フコクしんらい生命 しんきんらいふ終身FSを比較・評価

フコクしんらい生命 しんきんらいふ終身FS
オススメ度:
4
保険会社:
フコクしんらい生命
名称:
しんきんらいふ終身FS
加入年齢:
15~85歳
保障期間:
終身
保障内容:
死亡
特徴:
万一のときの保障が一生涯続き貯蓄性も高い

フコクしんらい生命の「しんきんらいふ終身FS」は、全国の信用金庫を通じて契約できる一時払い終身保険です。信用金庫に口座が無い人でも、東北銀行・京葉銀行といった地方銀行でも「フコクしんらい終身保険」という別名称で契約できます。

信用金庫・地銀に口座が無い人向けに2019年4月から「しんらいの一時払終身保険」という別名称で富国生命を通じて契約できるようになりました。それでは以下で「しんきんらいふ終身FS」の概要を記載し、他社の一時払い終身保険と比較していきます。

概要・保障内容

この保険は保険料を一時払い(一括で支払い)して、死亡すると保険金が受け取れます。ただ、保険金額は契約から10年間の第1保険期間は支払った保険料とほぼ同額となります。11年目以降は第2保険期間となり支払った保険料を上回る死亡保険金が受け取れます。

フコクしんらい生命の「しんきんらいふ終身FS」の仕組み・保障内容(出典:フコクしんらい生命の「しんきんらいふ終身FS」商品パンフレット)

第2保険期間は死亡するまで終身で継続しますが、契約から30年目に予定利率が更改されます。死亡保険金・解約返戻金は予定利率をベースに計算されます。30年目の予定利率が更改されるタイミングで、この保険の予定利率の最低保証である0.25%を軸に増加するか据置きか決まります。もしも30年目に0.25%を上回る利率になっていれば、死亡保険金は第2保険期間で更に一段の増加をします。もしも0.25%を下回っても減少はしません。

解約返戻金は予定利率が0.25%を上回ると増加ペースが加速します。0.25%を下回った場合には上昇ペースは変わらず増加し続けます。こちらも死亡保険金と同様に減少することはありません。ちなみに30年ごとに予定利率は更改されるため、この保険の最低加入年齢の15歳で契約すれば45歳と75歳のタイミングで予定利率が更改されます。

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保険料・返戻率・利率を他社と比較

この保険はマイナス金利導入前の2014年時点では、60歳で保険料で100万円を支払うと113.4万円の死亡保険金が受け取れました。契約から10年後の解約返戻金でも102.7万円が受け取れました。返戻率は死亡保険金なら113.4%、解約返戻金でも10年後なら102.7%でした。

フコクしんらい生命 しんきんらいふ終身FSの2014年時の保険料・解約返戻率・解約返戻金・死亡保険金・返戻率など

当時の予定利率は0.8~1%でしたが、年々引き下げられ2021年現在の予定利率は0.25~0.40%となっています。そのため現在では上述のようなパフォーマンスは見込めません。現在は最高値の0.40%だとしても保険料を100万円支払って保険金は104.8万円、返戻率にすると104.8%です。0.25%なら102~103万円程度となります。

解約返戻金も過去の数字とは異なり、10年後でも100万円が101.1万円になるだけです。10年後の返戻率は101.1%で、20年後で102.9%となるため過去と比較して2倍の期間が必要となることが分かります。

フコクしんらい生命の「しんきんらいふ終身FS」の60歳男性・女性の契約例。死亡保険金額・元本復帰時期・解約返戻金率(出典:フコクしんらい生命プレスリリース「フコク生命におけるフコクしんらい生命の一時払終身保険の販売開始について」2019年3月20日)

それでは他社と比較して高いのか低いのか、下図で他社の一時払い終身保険と予定利率・死亡保険金の返戻率で比較しました。さらに加入できる年齢、死亡保険金の増加方法、付加できる特約等も比較しました。下図の比較図を見て下さい。

一時払い終身保険の被保険者年齢・死亡保険の増減・苦情率・死亡保険金の返戻率(死亡返戻率)・予定利率・積立利率の比較一覧表(日本生命・明治安田生命・フコクしんらい生命・T&Dフィナンシャル生命・大同生命・住友生命・東京海上日動あんしん生命・第一生命)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

しんきんらいふ終身の予定利率は0.25%~0.40%のため、もしも0.40%なら他社を差し置いてトップとなります。ただ、0.25%なら他社と同程度、少なくともトップの住友生命の0.30%には及びません。また、死亡保険金を受け取った際の返戻率も0.25%なら住友生命には及ばず、東京海上あんしん生命にも一歩届かない可能性があります。

メリット

この保険のメリットには、まずは死亡保険金を受け取る限り損はしない点が挙げられます。第1保険期間に死亡すると損得なしですが、外貨建ての一時払終身保険のように損する可能性はありません。外貨建て終身保険だと為替レートが円高になっていれば、返戻率が120%でも受け取るのが外貨のため円高が30%進行(ドル円110円が80円に円高)になれば10%ほど損をします。

契約から30年後に予定利率が見直される点もメリットでしょう。日本の長期金利はバブル経済の1990年に8%から、30年に渡り下落を続けて、現在は0%近辺の底まで来ました。今から何年後になるかは定かではありませんが、金利が上昇する可能性は否定はできません。その際に死亡保険金が増加するため金利上昇への備えになります。逆にマイナス金利が進行する可能性もありますが、それでも今の高い利率がキープできるため金利低下への備えにもなります。

また、他社の保険と異なり15歳から契約できるのもメリットです。60歳契約なら30年後の予定利率更改を迎えられるかは微妙な線ですが、15~50歳なら30年後も生存している可能性大です。もし自分が60歳だとしても子供・孫を使うという手があります。

ちなみに他社の保険も同様ですが、相続対策になるというメリットもあります。生命保険は500万円×法定相続人の数が相続税の非課税枠となります。

死亡保険金の非課税金額・非課税枠(出典:公益財団法人 生命保険文化センター公式HP「死亡保険金の非課税金額」)

デメリット・注意点

この保険のデメリットは、まずは予定利率が低い点が挙げられます。相対的には高いとはいえ過去とは比べものになりません。普通預金・定期預金よりも得とはいえ、他の金融商品よりは間違いなく利益幅は小さいです。同じ保険なら外貨建て終身保険なら返戻率で120~150%もあり得ます。為替リスクはありますが、金利も2~3%と高く円高分の損失も金利でカバーできる可能性があります。

また、予定利率が更改されるのも30年後で他社の15年後よりも長めです。平均寿命の男性82歳・女性86歳からすると、50歳で契約して予定利率更改にギリギリ間に合うかという感じです。15年目までに金利上昇するかは不明ですが、金利上昇の可能性は否定できないためデメリットといえるでしょう。

さらに保険金額が10年は低く抑制される点もデメリットです。他社にも第1保険期間は保険金を抑制される保険はありますが、期間が5年で済む保険もあります。それも第1保険期間に事故で死亡すれば、第2保険期間で受け取れる死亡保険金と同額の傷害死亡保険金が受け取れます。傷害死亡保険金に加えて高度障害死亡保険金も無く、他の保険よりも保障範囲が狭いです。

ちなみに終身保険は相続対策にはなりますが、相続するのが配偶者なら配偶者控除で相続財産が1.6億円までは非課税になります。子供でも相続するのが土地なら小規模宅地特例が使えます。そのため相続対策で保険を考えるなら、果たして自分の相続で相続税が発生するのか考えるべきでしょう。

評判・苦情

フコクしんらい生命の決算資料によると、2020年度(2020年4月~2021年3月)の個人保険の新契約件数は約2.6万件でした。前年度比で7%の減少をしていますが、他社と比較すると健闘している数字で評判は悪くありません。ただ、これは一時払終身保険以外の保険と合算した数字のため、契約件数から考えた正確な評判は不明です。

生命保険協会のデータを見ると、フコクしんらい生命全体に寄せられている苦情数は3753件(2021年度第一四半期)でした。契約者数の52万件で割った苦情率は0.72%と他社と比較して高く、1000契約のうち7.2件で苦情が発生している計算です。各保険会社で主力商品が異なるため割り引いて考える必要がありますが、苦情面からすると評判は悪いといえます。

苦情数だけではなく大規模調査でも評判を確認したいところですが、各調査では調査対象外となっている。6000人を調査対象にしたJ.D.パワージャパンの「2021年 生命保険契約満足度調査」、9000人を調査対象にしたオリコンの生命保険会社ランキング(9000人対象の調査)でも調査対象外です。ただ、親会社の富国生命の評価が低めのため、そこから評価は推し量れるともいえるでしょう。

2021年生命保険契約・顧客満足度ランキング(出典:JDパワー2021年生命保険契約満足度調査)

以上のデータから考えると、契約件数からすると評判は良い可能性がありますが、フコクしんらい生命全体への顧客満足度・評判は悪い可能性があります。とはいえ同社には投資性の強い商品が多いことは割り引いて考える必要があります。

総合評価・おすすめか?

結論としては、良さそうですが注意が必要な一時払い終身保険といえます。返戻率は他社と比較して高い可能性がありますが、デメリットの箇所で既述した細かい点でマイナスがあります。フコクしんらい生命から直接ではなく銀行等の金融期間を通じて紹介されることが想定されますが、よくよく確認した方が賢明でしょう。

そのうえで数字を最重要視するなら他社の返戻率・予定利率が高い一時払終身保険も検討したいところです。特に住友生命やT&Dフィナンシャル生命の保険が候補になるでしょう。