ネット銀行の住宅ローンのメリット・デメリット

イオン銀行の住宅ローンのメリット・デメリットは何!?

イオン銀行はショッピングモールを展開するイオンが出資し2007年に設立した銀行で、特にイオン顧客・イオンカードのユーザーに手厚い特典があることで知られる。住宅ローンは、2008年からサービスを開始している。

流通系の銀行ならではの独自サービスも数多く提供しており、数多くのメリットがある一方でデメリットもある。以下で、金利以外(金利比較は住宅ローン比較 東日本編西日本編を参照)のメリット・デメリットを記述する。

まず下図では、イオン銀行と一般的な都市銀行・地方銀行の住宅ローンで、手続き・借入までの日数・定額自動入金・保証料(+保証会社の手数料)・事務手数料・抵当権設定費用・一部繰上返済の手数料・ATM手数料・団体信用生命保険を比較した。

- 一般的な銀行 イオン銀行
手続き ネット+書面郵送+来店 ネット+書面郵送+来店
借り入れまでの日数 1ヶ月~1ヶ月半 1ヶ月~1ヶ月半
保証料 借入金額100万あたり1~2万 無料
保証会社手数料 約3万円 無料
事務手数料 固定金利特約だと1万円 約11万or借入額の2.1%
抵当権設定費用 借入金額の0.4% 借入金額の0.4%
定額自動入金 有料or無し -
一部繰上返済手数料 有料またはネットのみ無料 無料
自行ATM手数料 無料だが時間外は回数制限 終日無料
コンビニATM手数料 有料 有料
団体信用生命保険 無料だが三大疾病等は有料 無料だが三大疾病等は有料
イオン銀行と一般的な銀行の比較(手続きの流れ・借入までの日数・定額自動入金・保証料・保証会社の手数料・事務手数料・抵当権設定費用・一部繰上返済の手数料・ATM手数料・コンビニATM手数料・団体信用生命保険)

まず手続きについてだが、ネット・書面の郵送は同一で、あとは銀行に来店するか司法書士との面談で済むかの違いしかない。そのため申込から借入までの日数も、一般的な銀行と大差はない。じぶん銀行などは必要書類は郵送ではなく、書類データのアップロードで済む点を考えれば、一般的な銀行と比較すれば同レベルでもネット銀行との比較では一歩劣るともいえるだろう。

ただし、イオン銀行は土日祝日を含めて365日営業を謳っており、その意味で手続きは一般的な銀行よりもスムーズに進む可能性がある。一般的な銀行でも土日に住宅ローン相談会などを催しているが、それでも自分の近隣の支店で毎週末にあるわけではない。この点はメリットといえなくもない。

各種手数料については、一般的な銀行だと保証料・保証会社手数料などで数十万円の負担になるが、イオン銀行の場合は無料だ。一見すると大きなメリットだが、その分だけ事務手数料が徴収される。借入金額・期間・金利にもよるが、基本的には保証料(特に金利上乗せ)より事務手数料の方が安いことが多いため、その点はメリットといえる。ただ、新生銀行などは事務手数料が10万円程度と安いため物足りない感は否めない。

次に返済についてだが、じぶん銀行・住信SBIのような自動入金サービスは存在せず、給与振込みの銀行と住宅ローンの銀行を分けるのは損に繋がりやすい。定額自動送金(振込み)で対応できなくはないが、振込みの手数料を考えれば決して得策ではない。

そのため給与振込み指定をしてメインバンクとして利用することになるが、イオン銀行のATMの手数料は決して安くはない。イオン銀行・ゆうちょ銀行(平日日中のみ)は無料になるが、コンビニATMは平日日中でも手数料を徴収される。イオンのATMが身近にあるなら問題ないのだが、日常的な利便性という意味でデメリットが隠れている。

イオン銀行のコンビニATMの手数料

次に団体信用生命保険についてだが、一般的な銀行は死亡すると住宅ローンがゼロになる一般団信は無料で金利上乗せもない。だが、三大疾病などの病気になると住宅ローンがゼロになる保険だと借り入れ金利が0.2~0.3%は上乗せされる。

イオン銀行も同様で、費用がプラスされないのは一般団信だけとなっている。ただ、8疾病保障付き住宅ローンがあり、他の銀行の三大疾病よりも範囲が広い点でイオン銀行の特色といえる。8疾病に幾ばくの意味があるかは大いに疑問だが、疾病の保障を検討している人なら、同程度の金利上乗せなら範囲が広いのは悪いことではないだろう。

イオン住宅ローン利用者の買い物5%割引

最後に他の銀行に無い大きなメリットとして挙げたいのが、イオン住宅ローンを利用するとイオングループでの買い物が毎日5%オフになる点だ。特定の日に5%オフになることはあるが、それを気にせずに5%割引で買い物ができる。それもイオン本体だけでなく、マックスバリューやイオンネットショップでも5%割引になる。自宅からイオンまで距離があるなら、イオンのネットショッピングを利用するという手もある。

たかが5%と思うかもしれないが、1ヶ月に5万円(年間60万円)の買い物なら3万円の割引になる。住宅ローン3000万円の借り入れで他の銀行と0.01%の差があっても、買い物の割引額で十分にカバーして得するレベルだ。

そのため、住宅ローンを組んだなら買い物をしまくればいいと考えがちだが、残念ながら上限がある。ローンの借り入れ金額が1000~2000万円の人は年間45万円、2000万円以上でも年間90万円までとなる。つまりは最大で45000円までしか割引きされないということだ。

イオン銀行の住宅ローンについては以上だが、金利を度外視すれば上々の特典内容だ。ただし、あくまでイオンを利用している人には大きなメリットがある銀行で、それ以上でも以下でもないという評価が妥当だろう。イオンを利用していない人には、積極的に選択する動機付けに欠ける銀行ともいえそうだ。