生命保険 解説・用語集

引受基準緩和型/限定告知型保険とは?

引受基準緩和型保険・限定告知型保険とは、持病や既往症を抱えている、もしくは通院・服薬中でも申し込める保険を意味する。保険会社が保険を"引き受ける"基準"を"緩和"していることから「引受基準緩和型保険」と呼ばれる。また、申込者が告知する項目が通常よりも限定されていることから「限定告知型保険」とも呼ばれる。基本的に引受基準緩和型は医療保険が多いが、終身保険でも存在する。

一般的に、持病がある人や過去に病気で入院・手術をしたことがある人でも、一定の条件下で保険金・給付金が受けられるのがメリットと言われている。例えば、狭心症と診断され治療中の場合は、通常の医療保険だと「5年以内に指定の病気で診察・治療などを受けているか?」の心臓病に該当し謝絶される(保険の加入を断られる)可能性が高い。これは狭心症が心筋梗塞に少なからず繋がる可能性が高いことを考慮しての判断だ。

その点、狭心症でも引受基準緩和型の保険であれば加入でき、さらに心筋梗塞になっても保険金が受け取れる。また、医療保険は必要か?がん保険は必要か?で記述したように入院・手術は貯金で十分に備えられるが、初めての手術で貯金の相当程度を費やしてしまい残りは厳しい状態で、病気の再発を懸念している場合なども利用価値があるといえよう。

大きなメリット(大きそうに見えるメリット)がある一方で、デメリットとしては①加入初年度は保険金・給付金が半額 ②保険料が高め ③持病による保険金の支払いは加入時よりも悪化した場合に限られる ④意外と普通の医療保険に加入できる可能性もある、以上の4点と考えられる。

①は、正確には契約日から1年以内に保険金の支払事由に該当する病気・手術となっても、受け取れる保険金は通常の50%に制限されることを意味する。いわゆる支払削減期間があるということだ。持病が悪化しそうな気配があって、運よく?(運悪く?)契約から間もなく入院となっても、長期入院とならなければ大して保険としての意味を持たない。

引受基準緩和型保険(限定告知型保険)の特徴とメリットとデメリット

②は、通常の医療保険よりも保険料が高いことを意味する。そのため通常の医療保険以上に、支払った保険料に対する対価として保険金が妥当な額なのかを考えなくてはならない。例えば、40歳男性で某社の通院保障ありの引受基準緩和型の医療保険を契約した場合、月額保険は約4,600円となっている。仮に10年後に病気となった場合、支払った合計保険料は約55万円に達する。対して1ヶ月の入院+手術+週1回の6ヶ月の通院となると、受け取れる保険金と給付金の合計額は約30万円に留まる。この計算だと5年内に病気となるようでなければ保険としての意味が無いことになる。実際には、長期化する通院も存在することを考えれば、5年以内という考え方は目安でしかない。ただ、高い保険料を支払って家計を圧迫してまで備えるべきリスクなのかどうか、自分が抱える病気と併せて考える必要がある。

③は当然といえば当然だが、持病以外の病気は診断or所定の状態となれば保険金が受け取れるが、こと持病に関しては持病が悪化するか再発しなければ保険金は受け取れない。例えば、現在糖尿病の人が保険の契約後に、糖尿病でインスリンを継続して注射しているからといって保険金を受け取れることはない。他方で糖尿病の合併症(網膜症・腎症)で入院・手術となった場合には、保険金支払いの対象となる。

④はデメリットではないが、忘れずにおきたい点として記述した。持病があるとはいえ、詳細な告知をすることで保険料が高くない一般的な保険に加入できることもある。その場合には支払削減期間も存在せず、保険金を予定通りに受け取れるメリットがある。また、前述したように引受基準緩和型の保険は保険料が通常よりも割増しとなっているため、ノーマルな保険に加入するに越したことはない。とはいえ持病次第では多少の保険料割増し、一部の病気は保障外(特定部位の不担保)となる可能性もある。そのため、まずは試しに一般的な保険の申込を数社試した後に、引受基準緩和型の保険の検討に入るのが妥当だ。

以上のように、引受基準緩和型の保険は1つだけのメリットに対して複数のデメリットがあるため、契約には相当に慎重になるべきだ。医療保険なら検討するフローとしては、貯金でカバーできないか?→終身保険などでカバーできないか?→一般的な医療保険に加入できないか?といった流れを踏まえた上で、引受基準緩和型の医療保険を検討するといいだろう。