家計保障定期保険NEOを比較・評価

東京海上日動あんしん生命 家計保障定期保険NEO
オススメ度:
2
保険会社:
東京海上日動あんしん生命
名称:
家計保障定期保険NEO
加入年齢:
15~75歳
保障期間:
~75歳満了
保障内容:
五大疾病・障害等での就業不能
特徴:
毎月お給料のように給付金が受け取れる

家計保障定期保険NEOは東京海上日動あんしん生命が販売している保険です。2012年に販売を開始した家計保障保険が2016年に家計保障保険NEOにリニューアルされ、その後も数年おきに改定がされています。2021年には健康診断による割引の要件が緩和されました。

この保険の主契約は死亡保障のため正確には定期保険なのですが、公式HP等でも働けなくなった状態を保障すると謳っています。そのため以下では他社の収入保障保険(+就業不能保険)と比較しつつ、保障内容・保険料・返戻率・評判等を解説していきます。

保障内容・保障範囲

この保険は保障範囲が狭い順にシンプルプラン・障害介護プラン・5疾病保障プラン・5疾病障害介護プランの4つがあります。シンプルプランは死亡保障のみで、死亡すると遺族が死亡保険金を保険期間満了(60歳や65歳)まで毎月受け取れます。死亡する前に三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)になると、以後の保険料の支払いが免除される特定疾病保険料払込免除特則も付加できます。他のプランにも死亡保障は共通して付帯しています。

東京海上日動あんしん生命 家計保障定期保険NEOの保障内容(出典:東京海上日動あんしん生命 家計保障定期保険NEO 商品パンフレット2022年4月版)

障害・介護プランは死亡保障に加えて障害状態・介護状態を保障する就業不能保障特約(Ⅰ型)が付いています。この特約により病気・怪我で障害等級1~2級か要介護2以上に認定されると、保険期間が満了するまで就業不能給付金が毎月受け取れます。それと同時に保険料の支払いが免除されますが、シンプルプランと同様に特則を付加すれば三大疾病になった時点で保険料の支払いが免除されます。

5疾病保障プランは5疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中・肝硬変・慢性腎不全)になると、入院した時点で5疾病入院給付金(就業不能給付金の2ヶ月分)が受け取れます。さらに入院・在宅療養が60日を越えると就業不能給付金が受け取れます。就業不能給付金を受け取る期間は保険期間の満了までではなく、2年間・5年間も選択できます。2年・5年を選択すると保険料が半額近くになります。5疾病障害介護プランは以上の全ての保障があるプランです。

東京海上日動あんしん生命 家計保障定期保険NEOのプランと給付金の受け取りイメージ(出典:東京海上日動あんしん生命 家計保障定期保険NEO 商品パンフレット2022年4月版)

さらに、シンプルプラン以外のプランには就業不能一時金特約が付加できます。障害・介護プランでは障害状態・介護状態となった場合、5疾病プランでは5疾病で入院・在宅療養が60日を越えた時点で一時金が1回限り受け取れます。一時金の金額は死亡保険金・就業不能給付金とは別に設定できます。

また、保険期間が満了する直前に死亡・就業不能状態になった場合に備えて、最低支払保証期間を1~5年に設定できます。通常は保険期間満了の1ヶ月前に死亡・就業不能状態になると保険金・給付金は1ヶ月分だけですが、最低支払保証期間を1年にすれば最低でも1年間は受け取れます。

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保険料・返戻率を他社と比較

この保険の保険料は5疾病障害介護保障プランで月額10万円・最低保証2年・65歳満了にして、給付金支払期間を保険期間満了までにすると25歳男性は6430円、30歳は7610円、40歳は10640円となります。これに就業不能一時金まで付加してフルに近い状態にすると、25歳で7420円、30歳で8840円、40歳で12980円となります。

東京海上日動あんしん生命 家計保障定期保険NEOの保険料(出典:東京海上日動あんしん生命 家計保障定期保険NEO 商品パンフレット2021年1月改定版)

保険料を安くするには給付金支払期間を2年・5年に縮めたり、障害介護の保障が無い5疾病保障プランにする方法があります。5疾病障害介護保障プランで給付金支払期間を5年に縮めるだけで、25歳で3850円、30歳で4380円、40歳で6410円まで下がります。5疾病保障プランにすれば更に数百円を削れます。

その逆に、喫煙・健康状態によっては保険料が上昇します。上述の保険料は全て非喫煙者優良体保険料で、非喫煙標準体となったり喫煙者優良体になると保険料は1000円ほど上昇します。健康状態はBMIが18以上~27以下、血圧が最大139以下・最小89以下である必要があります。

それでは保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の収入保障保険と一覧表で比較しました。給付金は月額10万円で、返戻率は保険料を20年間支払い続けて死亡・高度障害ないしは身体障害等になり、保険期間満了まで給付金を受け取った場合で計算しました。

収入保障保険の23歳と30歳と40歳の保険料と返戻率の比較一覧表(SOMPOひまわり生命・FWD生命・三井住友海上あいおい生命・朝日生命・TDフィナンシャル生命・東京海上あんしん生命・ネオファースト生命・メットライフ生命・アクサ生命・はなさく生命・ソニー生命・大同生命・オリックス生命・フコクしんらい生命・マニュライフ生命・チューリッヒ生命)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

5疾病障害介護保障プランで保険料を他社と比較すると他社よりも高いです。返戻率で見るとトップクラスの保険の2分の1~3分の1の返戻率で、保険金を受け取っても大して報われないと分かります。一応、この保険の保険料は最低保証期間5年のため、40歳で20年後死亡なら返戻率は多少は改善しますが、それでもトップクラスの保険には及びません。障害介護が無い5疾病保障プランにしても同様です。

ただし、この保険料の高さは保障内容が手厚く保障範囲が広い点を勘案する必要があります。三大疾病ではなく五大疾病をカバーし、要介護・精神疾患(障害1級)まで保障します。さらに初期入院給付金や一時金もあることを考えれば、この保険料の高さは妥当とも考えられます。

メリット

この保険のメリットは、まずは途切れなく給付金・保険金が受け取れる点が挙げられます。5疾病+一時金のプランだと、入院時には初期入院給付金、入院が長引いて60日を超えれば就業不能一時金が受け取れ、入院が続く限り就業不能給付金が受け取れます。さらに死亡すれば遺族が死亡保険金を保険期間が満了する60歳か65歳まで受け取れます。

初期入院給付金は当面の治療費に充てられ、就業不能一時金で減少した収入を一時的に補完できます。住宅ローンがあっても一時金が300万円あれば当面の返済に充てられます。さらに就業不能給付金は日々の治療費・生活費の両面で支えになります。その病気が原因で亡くなっても家族の生活は毎月の死亡保険金でカバーできます。

給付金・保険金の数が多いためか保険料が高いのですが、給付金支払期間を5年にすれば保険料は抑えられます。さすがに入院・在宅療養が5年も継続しないと考えれば妥当な方法です。給付金支払期間を5年にしても、障害状態・要介護状態・死亡した場合は保険期間が満了するまで給付金が受け取れるため安心です。

保険料については喫煙・健康状態によって割引されるのもメリットです。医療保険・がん保険等ではメジャーな割引ですが、就業不能保険等では健康状態による割引が無いことが多いです。同じ健康な優良体でも喫煙・禁煙で保険料は1000円の差があり、非喫煙優良体と喫煙している標準体では保険料は3000円の差があります。

東京海上日動あんしん生命 家計保障定期保険NEOの保険料割引(出典:東京海上日動あんしん生命 家計保障定期保険NEO 商品パンフレット2022年4月版)

また、細かい設定が可能な点もメリットと言えなくもありません。保障される範囲から給付金支払期間・最低支払保証期間・一時金の有無・保険料払込免除特約まで、自分の好みの保険にして契約できます。保険料払込免除特約が付加できない他社の保険では、保険金・給付金を受け取った後も保険料を支払うことになります。

デメリット・注意点

この保険のデメリットには、まずは病気は5疾病に限られる点が挙げられます。5疾病以外の病気で入院しても初期入院給付金も就業不能給付金も受け取れません。ケガも保障されないためケガで入院・在宅療養となっても同じで、ケガで就業不能給付金を受け取れるとすれば障害等級か要介護認定された時だけです。

さらに最近の潮流である精神疾患による就業不能も保障の対象外です。うつ病等の精神疾患による入院・在宅療養もさることながら、精神疾患が悪化して障害等級2級認定(1級認定なら可)されても就業不能給付金は受け取れません。SBI生命等の就業不能保険では精神疾患による入院・在宅療養も保障しています。

また、3疾病ではなく5疾病をカバーしている点はメリットではありますが、あくまで給付金が受け取れるのは入院・在宅療養が継続している間だけです。下図でいえばT&Dフィナンシャル生命の収入保障保険は、3疾病になると保険期間満了まで給付金が受け取れます。

収入保障保険の保障内容・保障範囲の比較一覧表(SOMPOひまわり生命・FWD生命・三井住友海上あいおい生命・朝日生命・TDフィナンシャル生命・東京海上あんしん生命・ネオファースト生命・メットライフ生命・アクサ生命・はなさく生命・ソニー生命・大同生命・オリックス生命・フコクしんらい生命・マニュライフ生命・チューリッヒ生命)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

また、保険料を安くするため給付金支払期間を2~5年にするにも一応はデメリットがあります。入院・在宅療養が2~5年に及ぶケースは少なく、厚労省の患者調査でも最近の長期入院は精神疾患が多く5疾病での長期入院は考えにくいです。

そもそも60日の入院が必要という条件が厳しいのもデメリットです。就業不能保険だと60日ではなく30日の保険も多く、14日に設定している保険もあります。損保系の所得補償保険だと一段と短い7日以上、三大疾病での入院なら1日から対象となる保険もあります。60日の入院が必要でも数ヶ月分の給付金を一括で受け取れ、60日経過後の入院等の有無が不要である保険もあります。この保険は60日経過後も入院等が必須という弱点があります。

ちなみに死亡保障が不要な人は死亡保障があるのもデメリットかもしれません。他に保険料の安い定期保険・終身保険に加入していれば、保障が重複し死亡保障がある分だけ余計に保険料を支払うことになります。

評判・苦情

東京海上日動あんしん生命の2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、全体での新契約数は42.7万件で前年度の38万件から12%増でした。大幅減・横ばいとなった保険会社もあるため上々の数字です。契約状況からすると評判は悪くありません。

生命保険協会の苦情数のデータでは、東京海上あんしん生命全体に寄せられた苦情数は15975件(2021年度累計実績)で、総顧客数の375万件で割った苦情率は0.4%です。契約者100人のうち0.4件で苦情が発生している計算で、他社の苦情率は0.2~0.3%程度が多いため苦情数で考えると評判は普通です。特に保険金関係の苦情が多いため保険金支払の対応遅れ・対応方法などに注意が必要でしょう。

ただ、調査会社のJ.D.パワーの「2023年 生命保険契約満足度調査(対面型チャネル)」では、東京海上日動あんしん生命は12社中3位と優秀です。前年も3位と高順位で、安定して高い満足度を得ているといえます。手続き・顧客対応・商品提供・保険料が評価項目ですが、いずれの項目でも高い評価だったのでしょう。

その一方で同じ調査会社で保険金を請求する際の満足度を示す「2023年 生命保険金請求対応満足度調査」では25社中10位に沈みます。保険金については苦情の箇所でも挙がった点のため整合性が取れます。これらの調査は保険を新規購入・更新した約7000人を対象としており、数十人程度の口コミよりも信頼が置けます。

JDパワー 2023年生命保険契約満足度調査 保険代理店チャネル(出典:JDパワー公式HP) JDパワー 2023年生命保険金請求対応満足度調査(出典:JDパワー公式HP)

また、オリコンの「収入保障型生命保険商品 総合ランキング2023」では、9つの収入保障保険の中で「家計保障定期保険NEO」は7位と下位に沈んでいます。この調査は30人の専門家(ファイナンシャルプランナー)が回答したもののため、専門家からは低い評価を得ていると分かります。

評価項目別のランキングでは保障内容・商品内容では順位が大して変わりませんが、保険料では順位が最下位になっています。保険料の比較の箇所でも既述しましたが、給付金支払期間を長くすると保険料は明らかに高くなるため納得の順位ともいえます。

オリコン 収入保障型保険商品 総合ランキング2023(出典:オリコン公式HP)

以上のデータから考えると、東京海上日動あんしん生命全体の評判は良いか普通そうですが、家計保障定期保険NEOの評判は悪そうです。全体の評判は保険金面で一抹の不安がありますが、顧客満足度はトータルでは高いため不安は小さいでしょう。家計保障定期保険NEO自体の評判は契約数からは良い可能性もありますが、専門家の評価が低いため一般人からの評判も良いとはいえません。

総合評価・おすすめか?

結論としては、家計保障定期保険NEOはイマイチな保険です。保険料が高い分だけ保障厚めですが、微妙に抜け穴がありメリットも吹き飛んでしまいます。5疾病以外の病気・ケガによる入院が対象外で、精神疾患による就業不能状態もカバーしていないのも看過できません。

そのため、この保険を検討している人は保障・保険料の両面で優れているSOMPOひまわりの収入保障保険も検討すべきでしょう。死亡保障は不要で精神疾患をカバーしたい人は、保険料が安いSBI生命等の就業不能保険も確認した方が賢明です。精神疾患が不要なら、三大疾病の保障が手厚いT&Dフィナンシャルの収入保障保険を検討しても良いでしょう。