住友生命 自由保険を比較・評価

住友生命 養老保険 自由保険(スミセイの自由保険)
オススメ度:
2
保険会社:
住友生命
名称:
スミセイの自由保険
加入年齢:
0~70歳
保障期間:
50~85歳
保障内容:
死亡
特徴:
資産形成と死亡保障

自由保険は住友生命が10年以上に渡り販売し続けている養老保険です。保険料率は変更されてきましたが、基本的な仕組みは変わりません。ただ、円建ての養老保険では日銀のマイナス金利の影響で運用が厳しく、後述するように返戻率も芳しくはありません。

そのため同社では2019年からソニー生命の米ドル建ての養老保険も販売しています。とはいえ為替リスクの無い円建ての養老保険にも一定のニーズがあり、引き続き自由保険の販売も継続しています。それでは以下でスミセイの自由保険の保障内容・保険料・返戻率等を解説し、他社の養老保険と比較していきます。

保障内容

この保険は保険料を支払っている間は死亡保障と高度障害保障があり、死亡せずに満期を迎えると満期保険金が受け取れる保険です。死亡すると死亡保険金、事故等で高度障害になると高度障害保険金、満期になると満期保険金が受け取れますが、どの保険金も受け取れる額は同額です。

住友生命 スミセイの自由保険の保障内容(出典:住友生命公式HP)

死亡・高度障害になって保険金を受け取るか、満期まで生存して保険金を受け取るかというシンプルな保険ですが、住友生命の場合は多様な特約が付加できます。特約により死亡・高度障害の他に病気で入院した時に給付金が受け取れたりします。ただ、特約を付加すれば保険料は上昇します。

保険料が上昇するとしても検討の余地があるとすれば、がん関連の特約(通称:がんPLUS ALIVE)でしょうか。2021年3月から発売している特約ですが、がんと診断されたり入院したり薬物治療を受けると保険金・給付金が受け取れます。がん診断された時だけ受け取りたいなら、個別に特約を付加(がん診断特約のみ付加)することも可能です。

住友生命 がんプラスアライブの保障内容(出典:住友生命 プレスリリース「新商品がんPLUS ALIVEの発売について」20210305)

仮に保険期間10年で診断保険金100万円で、がん診断継続保障特約を付加すると、20歳男性だと月額保険料が200~400円、40歳男性だと600~700円ほど上昇します。がん診断特約単体であれば保険料は、最大で200円ほど安くなります。

養老保険ではなく通常のがん保険であれば、がんと診断されるか入院して保険金を受け取れば保障は消滅します。しかし、養老保険に特約という形式でがん保障があるため、がんになっても養老保険の保障は残ります。がんになっても死亡・高度障害にならず満期まで生存すれば満期保険金は受け取れます。当然ながら、がんで死亡すれば特約分の保険金・給付金を受け取った後に死亡保険金が受け取れます。

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保険料・返戻率を他社と比較

この保険は2015年時点では30歳男性・60歳満期・保険金額500万円で、毎月の保険料は13900円で満期保険金の返戻率は99%でした。40歳男性で返戻率は95%(保険料は14505)円で、50歳男性で86%(保険料は16075円)でした。他社では2015年時点では100%を超えることもありましたが、この時点で自由保険は全ての年齢で100%を下回っていました。

それが2022年時点では一段と悪化し、30歳で同条件だと毎月の保険料は14925円に上昇し返戻率は93%まで悪化しています。つまり保険料を30年間で合計537万円支払って500万円の満期保険金を受け取るわけです。40歳契約でも返戻率は90%、50歳契約でも返戻率は84%に悪化しています。以前は30歳契約なら保険料分は元が取れていたことを考えると、かなり状況は厳しいと言わざるを得ません。

住友生命 スミセイの自由保険の保険料(出典:住友生命公式HP)

保険料と返戻率から考えると、現時点では貯金の返戻率100%にも劣るためお得感は一切ありません。ただ、30歳契約なら30歳から支払う保険料が総額35万円で、30年間は実質は月額972円の負担で死亡保障があったと考えると決して無意味ではないでしょう。

一方で保険料・返戻率は他社の養老保険とも数字を比較してみる必要があるでしょう。本当に他社と比べて得なのか、他社の養老保険と保険料・返戻率等で一覧表で比較しました。下図の比較図を見て下さい。

養老保険の通貨・苦情率・30歳と40歳と50歳の返戻率の比較一覧表(かんぽ生命・住友生命・ソニー生命・オリックス生命・SOMPOひまわり生命・JA共済・明治安田生命・日本生命・大樹生命・ジブラルタ生命・メットライフ生命)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

住友生命の自由保険は過去よりも数字が悪化したとはいえ、それでも他社と比較して高めの数字です。同じ大手の日本生命・明治安田生命よりも返戻率は高くなっています。外貨建ての養老保険を除けば、住友生命よりも返戻率が全て高いのはオリックス生命ぐらいです。

また、ソニー生命・SOMPOひまわり生命は契約する年齢によっては、住友生命よりも返戻率が高いようです。特に30代なら住友生命が3社の中で最も高いのですが、40代なら他の2社に返戻率で劣り、50代ならSOMPOひまわり生命に返戻率で劣ります。

メリット

まず、養老保険全てに共通するメリットですが、満期保険金がある点が挙げられます。死亡に備えながら将来に向けた資金(子供の学費・老後資金・住宅購入の資金等)を貯められます。返戻率は100%を下回りますが、30歳・保険金額500万円なら月額1027円程度(合計37万円)で30年間も死亡に備えられます。

がん特約等の特約が手厚い点は同社ならではのメリットです。他社の養老保険ではリビングニーズ特約(余命宣告で保険金を受け取れる)といった一般的な特約のみ用意されているケースが多いです。その点、この保険には総合医療特約・がん特約・先進医療特約・傷害損傷特約・災害割増特約等があり充実しています。

住友生命 スミセイの自由保険に付加できる特約(出典:住友生命公式HP)

がん特約は上皮内新生物も保障の対象となります。最近のがん保険では初期のがんとも呼ばれる上皮内新生物を保障対象とすることが増えていますが、まだ保障対象外としている保険もあるためメリットといえます。また、保障対象としている場合でも診断保険金のみとしているケースもあります。

さらに地味なものの高度障害保険金があるのもメリットです。他社の養老保険では同保障が割愛されていることが多々あります。高度障害になる可能性は極めて低いとはいえ、事故等で高度障害になる可能性は否定できません。そのため地味ですがメリットといえます。

デメリット・注意点

この保険のデメリットは、まずは返戻率が低い点が挙げられます。ほぼ同じ保障内容の保険なら、より安い保険料で受け取れる保険金額が大きい方が得です。この保険では500万円を受け取るのに537万円を支払いますが、オリックス生命の養老保険なら510万円支払えば事足ります。さすがに27万円の差額は見逃せません。

メリットの箇所で既述したように、この保険なら実質で月額1027円程度(合計37万円)で30年間も死亡に備えられます。しかし、SBI生命のクリック定期Neoなら30歳男性・保険金500万円・60歳満了なら、毎月の保険料は1015円で住友生命よりも安く済みます。住友生命の養老保険の保険料との差額(13910円)を貯金すれば、30年後の貯金額は500万と7600円になります。満期保険金を受け取るより大きい金額になります。

SBI生命のクリック定期Neoなら30歳男性・保険金500万円・60歳満了の保険料(出典:SBI生命公式HP)

がん関連の特約もメリットばかりではありません。がん入院一時給付金は、がん診断されてから1年経過すると受け取れる仕組みになっています。がん診断保険金と同時に受け取ることはできず、再発して入院した時のみ受け取れます。がん入院一時給付金はがんが再発しても、入院せず薬物治療だけでは受け取れないのです。

さらに、がん特約は主契約が消滅する(満期を迎える)と同時に消滅する点に注意が必要です。養老保険の保障期間中にがんになっても養老保険は消滅しませんが、その逆に養老保険が満期を迎えると消滅します。がん入院給付一時金は限度回数なし、がん薬物治療特約は120ヶ月が限度と十分な回数があります。しかし、満期後に再発することも考えると心もとない感もあります。

ちなみに、がん特約の保険料は理由は不明ですが女性が高めです。一般的ながん保険は女性の方が保険料が安いだけに、がん特約ではなく定期保険+がん保険という組み合わせも女性なら検討の余地があるでしょう。差額を貯金できれば養老保険に近い形にできます。

評判・苦情

住友生命の2020年度(2020年4月~2021年3月)の決算資料によると、養老保険を含む個人保険の新契約件数は48万件で前年度比で20%減で、2019年度の14%減から減少が加速しています。その中で養老保険の新契約件数は7000件、前年度の8000件から同様に減少しています。他社の保険や住友生命全体の件数よりも減少幅は小さいため、契約件数から考えると評判は悪くなさそうです。がん特約は減少せず微増していたのもポイントです。

生命保険協会のデータでは、住友生命全体に寄せられている苦情数は2.7万件(2021年度上半期)です。契約者数の687万件で割った苦情率は0.40%と他社と比較して高めです。1000契約のうち4.0件で苦情が発生している計算です。各保険会社で主力商品が異なりますが、苦情は平均以上のため評判は良くはないでしょう。

どちらが正しいのか難しいところですが、大規模調査の「2021年 生命保険契約満足度調査(J.D.パワージャパン)」では20社中は16位と下位に位置します。この調査は保険を新規購入・更新した約6000人を対象としており数十人程度の口コミよりも信頼が置け、顧客満足度は低いと言わざるを得ません。日本生命・第一生命等の他の大手よりも順位が低いのも見逃せません。

2021年生命保険契約・顧客満足度ランキング(出典:JDパワー2021年生命保険契約満足度調査)

さらにオリコンの2022年の生命保険会社ランキング(9000人対象の調査)でも、27社中で23位と下位に位置します。27社の大手とネット系の生命保険会社がランキングに名を連ねている中、住友生命以下にはチューリッヒ・第一生命・太陽生命・朝日生命(+かんぽ生命等)があるだけです。この調査は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォローが評価項目にありますが、これらの項目で劣っていることになります。

以上のデータから考えると、養老保険そのものの評判は抜群に良くなくとも悪くはなさそうです。ただ、住友生命全体への顧客満足度・評価は決して良くはありません。そのためアフターフォローや手続きを考えると他の保険も検討すべきかもしれません。

総合評価・おすすめか?

結論としては、微妙にイマイチな保険といえそうです。自由保険は数字ではトップには及ばず、保障・特約も魅力的とはいえ他の代替手段等があり決定的なメリットとはいえません。住友生命の評価・評判が他社よりも良ければ話は別ですが、その点でも不安があり難しいところです。

そのため自由保険を検討している人は、改めて他社の養老保険も検討した方が賢明でしょう。その際にはオリックス生命・ソニー生命・メットライフ生命あたりが候補になります。円建てならオリックス生命が最有力で、外貨建てでも良いならメットライフが最有力の候補になるでしょう。