不動産会社が語らぬ不動産投資に不都合な事実

少子化・人口減少が進む日本の流れは不動産投資には逆風!?

アパート経営などの不動産投資では、人口動態で有利な東京・神奈川などの投資物件・収益物件がオススメなどと言われている。ただ、人口動態で有利な東京といえども、2025年には人口が横ばいになると予想されていることは誰も語らない。さらに、こと日本に関しては少子化・人口減少が進んでいることは周知の事実で、このことからも不動産会社が語らない不都合な事実が浮かび上がってくる。

まず、下図の国立社会保障・人口問題研究所の人口ピラミッドを見てほしい。2000年代には大きく膨らんでいた20~30代の部分が2040年には、およそ半分程度の数になってしまっている。

人口プラミッド(2000年2020年2040年)

さらに、その下の10代の数が減っていることから、その後も子供の数が減っていくのは明白だ。仮に楽観的に出生率が高位で止まったとしても、2000年時の子供の3分の2程度になると予想されている。その出生率(1人の女性が生涯のうち何人の子を生むか)は、2015年発表のもので1.42だ。東京に至っては1.0~1.1を行き来する程度で、いずれ東京出身の子供は現在の半数になる計算だ。

出生率の推移チャート

下図のみずほのデータからして、不動産投資において、賃貸の主要ターゲットとなるのは20~30代の持ち家が無い層なのは間違いない。その数が圧倒的に減っていくのは、需要に対して供給過剰となることを意味している。学生向けの投資物件は需要の先細りが見込まれるのは確実だ。現在のところは、賃貸住宅に住む単身者の年齢層が24歳以下の層から、晩婚化などが影響して「25~34歳」と「35~44歳」の層に移行している。その結果として、現在は賃貸需要が大きくは衰退はしていないが、将来的には先細りしていくのは明白だ。

賃貸入居者の年齢層と推移

需要が減退する見込みということは、それをカバーするには物件のリフォーム・リノベーションか賃料の値下げしか、不動産オーナーに残された選択肢は無い。前者であれば短期的には解決してもリフォームを繰り返す堂々巡りになる可能性があり、後者であれば値引き合戦に巻き込まれることになる。どちらにしても茨の道が待っているといえよう。

以上が不動産会社が語らない出生率についてだが、出生率と将来予測から考えて今から不動産経営に乗り出すには、相当の覚悟と工夫が必要になるだろう。いっそのこと諦めてしまうのも手だ。どうしても諦めきれない人は、不動産会社と建物に相当の工夫をするか、FP・銀行と綿密な計画(借入金・貸付期間など)を立てるしかない。また、不動産会社の不動産相談会(不動産投資セミナー)などを利用して、同業者の意見・経験談で打開の糸口を探すのも1つの手だ。