住宅を取得するための住宅ローンの基礎知識

自己資金を貯金よりも早く有利に用意する3つの方法!?

住宅の取得は普通は一生で1番高い買い物と呼ばれているが、それには住宅ローンの利用が必須といえる。住宅ローンの借り入れ額が大きくなるほどに利息の支払額が増え、負担が大きくなるため自己資金を可能な限り大きくするのがセオリーだ。それでは、自己資金を貯める方法には何があるのか?

1番ベーシックな方法は①コツコツ貯金(定額貯金など)だが、それ以外にも②財形住宅貯蓄 ③貯蓄+投資 ④親族からの援助(贈与税の特例の活用)などの方法がある。①コツコツ貯金の場合には、自分で銀行口座を分けて貯金する他に、定額貯金・自動積み立て定期預金を利用する方法がある。銀行口座から自分が設定した額が毎月積み立てられるため、意識せずに自己資金を貯められる。ただし、金利によるプラスアルファの貯金額は非常に少なく、決して賢しい方法とはいえない。

のプラス効果とデメリット・注意点・リスク

①よりも確実に有利なのは②財形住宅貯蓄だろう。普通預金なら200万が貯まったとしても利子は年間400円しか受け取れない。一方で財形住宅貯蓄なら、利子で年間2000円が何もしなくても手に入る。さらに利子には税金が発生せず、財形住宅貯蓄を貯めた人だけが利用できる財形住宅融資が利用できる。住宅金融公庫の財形住宅融資は、借入金利が0.9%と非常に低く、一般の銀行よりも明らかに有利だ。とはいえ、純粋に自己資金を貯めるという意味では物足りない数字ではある。

そこで出てくるのが③財形+国債・社債の組み合わせだ。国債であれば満期で償還(購入金額が戻ってくる時)までの期間にもよるが、0.05%~0.50%の利子が受け取れる。200万円なら年間1万円が何もしなくても手に入る。具体的には財形と普通預金で貯蓄して、普通預金が一定額に達すれば個人向け国債を購入すればいい。償還まで保有すれば元本保証のため安心がある。企業が発行する社債であれば、さらに金利は上昇するが、国よりも破綻する可能性は高いため優良企業を選ぶ目は必要だ。いずれにせよ、償還前に売却すると元本割れするため、償還までの期間と住宅を購入するタイミングを合わせるのは必須だ。

さらにリスクが取れるなら、国債ではなく株式・投信であったり、外貨預金という選択肢もある。株式は配当が受け取れ、投信は分配金が受け取れるため、配当利回り・分配利回りで高いプラスが見込める。株式の配当利回りは3%前後(200万円なら年間6万円)のため、前述の2つとはプラス効果は比較するまでもない。ただ、市場動向次第では株価・基準価額が下落して配当・分配金のプラスが吹き飛ぶ可能性もある。ハロウィーン投資という方法もあるが、100%絶対に毎年プラスにはならない。あくまで財形の補完として、自己資金の目標額の10~20%に留めておいた方がいいだろう。

また、外貨預金の場合には通貨にもよるがオーストラリアドル・ニュージーランドドルなら金利が0.4%、トルコリラ・南アフリカランドなら1.5%で、日本よりも高金利のため利子によるプラスは大きくなる。200万円なら1年後に8000~30000円のプラスが見込める。外貨定期預金なら2~4%になるため、1年後に4万円~8万円のプラスも夢ではない。さらに円安が進めば、その分だけプラスも増える。ただし、株式・投信と同じく円高によって金利のプラス分が吹き飛ぶ可能性があるため、同じく自己資金の目標額の中で10~20%にしておいた方がいい。

最後に④親族からの援助だが、親族から110万円を超える金銭を受け取ると贈与税が発生する。しかし、住宅資金の贈与であれば非課税措置がある。さらに、贈与したときではなく相続が発生した際に税金はまとめて精算する相続時精算制度もある。子供にとっては住宅資金の一部を得られるメリットがあり、親にとっては相続税の負担軽減が図れるメリットがある。両親の理解さえ得られれば非常に有利な手法だ。

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税額

ただし、制度を熟知して正しく利用しないと制度・特例を利用したつもりが、利用できていないこともある。その場合には突然に税務署から連絡が来る可能性もあるため注意が必要だ。また、贈与ではなく両親から住宅資金を「借りる」場合には、親族間の借金のため税金は発生しない。しかし、税務署に相続税逃れと見られる可能性があるため、定期的に返済するのは元より借用書や利息の設定などもしておかないといけない。

以上が住宅ローン利用時の自己資金についてだが、絶対に元本を減らしたくないなら財形と国債・社債の組み合わせがオススメだ。また、両親からの援助は非常に有利な方法なのは間違いないのだが、制度を正しく利用できるかが最大のネックだ。そのため税理士などの無料相談などを利用して直接確認するのも1つの手だろう。