不動産会社が語らぬ不動産投資に不都合な事実

タワマン・高層マンションは耐震・免震でも地震は大きなネック!

タワーマンション・高層マンションは、不動産投資のために自分で建築する人は多くないだろうが、ワンルームマンション投資や小口化投資という形で投資することができる。特に最近では地震によって都心回帰の傾向が強く、郊外よりも人気が高くなっている。

実際、タワーマンション・高層マンションの中古価格は上昇している。日銀の金融緩和によるインフレ傾向(それが一時的か否かはさておき)が拍車をかけている。下図は東京カンテイ社が調べたマンション価格動向だが、明らかに上昇基調となっている。特に高層マンションは値崩れしにくいため、坪単価で500万円超の物件まで現れている。

都心のマンション価格推移チャート

問題なのは冒頭で記述した地震による影響・考え方の変化には、都心回帰だけではなく耐震性の追求もあったはずだが、それが消えてしまっている点だ。これはタワーマンションでも、東日本大震災後に建てられたなら、相応の免震・耐震性が保証されていると考えられているからだろう。

しかし、想定される震度の上限に際限は無く、どこまでも不安はつきまとう。さらに地震による建物への被害は、震度の強弱だけで測れるものではなくなってきている。その1つにNHKでも放送されたキラーパルスがある。通常、地震の揺れの周期は0.5秒以下のところ、それが1~2秒になると木造建物や10階建て以下の中低層建物に大きな被害を及ぼす。この周期が長い振幅をキラーパルスと呼ばれる。これが更に長くなると、地震に対して揺れて対応する免震が施された高層マンションに大きな影響を及ぼす。

キラーパルスによる影響の詳細は専門的になりすぎるが、理屈としては建物が揺れている最中に揺れている方向に更に揺れることで、加速度的に揺れが増大するということなのだろう。2015年にNHKでされた「NHKスペシャル 阪神・淡路大震災20年」では、鉄骨の25階建てのビルが横倒しになるシミュレーションがなされていたが、あながち空想と片付けられない可能性がある。

高層マンションの倒壊イメージ

また、大地震で高層マンションが揺れる際の揺れ幅は5メートルを越すとも言われている。入居者が外に放り出される可能性もあるが、隣のビルと近接している場合にはビル同士が衝突して破損する可能性もある。破損で済めばいいが、近接するビルが低ければ自分のビルの根元に衝撃が来るため最悪は倒壊する。もちろん、隣のビルの耐震性が不十分で倒壊して、その巻き添えで自分のマンションも倒壊するという可能性もある。

もちろん入居者にも地震によって不都合が満載だ。特にエレベーターは地震を検地すれば止まるため、マンションから逃げ出せなくなる上に買い物にも行けない。エレベーターが余震も考慮して当面使用停止となれば、通勤時には数十階の階段を上り下りすることになる。健康には良いかもしれないが、ストレス満載なのは間違いない。

エレベーター停止イメージ

また、タワーマンションには非常電源があるとはいえ、それが起動するまでの数時間は電気が使えなくなる。1番情報が必要なときにテレビなどの情報がシャットダウンする。スマホの充電もできなくなれば孤立するといってもいいだろう。さらに、タワーマンションは都心でも郊外に近い場所に立つことも多いが、そうなると輪番停電で毎夜停電する可能性もある。エアコンが不要な季節ならまだしも、真夏・真冬であれば釜茹で?冷凍?状態は必至だ。これらの不都合を入居者が明確に思い出したとき、今度はタワーマンション人気の下落と入居率の低下という事態が起きてくるだろう。

不動産オーナーとしては、地盤の液状化でも記載したように地震対策としては地震保険に頼るしかない。ただし、半壊なら建物の時価の50%、一部損なら5%しか補償されない。半壊で50%の補償を受けても、ローン残債が50%以上残っていれば損失が残ることになる。それでも根本的なタワーマンションの不人気化という傾向が起きれば、それに抗う術はない。

以上が不動産会社が語らないタワーマンションの地震リスクについてだが、そもそもワンルームマンション投資には賃料収入が100かゼロというネックもある。それをも乗り越えて不動産投資をするのもいいが、その際には場所・建物には最新の注意を支払うべきだ。また、不動産会社の不動産相談会(不動産投資セミナー)などを利用して、同業者の意見・考え方を聞くのも1つの手だ。