生命保険 解説・用語集

介護が必要になる年齢は?

誰しもが老いていくため、介護が必要となった場合を懸念する人は多い。それに向けて諸々の準備をする必要があるのは間違いないが、それでは何歳から介護が必要になるのだろうか? そして、介護が必要な状態になってから天寿を全うするまでに何年が残されているのだろうか?

介護が必要となった場合は、まずは公的介護保険(40歳以上だと全員加入)で要支援・要介護の認定を受けることになる。そのため要介護認定を受けた人の数とパーセンテージを出せば、概ね介護が必要になる年齢が分かる。下図は厚労省のデータを元に内閣府が作成した要介護認定の状況だ。

要介護認定の年齢比率(年齢分布)

上図は少し分かりにくいが、65~74歳で要支援の認定を受けた人は公的介護保険の被保険者の中で184,000人おり、それは65~74歳の中で1.2%に該当するということを示している。つまりは65~74歳で介護認定を受けているのは4.2%(100人中4人)で、75歳以上だと29.4%(概ね10人中3人)ということになる。75歳以上になれば、相当の確率で何かしらの支援・介護が必要になるといえるだろう。

しかし、ここで思考停止してはいけない。75歳以上といっても75歳と90歳では状況が異なる可能性がある。75~79歳と80~84歳では要支援・要介護になっている比率に開きがあることも考えられるためだ。そのため、同じく厚労省のデータ(こちらは平成19年で古いデータだが)を元に75歳以上の人で要支援~要介護となった人(女性)の内訳を見てみる。

75歳以上の要介護・要支援の比率

注目すべきは、75~79歳だと介護認定された人が16%と未だ低い点にある。現在から未来にかけての医療技術の進歩を考えれば、さらに比率は下落する可能性もある。その一方で、80歳前半になると比率は一気に2倍になり、介護認定された人は30%まで増加する。そして85歳を超えると52%となり、該当者しない人を逆転している。この流れを見れば、分岐点は3人に1人が介護認定される80歳前半が介護が必要になる年齢と考えていいだろう。もちろん2人に1人が介護認定を受ける80歳後半としてもいいが、85歳は現在の日本人の平均寿命(男性は80歳)であり、介護よりは生死に焦点を置くべき年齢と考えられる。

この80歳前半が介護が必要となる年齢と推定できるのは、介護期間の平均値が4年9ヶ月(詳細は介護に必要な費用も参照)という点からも妥当だと考えられる。平均寿命である85歳から5年を引けば80歳となるためだ。ただし、平均介護期間の中で34%を占める期間が4~10年未満という点を考えれば、75歳以降が介護が必要となる年齢としても説得力はある。

以上のことから、基本的には介護が必要となる平均年齢は80歳前半と考えられる。少し広めに見れば75歳以降と言えなくもないが、介護保険を検討している人が20~30年後に当該年齢層に近づくなら、医療技術の進歩を考慮して80歳前半とするのが無難だろう。そして介護を受けてから天寿を全うするまでは、平均で5年程度と考えるのが妥当だろう。