住宅を取得するための住宅ローンの基礎知識

繰上返済の3つの注意点と返済効果を高める3つの方法!?

住宅ローンの繰上げ返済は、手元の余裕資金で住宅ローンの元金の一部ないしは全額を返済することで、返済方法は期間短縮型と返済額軽減型がある。ただ、返済方法の選択以外にも繰上返済にはポイント・注意点があり、さらに繰上返済の返済効果を上げる方法がある。

まず繰上返済のポイント・注意点についてだが、①繰上返済は早く行う方が得 ②住宅ローン控除 ③期間短縮か返済軽減か?の3つが挙げられる。まず①繰上返済は早く行う方が得という点だが、繰上返済を返済期間の後半にするよりも前半にすることで、返済の元本が減って利息支払い額が減る時期が早いため総返済額は減る。

そのため、余裕資金が貯まれば早々に繰上返済するのは間違いではない。ただし、子供の進学費用・自分と配偶者の退職年齢・両親の介護医療費などを考慮して、本当に繰上返済をすべきか否かを考える必要がある。

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用していると税金が還付され年間で数十万円は得する制度で、確定申告をすれば誰でも利用できる。この住宅ローン控除は非常に強力な効果があるが、繰上返済のし過ぎでトータルの返済期間が10年を切ると、住宅ローン控除は利用できなくなる点に注意が必要だ。

例えば、2017年に住宅ローンを返済期間15年(2032年に完済する予定)で契約したが、期間短縮型で繰上返済をした結果、完済するのが2026年になったとしよう。そうすると当初のローン期間15年から、ローン期間9年まで縮み10年を切るため住宅ローン控除は利用できなくなる。意外と盲点なため忘れずにおきたい。

③期間短縮か返済額軽減かは、前述したように子供・退職年齢・親の介護医療などを鑑みて決定する必要がある。もちろん、それらを考慮した結果として繰上返済を見送るのも英断の1つといえる。

それでは、以上の3つを注意点を踏まえた上で、繰上返済の効果を高める方法は何があるのか? 効果を高める方法は①金利の高いものを優先 ②返済期間の長いものを優先 ③融資額の大きいものを優先の3つが挙げられる。

①の「金利の高いものを優先する」は、複数の住宅ローンを利用している場合は元より、住宅ローンとは別に、フリーローン・カードローンなどを利用しているなら、そちらを優先して返済すべきということだ。昨今では住宅ローンを契約している銀行でカードローンを契約すると金利が優遇されたりするが、それでもカードローンの方が金利が高い。高金利のものを返済して金利負担を減らした方が得だ。また、クレジットカードでリボ払いを利用している場合も同様で、ローンではないが金利負担があるため少額でもリボ払いの完済を済ませるのが先決といえる。

②の「返済期間の長いものを優先」は、返済期間が長くなるほどに金利が発生する期間が長く、トータルで無駄に支払っている返済額が大きくなるためだ。③の「融資額の大きいものを優先」も、融資額が大きいほどに金利負担額が大きくなり、トータルで無駄に支払っている返済額が大きくなるためだ。

ここまでで①と②と③が矛盾していることを疑問に思うかもしれない。例えば、住宅ローンとカードローンを考えた場合、カードローンの方が金利は高いが、住宅ローンの方が返済期間は長く融資額も大きい。これでは2つのどちらを優先すべきか決められない。正確には繰上返済によって得する額を計算すべきだが、基本的には金利・返済期間・借り入れ額の順に優先していけば有利な返済になるはずだ。

以上が繰上返済の注意点と効果を上げる方法についてだが、何か疑問があれば最寄の銀行を訪れるか電話で相談するといいだろう。また、繰上返済と同じく負担を減らす方法には住宅ローンの借り換えという手もあるため、併せて検討するといいだろう。