格は高ければ高いほど後々有利になる!?

不動産投資の第一歩が投資物件・収益物件探しの末、土地・建物をセットでの購入を検討するケースもあるだろう。その際には、可能な限り建物価格を高くすることで後々有利になることがある。それでは、なぜ建物価格を高くすることが重要なのか?

日々の不動産投資(アパート経営)において、経費に計上できるのは修繕費や借入金の利息支払いなどがあるが、最も大きいのが建物の減価償却だ。減価償却によって、建物を購入した年に1度に建物の代金を経費として算入せず、数年間に渡って経費にすることができる。これにより利益の平準化と無駄の無い経費計上ができる。

この減価償却を有効に利用するのは不動産投資の肝といえるが、いかんせん建物・土地を取得した場合に減価償却できるのは建物だけとなっている。そのため土地・建物をセットで購入する場合には、減価償却で経費にできる建物の価格が高い方が圧倒的に有利になる。

例えば、建物2000万円+土地2000万円(合計4000万円)の築7年の木造アパートを購入するとしよう。法定耐用年数(借入金の借入期間も参照)の残りは15年のため、2000万円を15年で割って毎年の経費として約133万円を経費にできる。他方で売主と交渉して建物3000万円+土地1000万円(合計4000万円)で売買契約が成立した場合、3000万円を15年で割って毎年の経費は200万円になる。その分だけ支払う税金は減り、結果としてキャッシュも利益も増えることになる。

買主側から見た建物価格が高い場合のメリット

ただし、建物価格を高くすることは建物・土地の買主側からすればメリットが絶大な反面、売主側とすればデメリットが大きい。それは土地の売買には消費税が課税されないが、建物の売買には消費税が課税されるためだ。これは個人間であれば無関係だが、相手が法人か年間の売上が1000万円以上の個人事業主であれば大きな問題となる。仮に前述のケースで売主が支払うことになる消費税は、消費税が8%で計算すると2000万円×0.08=160万円となるところが、3000万円×0.8%=240万円となる。同じ4000万円の収入(売上)なのに80万円も多く税金を支払うことになるのだ。

売主側から見た建物価格が高い場合のデメリット

買主と売主が利益が相反するため、交渉時に建物価格を高くすることに難色を示す売主(知らないならスンナリと交渉が成立するかもしれないが)がいることは容易い想像できる。ただし、上述の計算から分かるように売主が被るデメリットに対して、買主が受けるメリットの方が大きいのは明らかだ。そのため、もしも売主が建物価格を高くすることに難色を示すなら、上昇する分の消費税を余計に支払うといったことも検討すべきだ。大抵の場合には、増額する分の消費税を考慮しても、それを補って余りある意義があるはずだ。

以上が不動産投資における建物価格についてだが、当然ながら土地単体を購入する場合には建物価格を異様に高くする意味はない。また、減価償却を含めて不動産投資で経費に算入できるものは意外と多いため、不安に思うことがあれば税理士への無料相談や、不動産相談会(不動産投資セミナー)などを利用して確認するのも手だ。