住友生命 バリューケアを比較・評価

住友生命 バリューケア
オススメ度:
2
保険会社:
住友生命
名称:
バリューケア
加入年齢:
15~66歳
保障期間:
終身
保障内容:
介護・死亡
特徴:
一生涯にわたり介護、死亡、高度障害を保障

バリューケアは住友生命が2013年から販売している介護終身保険です。この保険は正確には終身保険ですが、介護保障があるため今回は介護保険として扱って解説していきます。住友生命にはほぼ同じ保障内容で金融機関限定の「ふるはーとL(介護プラン)」もあります。

ふるはーとLを検討していたが、自分が利用中の金融機関が取り扱っていない場合はバリューケアの出番となります。それでは以下でバリューケアの概要を記載し他社の保険と比較していきます。

概要

この保険は15~75歳までが契約可能で、自分が設定した期間まで保険料を支払います。保険料払込期間が終了すると以後は支払いが不要となり、保障だけが死亡するまで継続します。保障内容の詳細は後述しますが、保障内容は端的にいえば介護保険金・死亡保険金・高度障害保険金の3つです。どれか1つを受け取ると他の保険金による保障は消滅します。

また、基本保障とは別に特約もいくつかあります。余命6ヶ月の診断を受けると保険金を受け取れるリビングニーズ特約、契約者・被保険者に代わって指定した人が手続き・保険金を請求できる代理特約があります。その中でも「がん長期サポート特約」は他社ではあまり見られない特約です。この特約を付加するとがんで所定の状態と診断されると死亡保険金の全部か一部を請求できます。

終身保険で解約せずに死亡前に保険金を受け取ろうとすると、通常はリビングニーズ特約か契約者貸付を利用することになります。前者は余命宣告が必要で、後者は特定の条件は無いものの貸付のため利息が発生します。がん長期サポート特約は、がんで治癒の見込みや症状の好転が無い場合に保険金が受け取れます。

昨今ではがんと診断されて治癒の見込みが無くても、診断から数年間は生存できることが多くなっています。その間の生活費や思い出作りのための資金として保険金を利用できます。がんだけが対象ですが、一定の利用価値がある特約といえます。

▲ページの一番上に戻る

保障内容

この保険は死亡すると死亡保険金、介護状態になると介護保険金が受け取れます。死亡保険金を受け取れる条件は「死亡したこと」のため明白ですが、介護保険金を受け取れる条件は死亡ほど明白ではありません。具体的には住友生命が定める所定の要介護状態になる必要があります。

住友生命 バリューケアが定める保険金支払条件の要介護状態(出典:住友生命 バリューケア発売プレスリリース)

所定の条件というと曖昧な印象がありますが、公式HPには「目安として公的介護保険の要介護3以上に該当」と記載されています。そのため要介護3以上を認定されれば、保険金は受け取れると考えて良いでしょう。その逆に要介護3の認定前でも、所定の条件を満たせば保険金を受け取れます。要介護認定は国が行うため認定までは1ヶ月以上を要することもありますが、この保険は認定前に保険金を受け取れるともいえます。

また肉体的な要介護状態ではなく、認知症に該当して見当識障害(時間・場所・人物が分からなくなる)がある状態でも介護保険金は受け取れます。肉体的な要介護状態とは別条件のため、肉体が元気でも見当識障害があれば介護保険金は受け取れます。

また、介護・死亡保険金を受け取る前に解約すると解約返戻金が受け取れます。ただ、この保険は低解約返戻金型のため解約返戻金の金額は保険料払込期間の満了前だと低額になります。30歳で契約して保険料を20年で支払い終える場合、19年目であっても解約返戻金は支払った保険料総額の72%分となります。

住友生命 バリューケアの保険料・払込保険料総額に対する契約からの経過年数毎の解約返戻金額と解約返戻率(出典:住友生命 バリューケア公式HP)

それが保険料を支払い終えた年(支払い始めて30年経過後)には、解約返戻金は支払った保険料総額の103.8%分となります。40歳だと支払い終えた直後でも返戻率は100%を超えませんが、30歳での契約なら解約返戻金でも得することが可能です。

メリット

この保険のメリットは、まずは死亡保障がある点が挙げられます。他社の介護保険には死亡保障が無く、介護状態にならずに死亡すると何も受け取れない保険もあります。その点、この保険は介護保険金と死亡保険金が同額のため、介護状態にならずに死亡しても損はしません。

保障面でいえば要介護2前でも、認知症で保険金が受け取れるのはメリットです。他社の介護保険では認知症は保険金を受け取る条件ではなく、要介護2認定のみが保険金の条件であることがあります。この保険は要介護2認定前でも、認知症で保険金を受け取れる可能性があります。

また、解約返戻金があるのもメリットかもしれません。なぜなら他社の介護保険は解約返戻金が無い場合も多いからです。解約返戻金がない保険の方が保険料は安くなりますが、介護状態になる前の退職後の生活費で苦労する場合もあるでしょう。そういった場合の最終手段として使えるのは悪くないでしょう。

デメリット・注意点

この保険のデメリットは介護保険金を受け取れる条件が厳しいという点です。他社は要介護2に認定されると保険金が受け取れますが、この保険は目安ですが要介護3以上が保険金の条件となっています。要介護3認定前に受け取れる可能性もありますが、あくまで可能性に過ぎません。保険金を受け取れるかは住友生命のさじ加減一つということです。

さらに低解約返戻金型のため、保険料払込満了前に解約すると他の保険よりも損失が大きくなります。他の解約返戻金が無い介護保険の方が保険料が安いため、この保険で解約返戻金を受け取った場合の方が損失が大きい可能性もあります。必ずしも解約返戻金があるから解約時に得とは考えない方が賢明です。

また、後段で解説するように他社の保険と比較して、そもそも介護保険金の返戻率が低いのもデメリットです。

保険料と保障を他社と比較

この保険の保険料は30歳男性・保険金額500万円・保険料払込期間30年だと月額12065円です。支払う保険料総額は434万円で受け取る保険金は500万円のため、介護保険金か死亡保険金を受け取れば返戻率は115%となります。

この数字は解約返戻金よりは高い数字ですが、他社の介護保険と比較すると返戻率は高いのでしょうか。下図で15以上の介護保険を返戻率で比較してしました。返戻率は80歳で保険金を受け取り始めて、90歳で死亡する想定で計算しています。さらに介護保険を比較する上で重要な保険金の支払条件、介護年金の受取期間等も比較しました。下図の比較図を見て下さい。

介護保険の保障内容・保険金支払条件・保険金回数・40~60歳の保険料の返戻率の比較表(明治安田生命・アフラック・太陽生命・ソニー生命・住友生命・東京海上日動あんしん生命・ジブラルタ生命・JA共済・全労済・コープ共済・コープ団体保険・日本生命・朝日生命・大同生命)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

バリューケアの返戻率は100%を超えているため悪くなさそうですが、他社には200~300%近い返戻率の保険もあります。解約返戻金が無いか僅かな保険もありますが、最終的な目的が介護なら他社の保険の方が得といえます。特にソニー生命・コープあたりの数字は高いです。

評判・苦情

住友生命の決算資料によると、2019年度(2019年4月~2020年3月)の介護保険の新契約件数は8000件です。前年度の1.1万件から減少しましたが、他社と比較して件数自体は多めです。新契約件数はバリューケア・ふるはーとL介護プランの合算した数字ですが、新契約件数から考えると評判は悪くないといえます。

しかし、生命保険協会のデータによると、住友生命全体に寄せられている苦情数は5.5万件(2020年度実績)と多めです。総契約数の1130万件で割ると苦情率は0.49%で、1000契約のうち4.9件で苦情が発生している計算です。日本生命等の他社の大手が0.2%台のため苦情数は多めです。各保険会社で主力商品が異なるため苦情率は参考値ではありますが、苦情は多めで評判は良くないといえます。

大規模調査でも同様で、調査・コンサルティング会社のJ.D.パワージャパンの「2021年 生命保険契約満足度調査」でも同社は20社中は16位と下位です。平均値も下回るため顧客満足度は低いです。この調査は保険を新規購入・更新した約6000人を対象としているため、数十人程度の口コミよりも信頼が置けます。

2021年生命保険契約・顧客満足度ランキング(出典:JDパワー2021年生命保険契約満足度調査)

さらにオリコンの生命保険会社ランキング(9000人対象の調査)です。住友生命は26社中で17位と下位に位置しています。加入手続き・商品内容・保険料の項目では上位の保険会社には及びません。ただ、アフターフォローは上位と比較して差は小さめだったため、契約後のアフターフォローは意外と良いかもしれません。

以上のデータから考えると、介護保険そのものの評判は良さそうですが、住友生命全体への顧客満足度・評価は決して良いとはいえません。アフターフォローは一定の評価がされていますが、上位よりも良いとは限らないため過度な期待はできないでしょう。

総合評価・おすすめか?

結論としては、この介護保険はイマイチな保険といえます。メリットにも決定的な要素はなく、お得さを考えても保険金を受け取る条件を考えても決定的な要素はありません。これなら他社の何かしら秀でた面がある保険を検討すべきでしょう。

他社には要介護3どころか要支援2から保険金を受け取れる朝日生命、返戻率が高いソニー生命・コープの介護保険もあります。ジブラルタ生命のように介護・死亡保障の両面を完璧に備えた保険もあります。それらの保険も検討するのが賢明でしょう。