不動産の有効活用と賃貸借

不動産投資で建物を建てた場合のメリットと最大の懸念は!?

不動産投資において、余った平地として放置するよりも建物を建築して賃貸に回した方が収益性は増すと言われている。土地が無くとも建物を購入して賃料収入を得た方が現金として眠らせるよりは有益な投資となる。ただ、一概に不動産投資にメリットがあるとはいえ、細かく見ていけばメリットは一言で表せないほどになる。

まず「収益性」についてだが、そもそも利益を生み出さないゼロである土地(正確には固定資産税があるからマイナスの土地)を、プラスに転換させるだけで効果があるように見える。現在のゼロ金利下での預金も同様だ。ただし、投資という意味での不動産投資は、ある意味で特殊なものといえる。

例えば、株式投資では必ずしも投資額がプラスになるとは限らない。市場環境もさることながら企業の永続的な成長がなければ、投資額(株価)がプラスになるとは言えない。もちろんプラスになることも間々あるが、それが計算上で確実性が高いかと問われれば弱い。また、同じ物に投資するという意味で、企業の設備投資(研究開発費)も投資の1種といえるが、必ずしも新商品・新技術に育つかは未知数で、仮に製品化が実現しても投資額に対するリターンが回収できるとは限らず、マーケティングを読み違える可能性もある。これも計算上で確実性が高いとは言い難い。

その点、不動産投資の場合には、建物の建築費・購入費を考えればスタート時はマイナスだが、借入金の利息と元金に対して、賃料収入が大きければ時を経てプラスになることが予想できる。株価も時を経てバブルが来ればプラスになるが、いつ来るかも分からないものを待つよりも、予定通りなら何年後にプラスに転じると考えられる方が精神的衛生上は良好だ。とはいえ、不動産投資も完全にリスクが無いとは言い難い。天変地異で建物が滅失したり、近隣に大規模ビルが建築されて周辺環境が変化すれば賃料収入にも影響が及ぶ。ただ、これも保険を利用したり賃料減やリフォームなどで一応は対策が講じられる。一定のコントロール下に置かれた収益といえるだろう。

また、相続対策にもメリットがある。貸家であれば建物の相続税評価価額は実際の建築費よりも低く、さらには敷地である土地も貸家建付地となるため、自用地よりも相続税評価額が引き下げされる。そのまま土地を相続するよりも、貸家+その敷地として相続した方が相続税は相当に有利になるということだ。

ここまでで、不動産投資はリスクコントロールが効く最高の投資と感じたかもしれないが、日本を取り巻く根本的な懸念を考えれば万能ではない。最大の懸念といえるのが「日本の人口減」と「都市部への人口集中」だ。前者は借主の減少が見込まれるわけだが、持ち家率が高い日本においては若年層が減少している人口動態は、マクロで見ればマーケットの段階的な縮小を意味している。さらに、昨今では一軒家ではなくマンションを購入することに対する抵抗感も薄れているのも大きい。後者の都市部への集中では、立地の重要性が高まり郊外の賃貸物件は厳しくなることが予想される。立地さえ問題なければと考えがちだが、都市部では大規模な高層マンションへの人気が高く、この傾向は今後も継続していく可能性が高い。個人レベルの建物では苦戦する可能性がある。

以上が土地活用によるメリットと最大の懸念だが、一言でいえばメリットは計算通りにいった場合の将来の収益と税対策、最大の懸念は日本の将来ということになる。土地活用が短期であれば計算と相続を重視、長期間に及ぶなら懸念や別の意味で相続を意識する必要が出てくるだろう。いずれにせよ何か不安・疑問があるようなら、ファイナンシャルプランナーや銀行や不動産会社、各都道府県が主催する無料の不動産投資セミナー・相談会なども利用して専門家の意見を仰ぐのも1つの手だ。