生命保険 解説・用語集

こども保険/学資保険は必要か?

こども保険(一部の保険会社では学資保険と呼ばれる)は、子供の教育資金・進学資金などを準備する保険だ。子供の入学や進学に合わせて祝い金が出たり満期で支払った保険料より大きい保険金が受け取れる。ただ、実際にはこども保険のメリットは非常に少ない(こども保険のメリットとは?を参照)それでは、こども保険は必要ないのだろうか?それとも必要なのだろうか?

まず抑えておきたいのは、食費・衣料費などを含めた生活費と進学費・学習費の目安だ。公立・私立によっては差があるものの、ひとたび私立に進学すれば月額12~15万円(生活費込み)の出費が出る(子供1人に必要な費用を参照)子供に費やす支出とローン返済を含めた両親の支出を勘案して、収入が事足りるようなら、こども保険は必要ない。入学金で必要になる数十万円を貯めておけばいいだろう。出世して年収が増加することまで想定できれば完璧だ。

他方で、子供の進学によって収入が不足して生活に支障を来たすのが目に見えている場合、子供が小さいうちに貯金するか、保険を契約して保険料を早くから支払っておく等は有効な手段になる。その際、元金を確保しながら少しでも増やすためには、定期預金を含めた貯金や、こども保険・低解約返戻金型の定期保険・終身保険、さらに満期まで保有すれば元本は確保される債券(社債)で利息収入を得る等が候補となる。これらは契約・購入すれば放っておけばいいため、特に仕事が忙しい人(+共働き家庭)には必要性が出てくる。特に手元資金が無い人には、こども保険に一応は必要性がある。それでも定期積み立てや低解約返戻型の保険と、お得度で比較した方が賢明だ。

その一方、仕事は定時には退社できる人(もしくは片働き)、ないしは退職した両親が資産運用しているような人なら、こども保険ではなく大きく資産を増やすアクティブな方法もアリだ。片働きなら少なくとも9時~15時までの株式市場は随時チェックが可能で、定時退社なら夜間取引が可能なFXなどで収益の機会を得られるためだ。

しかし、一般的に投資のルールとして、使用する用途・期限が定まった資金は投資に回していけないことになっている。これは何月何日に必ず金銭が必要なのに、その際に金銭が無ければ損が発生していても売却しなければならないためだ。しかし、子供が高校生になるまででも15年間があり、その期間をムダにする手はない。そのため一定の安全度は確保しつつリターンを回収することになる。目安としては貯金する額(保険料相当額)の10~30%だけ投資に回すのが妥当だろう。毎月5万円の貯金するなら5,000~15,000円だけ投資するイメージになる。投信なら毎月積立て、株なら10万円ほど貯まった時点で購入して売買益か配当を狙うことになろう。FXなら追証が発生すると意味がないため、円キャリートレードにした方がいいだろう。金利の高い豪ドル・NZドルでスワップ狙いにした方が無難だ。時間だけでなく一定の投資知識があれば、なお良しで保険は不要といえる。

その他、子供が将来進む道が分からないため、こども保険は元より資産運用さえ不要となるケースも想定される。例えば、子供が中卒・高卒で働き始めた場合や、実家を継ぐ、または高校卒業後は海外に出て働く(料理人・パティシエ・ダンサーなどを目指す)ケースもあろう。さらにはプロ野球でドラフト指名されたり、Jリーガー・ゴルフ・相撲・ボクサー・騎手などの体が資本の職業になったり、囲碁・将棋棋士やタレント・お笑い芸人になり高給取りになる可能性もある。可能性としては決して高くはないが、必ずしも保険を含めて資産運用が必要になるとは限らないということだ。その際には子供の希望に併せた支援が必要になるだろう。

以上のように個々人の収入・状況次第で、こども保険が必要・不要なケースが分かれる。ただ、いずれのケースにおいても必ずしてもこども保険が唯一無二の手段ではないことは共通している。前述した複数のパターンのどれに自分が当てはまるか考えて選択するのが賢明だろう。