第一生命 積立年金しあわせ物語/ 保険料・年金額・返戻率・利回りを比較して評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- 第一生命
- 名称:
- 積立年金しあわせ物語(5年ごと配当付 個人年金保険)
- 契約年齢:
- 0~80歳
- 年金受取:
- 5・10・15年
- 返戻率:
- 104.6%
- 特徴:
- ゆたかな老後に向けた計画的な準備ができる個人年金保険です
第一生命 積立年金しあわせ物語は柔軟性があるのは確かだが!?
積立年金しあわせ物語は第一生命が販売する個人年金保険で、ながいき物語という個人年金保険も同社にはある。しあわせ物語はベーシックなタイプで、ながいき物語は相当に長生きをしないと損をする保険のため、しあわせ物語を基本的には検討した方が賢明だ。以下では、しあわせ物語の保障内容・メリット・デメリットを公式HP等を元に解説し、他社と保険料・評判等でも比較する。
まず、この保険の仕組みはベーシックな定額年金保険そのものという感じで、保険料を支払っている間は、死亡すれば支払った保険料の累計額の死亡給付金、解約すれば累計額を下回る解約返戻金が受け取れる。支払いが完了した後の据置期間も同様で、その後に年金の受け取りが開始する。年金の支払期間は5年・10年・15年から選択でき、確定年金のため支払期間中は契約者の生死に関わらず年金が受け取れる
その一方で契約する際の基本条件は、販売を開始した2005年から度々改定している。現在は契約できる年齢は0~80歳で、年金の受け取りを開始する年齢は10~90歳、保険料の払込期間は5~45年となっているが、改訂により年齢・年数の幅が広げられてきた。その背景には高齢者への対応と、用途(販売目的)を拡大化したい思惑が見て取れる。
例えば、契約年齢の上限は60歳から80歳になり、年金受取開始年齢の上限は70歳から90歳に拡大された。これで60歳以降に年金不足を感じた人も契約が可能になり、さらに再就職も難しい70歳以降に年金を受け取るといった使い方もできるようになった。この長生きする可能性を強調したのが、同社のながいき物語ともいえるだろう。契約年齢の下限も15歳から0歳になり、年金開始年齢の下限は55歳から10歳に拡大された。これで子供でも契約が可能となり、受け取った年金を教育資金に充てることも可能となった。さらに保険料払込期間も最短5年から可能となったため、住宅ローンのために契約する(それが得かどうかは別として)ことも可能となった。
次に下図では各社の定額年金保険を契約年齢・年金の受取期間・年金の開始年齢・5年ごと利差配当(5年ごとに契約者に支払う上乗せの年金)に加え、返戻率と利回りでお得さも比較した。返戻率・利回りは基本的に30歳契約で60歳で保険料の払い込みを完了して、年金を10年間受け取った場合の数字で比較している。評判が良いか悪いかは生命保険協会のデータで苦情率(苦情数÷契約数)を算出して判断した。
名称 | 住友生命 たのしみ |
第一生命 しあわせ |
JA共済 ライフ |
明治安田 虹色 |
明治安田 かけはし |
ソニー生命 個人年金 |
ニッセイ 年金保険 |
三井住友 あいおい |
住友生命 充実みらい |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
契約年齢 | 0~75歳 | 0~80歳 | 18~85歳 | 0~60歳 | 20~55歳 | 15~60歳 | 7~65歳 | 16~60歳 | 0~75歳 |
受取期間 | 5年/10年 15年 |
5年/10年 15年 |
5年/10年 15年/終身 |
5年/10年 | 5年/10年 | 5年/10年 15年/終身 |
5年/10年 15年/終身 |
5年/10年 15年/終身 |
5年/10年 15年/終身 |
受取開始 | 25~85歳 | 10~90歳 | 50~90歳 | 10~80歳 | 10~80歳 | 55~70歳 | 17歳~ | 60/65歳 | ~85歳 |
5年ごと 利差配当 |
あり | あり | なし | あり | あり | あり | なし | あり | あり |
苦情率 | 0.47% | 0.20% | - | 0.31% | 0.31% | 0.21% | 0.17% | 0.11% | 0.47% |
月額保険料 (合計) |
\15,000 (540万) |
\32,000 (1152万) |
\10,000 (360万) |
\30,000 (900万) |
\20,000 (720万) |
\32,010 (963万) |
\19,022 (684万) |
\14,094 (591万) |
\20,000 (720万) |
年金額 (合計) |
57万 (574万) |
120万 (1205万) |
38万 (383万) |
94万 (943万) |
76万 (762万) |
100万 (1000万) |
72万 (720万) |
60万 (600万) |
75万 (750万) |
返戻率 | 106.3% | 104.6% | 106.5% ※126.7% |
104.7% | 105.8% | 104.1% | 105.1% | 101.3% | 104.1% |
利回り | 0.18% | 0.13% | 0.19% ※0.76% |
0.14% | 0.17% | 0.14% | 0.17% | 0.05% | 0.14% |
据置期間 | 5年 | 5年 | 5年 | 5年 | 5年 | 0年 | 0年 | 0年 | 0年 |
上図で左から2番目の第一生命 しあわせ物語だが、契約年齢・年金受取開始年齢等を改訂したことで他社と比較しても範囲は広くなっている。とはいえ高齢者への対応という意味では20~40代にとっては無関係な話しで、教育資金への用途拡大という意味では学資保険・終身保険等との比較が必要となってくる。苦情率は他社と比較して平均に近いため、評判は決して悪くはないのだろう。苦情の内訳は名義人変更や解約等の手続きが含まれる保全関係の比率が高い。これは他の大手の生命保険会社と同様で、新契約関係や保険金関係ではない分だけ良いだろう。
返戻率は30歳契約・60歳で保険料払込完了・65歳で年金開始だと、据置期間を5年入れて104.6%で平均利回りは0.13%で、住友生命やJA共済の数字よりも劣る。さらに据置期間が長い分だけ返戻率は上がるが、第一生命よりも据置期間が短い0年の日本生命やソニー生命にも返戻率では負けている。
以上のことから総合評価としては、お得さに欠けるためイマイチな保険といえる。柔軟性のある改訂は評価はできるが、それだけでは返戻率・利回りで他社に劣る面をカバーはできない。とはいえ現在は日銀の金融政策で著しく金利が低下しており、多くの保険会社が個人年金保険の募集を停止している中で、僅かだがプラスの返戻率で販売を継続している点は大いに評価できるだろう。