JA共済 養老生命共済を比較・評価

JA共済 養老生命共済
オススメ度:
1
保険会社:
JA共済
名称:
養老生命共済
加入年齢:
0~75歳
保障期間:
15~38年
保障内容:
死亡
特徴:
貯蓄しながら備えられる万一保障

JA共済の共済は基本は農業従事者向けですが、出資金をJAに預けて組合員になれば誰でも共済に加入できます。出資金の金額は地域によって異なりますが、概ね数千円で事足ります。各地域のJAの規程によりますが、組合員にならなくても員外利用で加入することも可能です。

養老生命共済は1967年から募集を開始した共済で、50年以上に渡り続いており非常に歴史があります。長く続いている点からすると常に一定の需要があると考えられますが、それだけで良い共済だとは判断できます。それでは以下でJA共済の養老生命共済の保障内容・保険料・返戻率等を解説し、他社の養老保険と比較していきます。

保障内容

この共済の主契約である養老生命共済は、災害・病気で死亡すると一時金が受け取れ、死亡せずに満期まで生存すれば満期共済金が受け取れる仕組みになっています。他の保障は特約として付加することになり、災害給付特約・定期特約等が用意されています。災害給付特約は災害で死亡時に一時金が上乗せされ、定期特約は災害か病気で死亡すると一時金が上乗せされます。

JA共済 養老生命共済の保障内容(出典:JA共済 養老生命共済リーフレット)

あくまで養老生命共済の一時金の金額が満期共済金の金額となり、他の特約の金額は無関係です。言い換えると、養老生命共済分に支払う掛金だけが満期共済金の元となり、他の特約分の掛金は満期共済金の元とはならないことを意味します。特約を付加するほどに支払う掛金に対して、受け取れる満期共済金は減ります。

さらにJA共済のリーフレットでは災害給付特約と定期特約を組み合わせていますが、保険料のことを考えると定期特約の1本に絞っても良いでしょう。わざわざ災害時だけ手厚い保障をしなくとも、定期特約だけで病死と事故死の両方に保障があるからです。

その他の特約には生前給付特約・指定代理請求特約・共済掛金払込免除特約・中途給付特則があります。生前給付特約は余命宣告を受けると一時金が前払いされて受け取れます。指定代理請求特約は代理人が共済金を請求でき、共済掛金免除特約は重度の後遺障害等になると掛金の支払いが免除されます。中途給付特則は満期前に定期的に中途給付金が受け取れます。

JA共済 養老生命共済の中途給付特則の仕組み・保障内容(出典:JA共済 養老生命共済リーフレット)

中途給付特則の金額・受取回数は共済期間によって異なります。共済期間が15~17年だと3年毎に満期共済金の40%分を4回に分けて中途給付金を受け取れます。満期共済金を200万円なら、3年目・6年目・9年目・12年目に各20万円、15年目か17年目に満期共済金の120万円が受け取れます。共済期間30~38年なら5年毎に満期共済金の50%を5回に分けて中途給付金を受け取れます。5・10・15・20・25年目に各20万円、30年目に100万円となります。

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保険料・返戻率を他社と比較

この保険は30歳男性・満期共済金200万円・保険期間30年で、2015年時は保険料は月額9135円で返戻率は60.8%でした。かなり低い返戻率ですが、当時は医療共済とセットが基本だったため、その分だけ返戻率は低いといえます。とはいえ2022年現在のロールモデルでも定期特約がセットになっているため、保険料は月額8795円で返戻率は63%と大差ありません。

JA共済 養老生命共済の保険料一覧(出典:JA共済 養老生命共済リーフレット)

特約なしの保険料も気がかりですが、それを差し引いて考えて他社と比較して高い返戻率なのでしょうか。JA共済の養老保険を、下図で他社の養老保険と保険料・返戻率等で一覧表で比較しました。

養老保険の通貨・苦情率・30歳と40歳と50歳の返戻率の比較一覧表(かんぽ生命・住友生命・ソニー生命・オリックス生命・SOMPOひまわり生命・JA共済・明治安田生命・日本生命・大樹生命・ジブラルタ生命・メットライフ生命)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

JA共済の返戻率は63%で、他社には返戻率が90%台が数多く存在しているため数字面で劣るのは明らかです。もしも返戻率を他社に近い92%にするなら保険料は月額6000円程度である必要があります。そこまで安い保険料に定期特約等がない状態でなるなら話は別ですが、さすがに厳しいでしょう。経済情勢が良好なら受け取れる割りもどし金にも、現在の経済情勢からすると期待はできません。

メリット

この保険のメリットは、まずは満期共済金がある点が挙げられます。返戻率は100%を下回りますが、死亡保障を確保しながら一定の貯蓄が可能です。また、割りもどし金は現在の経済情勢(主に金利動向)からすると期待薄ですが、将来的に金利が上昇して受け取れる可能性もあります。もしも住宅ローン等の借入があるなら金利上昇は支払い負担増なりますが、養老共済の返戻率が上昇して利益が増加すれば金利上昇の緩衝材になります。

さらに定期特約等の特約があるのもメリットです。その中でも共済掛金払込免除特約と中途給付特則はメリットかもしれません。共済掛金払込免除特約は掛金の支払いが免除される条件は厳しめですが、ほとんどの他社の養老保険では保険料免除特約が付加できません。そのため付加できるだけもメリットといえます。

中途給付特則も同様に付加できるだけでメリットです。中途給付金の使い道は旅行でも何でも自由ですが、子供・孫向けに使うという手もあります。中途給付金は4年か5年おきに受け取れるため、完全に子供が進級するタイミングではないにせよ学費に充てられます。それも中途給付金を受け取っても死亡すれば一時金は満額受け取れるため、気兼ねなく中途給付金を使えます。

ちなみにJA組合員になると、その地域のJAの組合員向けの特典が受けられます。新鮮な野菜等をお買い得な価格で購入できたりするのもメリットでしょう。

JA組合員の特典・メリット(出典:JA公式HP)

デメリット・注意点

この保険のデメリットは、まずは返戻率が低い点が挙げられます。同じ養老保険なら保険料が安い方が得で、前述したように安い養老保険は他に複数あります。また、30歳・保険金1000万・保険期間30年で、例えばライフネット生命の定期保険なら保険料は月額2031円です。

ライフネット生命の定期保険の30歳男性・保険金1000万円・30年間の保険料(出典:ライフネット生命公式HP)

JA共済で災害特約・定期特約(養老共済と定期特約で死亡すると一時金は1000万円)を付加すると掛金は約8800円です。JA共済に加入したと思ってライフネットの定期保険に加入して、掛金と保険料の差額の6700円を貯金したとします。30年後に定期保険は消滅しますが、30年後に貯金額は約240万円が貯まります。JA共済の満期共済金よりも大きい額が貯まります。

さらに金利上昇による割りもどし金を期待するにしても、今からバブル景気の頃のような高い金利(5~6%)は現在の日本経済から考えると可能性は低いでしょう。そこまで金利が上昇しているなら、物価も相応に上昇しているため養老共済ではなく他に金利上昇に備える手があるはずです。

また、共済掛金免除特約は重度の後遺障害という厳しい条件のため、付加できるといっても実際に出番が来るかは疑問です。中途給付特則も人によっては受け取っても使い道が無い人もいるはずです。これらはメリットではありますが、人によっては必ずしもメリットにはならないでしょう。

評判・苦情

JA共済の2020年度(2020年4月~2021年3月)の決算資料によると、養老生命共済の新契約件数は12.2万件でした。前年度費でほぼ100%で横ばいですが、他社は前年比で数十%の減少をしています。あくまで農業従事者向けという点もあるかもしれませんが、契約件数から考えると評判は良いか、少なくとも悪くないといえます。

JA共済 長期共済の新契約高(出典:JA共済 ディスクロージャー誌)

また、JA共済全体に寄せられている苦情数は3284件(2020年度実績)で、総契約数の約3160万件で割ると苦情率は0.1%です。民間の生命保険とは一律で比較はできませんが、苦情数は少なめのため契約者からの評判は悪くなさそうです。

ただ、大規模調査では調査対象外のため顧客満足度が本当に高いかは疑問も残ります。J.D.パワージャパンの「2021年 生命保険契約満足度調査」(6000人対象の調査)、オリコンの生命保険会社ランキング(9000人対象の調査)で調査対象外となっています。

総合評価・おすすめか?

結論としては、JA共済の養老生命共済はイマイチな保険といえます。特に数字面で厳しく、特約等で特色があるメリットでは相殺しきれるものではありません。この保険を検討している人で数字を重視するなら他社の養老保険も検討すべきです。

第一候補はオリックス生命の養老保険になりますが、外貨建てでも良いならソニー生命・メットライフ生命の養老保険も候補に挙がります。この保険を検討する前に念のため確認しておいても損はないでしょう。